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小説【ある晴れた日の午後】

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現在執筆中の短編小説です。思い出しうる最古の記憶から、ある晴れた日の午後まで続く家族との交流の話です。 #短編小説 #冬 #幼少期 #家族
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#冬の話

【短編】ある晴れた日の午後4

【短編】ある晴れた日の午後4

「ディスプレイ、ねえ」

ファッションビルの中央入口を通り過ぎ、裏側の従業員出入口から入る。
郵便受けBOXから書類を取り出して、警備員にID証を見せてエレベーターホールまで進む。お客様用のエレベーターではないので、正直ボロボロだし下地のままみたいな質感で少しだけ乗り込むのに躊躇していたけど、今はもう慣れた。
行先階を押し、腕時計に目をやると、出社予定時刻の5分前だった。

予定より早く付けた事を

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