コンパクトシティの真実/GAFA功成りて万骨枯る
結論から述べよう。
コンパクトシティとは大手IT企業による個人情報掌握を完遂させるための一手段だ。
90年代 駅前商店街の時代
00年代 イオン・郊外型の時代
10年代 タワマン・駅チカの時代
前回までの記事で、人々のライフスタイルがここ30年で駅前、郊外、駅チカと目まぐるしく変化したこと。
結果として、郊外の庶民も駅チカの庶民もみな貧困化していること。
一方で、企業と行政が儲けるスキームが構築されていることを述べた。
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00年代にテロとの戦いを口実に駅前からゴミが撤廃された。
同時並行でなされていた郊外型ライフスタイルへの変遷と相まって、駅チカを再開発する間隙が生じた。
その間隙にタワマンが建立され、それを中枢に据えたコンパクトシティが構築されていったのだ。
コンパクトシティの繁栄は相対的に郊外の衰退をもたらし、
コンパクトシティの桁外れな経済合理化は駅チカの庶民すらも貧困化させていった。
駅ゴミが駅前から消え、タワマンが立った。
タワマン立ったら、皆、貧しくなっていた。
現状の我々はここらあたりを生きている。
ゴミ箱の撤収の狙い
短期的 ゴミ処理コストを大衆に付け替えて、企業と行政サイドが儲ける
中期的 コンパクトシティ化によって、企業が儲けやすい世の中の構築
長期的 大手IT企業群が個人情報を収集しやすい世の中の構築
こうして、やっこさんの中期的な狙いである「コンパクトシティ化によって、企業が儲けやすい世の中の構築」までがなされた。
ではここから先にある「大手IT企業群が個人情報を収集しやすい世の中の構築」はどのようになされるのだろうか??
本日はこれについて述べていこう。
郊外にサーバーを
大手IT企業の最終的な狙い筋は「サーバーを空き地になった郊外部に置く」ことだ。
これは何も日本だけで進行している動きではなく、全世界における潮流である。
IT記録社会において重要なのは、記録媒体であるサーバーの確保。
いかにして安価に安全に個人情報を記録するサーバーを確保するかがGAFAの課題だ。
ところでGAFAは昨今ではMATANAと呼称変更がなされている。
そこでここからは大手IT企業セグメントのことを「MATANA」と表記しよう。
MATANAについてはこの記事が詳しいのではないだろうか。
MATANAが我々の個人情報の8割方をおさえた経緯が簡潔に綴られている。
さて、MATANAの最終的な狙いは「サーバーを空き地になった郊外部に置く」ことだった。
だが現状において、郊外部にはまだまだ多くの人々が住んでいてサーバーの設営はコストが高くつく。
だからMATANAは駅チカに人々を密集・集住させて郊外を空き地にしようとしているのだ。
効率的で便利な駅チカの生活スタイルを盛んに美化喧伝し、郊外から駅チカへと人口流を作り出す。
これが2010年代から続いている潮流である。
空き地になった郊外へのサーバ設置がMATANAのゴールだ。
では、
駅チカに我々を密集集住させる事でMATANAにはどんな利があるのだろうか?
個人情報商品の蒐集
1995年のWindows95販売開始を号令として始まったIT革命は、どんどん個人情報を商品化させていった。
労働力商品の売却だけでは日銭に事欠くようになった庶民は、サイバー空間で個人情報を商品化売却し露命をつなぐようになったのだ。
とはいえ個人情報の商品化を意識して行なっている人の数はまだまだ少ない。
一つ個人情報商品化の例をあげよう。
例えば検索エンジン。
検索エンジンでは、一昔前まで書籍を有料購入して得ていた知識が無料で入手できているように見える。
だがこの行為は無料ではない。
検索エンジンを利用するたびに、我々は「誰が何を知りたがっているか?」といった個人情報を商品化して売却している。
だから個人情報商品の対価として検索エンジンから知識を得られている訳だ。
個人情報の商品化についてより深く知りたければ、
この記事が簡にして要を得ているのではないだろうか。
つまり1995年からMATANAによる個人情報商品化を介した情報蒐集は始まったのだ。
20世紀末から21世紀にかけて個人情報がMATANAによって商品化されてきたことはわかった。
ではコンパクトシティ化によって個人情報商品化ならびにその蒐集はどのように加速するのか?
