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【BOX 3】

少し歩くと下りの階段があり、足元を照らす照明もアンティーク調でとっても雰囲気があり、私来ても大丈夫かな、と少しだけ不安になってしまう。
手摺づたいに降りていくとまた扉があり、ゆっくりと開いた。すると、受付カウンターがあり、スーツの男性が立っていた。

「こんばんは。どなたのゲストですか。」
「あっはい、祭くんのゲストです。」
「お名前伺ってもいいですか。」
「鳥井茉稀子です。」
「トリイ様ですね。1,500円になります。こちらドリンクチケットです。」
「ありがとうございます。」

赤色のチケットを受け取り、私はさらに奥へと進んだ。
バーカウンターの様なフロアを抜けて、中央の大きなフロアに出る。
正面の少し高台になった所にDJが居て、私は後ろ側のスピーカーの前らへんで止まった。
フロアの人達はまばらだけど、ドリンクを片手に体を揺らす人やフロアのサイドに配置されたボックステーブル席に腰掛けて友人たちとお喋りをしたり、肩を寄せあって話す人達がいてさまざまだった。

交換したドリンクチケットのお酒を少しずつ飲みながら、1人で来たのはちょっと迷惑だったかな、とここに来てまた不安になってしまう。
木曜のこの時間にこんな風に遊んでいる人種が居るんだなと思うと、自分とは違う世界の人達の様な気がする。

けど、1人で無性に何処かに行きたくなる時があって、それがたまたま今日だったのだ。
祭くんのお誘いでもその他の人でも普段はクラブにあまりいかないのだけど、最近はまっているアーティストの曲をSNSで推していたら、祭くんは1番に連絡をくれた。
最近1番好き!いいよね!と言ってくれた。
それだけで彼に対する好感度は爆上がりしてしまっので、いつもよりハードルが下がっていたのかも知れない。
さらに、こんな何処かに行きたい気分の時の祭くんからのお誘いだったので、ほんとに、感謝している。


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