主戦場はサイバー空間からリアル空間へ
これまで個人情報が商品化されるのはもっぱらサイバー空間だった。
とりわけ「SNS」は人々が自己顕示欲を満たすため喜び勇んで個人情報を投げ捨てていく場所であり、MATANAにとっての「草刈り場」である。
SNSを情報発信の手段や交流の場と見ると本質を見誤る。
SNSはMATANAによる個人情報蒐集ツールなのだ。
とはいえSNSによる個人情報の蒐集はあらかた終わった話しであり、人々がどんなインプットに対しおおよそどんなアウトプットを返すかまでMATANAの知るところになっている。
要は「誰がどのように行動するのか、あらかた解った」ということ。
サイバー空間で取れる個人情報はあらかたMATANAの掌中におさまったということだ。
とすると次にMATANAが狙うものはリアル空間でしか蒐集できない個人情報となる。
なぜMATANAがサイバー空間を優先したかといえば、サイバー空間に流れる情報はデジタルデータ化されており分析が容易だからだ。
だがここ10年でリアル空間でもアナログ情報からデジタル情報への相転移が進み、情報蒐集のコストも随分とリーズナブルになっている。
そうした理由もあってMATANAは早晩リアル空間での個人情報収集を本格化させる訳だ。
MATANAがリアル空間での個人情報収集に乗り出す理由
① サイバー空間での個人情報掌握があらかた終了した
② リアル空間でのデジタル情報化で収集コストが安価になった
監視カメラ/テロとの戦いの置き土産
2010年代に喧伝された「テロとの戦い」。
これが駅前のゴミ箱撤廃を促しコンパクトシティ化の嚆矢になったことは既に述べた。
だがもう一つテロとの戦いは駅前に置き土産を残していった。
それは「監視カメラ」だ。
駅前を中心にいたるところに監視カメラが設置された。
改札、マンションのエントランス、各テナント・・・人々が出入りする場所にはまず間違いなく監視カメラがにらみをきかせている。
これがもはや都市中枢の原風景になってといっても過言ではなかろう。
まだ00年代の監視カメラは性能が低かったが、それから20年の星霜をへた現代の監視カメラは「誰が誰と何をどのようにしているのか」まではっきりと認識できるようになった。
この監視カメラなどがリアル空間で個人情報を収集する有力な手段だ。
だが監視カメラには問題がある。
その問題とは、郊外部ではコスト面で割に合わないということだ。
郊外部では人々が分散し人口密度が低いため、監視体制を完成させるためには莫大な数の監視カメラが必要となる。
莫大な監視カメラコストがのしかかっては、さしものMATANAも商売上がったりだ。
そこで郊外に監視カメラを設置するのではなく、郊外にいる人間を駅チカに誘導している。
合理的で洗練されているライフスタイルが駅チカにあると喧伝し、郊外から駅チカへと庶民を誘導しているのだ。
駅チカに人々を一点集中させ、監視カメラの数を減らしコストを安く上げる。
これがMATANAが描くコンパクトシティ化の目論見の一つだ。
このようにリアル空間にある監視カメラなどを通じて、
MATANAは個人情報商品の掌握を完成させようとしている。
大手IT企業群が個人情報を蒐集しやすい世の中の構築
ゴミ箱の撤収の狙い
短期的 ゴミ処理コストを大衆に付け替えて、企業と行政サイドが儲ける
中期的 コンパクトシティ化によって、企業が儲けやすい世の中の構築
長期的 大手IT企業群が個人情報を収集しやすい世の中の構築
00年代になされた駅前ゴミ箱撤収を皮切りに、やっこさん達には、短期的・中期的・長期的な狙いがあった。
今回はそのうち長期的な狙いである「大手IT企業群が個人情報を収集しやすい世の中の構築」を解説した。
その流れを最後に纏めておこう。
①95年の情報革命で個人情報の商品化が開始
②00年代に郊外型ライフスタイルが推奨される
③10年代から駅チカ型ライフスタイルが喧伝される
④SNS爛熟でサイバー空間での個人情報商品化が加速
⑤MATANAによるサイバー空間での収集は概ね完了
⑥20年代、新たにリアル空間での収集に乗り出す
⑦監視カメラなどでの収集を効率化する必要が発生
⑧郊外部から駅チカへの人口流をつくりたい
⑨コンパクトシティ計画で人々を駅チカに呼び寄せる
⑩個人情報商品の収集がリアル空間でも本格化
11、空き地になった郊外にサーバーを設置し、
個人情報の蒐集も記録も安価かつ安全に行えるようにする。
概ねこうした流れによってMATANAに個人情報が収集されていく。
だから冒頭で述べたように、
「コンパクトシティとは大手IT企業による個人情報掌握を完遂させるための一手段」と言える訳だ。
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