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コミュニティを拡大させる前に『発酵させる』のが大事という話【連載第7回】

みなさんこんにちは、【オンラインサロン『コルクラボ』に所属して1年経ったので色々振り返ってみた】連載第7回です。

みなさんの所属している企業やサークル、コミュニティではメンバー募集や人員計画をどのように立てていらっしゃいますか?

組織を長く維持していこうと思ったら、人員確保はとても大事ですよね。企業なら年に一度の節目で採用…などあるかと思います。さらには、採用しても出ていく人がいますので組織の風土をつくり、維持しながら拡大をしていかなければなりません。これって結構大変ですよね。企業では人事部など専門の部署が取り組むレベルの課題です。

それでは、コミュニティであれはどのように風土をつくり、大きくしていけばよいのでしょうか。

今回はコミュニティの風土つくりについての話です。

■コミュニティの拡大は一気にやろうと思ったらできそうだけれど

コミュニティは基本的には共通した好きなものや興味があるものに対して、人が集まってくる場です。すると、情報さえ広げることができれば人は集まりやすそうな気がするので多くのコミュニティではいつでも出入りOKにしているのではと思います。メンバーが増えてくると盛り上がっていく実感もあるし、運営する側としてもやりがいのひとつになるのかなと思います。

しかし、組織はある程度大きくなると必ず運営や設計をする人が必要になってきますよね。そこでぶつかりやすいのは、大きくしたけれど中の人間関係が深まっておらず、イベントのゲストで集客をせざるを得ないとか、運営メンバーがひとりひとりに連絡を入れてイベントに来てもらうように働きかけないと集客できないという問題点。

どちらにしても、運営メンバーは疲弊していきます。参加者は受動的なので自分から運営にコミットしてくれるようにはならないですよね。この失敗、僕は何回も経験があります。

ではどのようにコミュニティを管理していけばよいのでしょうか。

僕が所属しているコルクラボではあえてメンバーを一気に増やさないという実験をしています。理由はメンバー間の心理的安全の確保を丁寧に行って、コミュニティとしての色を作ってから少しずつ増やしてみようとみんなで決めたからです。

人数が増えてくると、集まる場に知らない人が多くなります。あたりまえなんですが、そうすると居心地の良さを感じるまでに時間がかかってしまいますよね。居場所がないとなんとなく行きづらくなったりするので、それは避けたい。そう考えたときに、既にいるメンバーで居心地の良い状態をみんなでつくり、その雰囲気の中に新しいメンバーを迎えるのがいいのでは、なんて議論を何回もしています。

結果、コミュニティの拡大については以下の図で整理しました。

立ち上げたら、メンバー間の心理的安全を確保して、熱を高めていき、その後で拡大するという流れをぐるぐる回転させていくんですね。そうやって運営は年単位の設計を行い、運営しています。(それがよかったのかどうかはまだまだわからないので、定期的にレポートしたいと思います)

■コミュニティには『発酵させる期間』も大事

コミュニティの色や風土をつくっていく、育てていくことを僕は発酵というコトバで表現しているのですが、コミュニティ運営の醍醐味はここにあるのかもしれません。目指したい組織の姿に合わせて環境を整えて、まさに酵母であるメンバーが働きやすいように背中を押してあげる。放っておくと腐るから、お世話も必要。杜氏さんの気持ちになります(笑)

このとき有効なのは、一緒に何かに取り組む経験をしてもらうことかなと思っています。勉強会や制作のようなPJでもいいですし、BBQでもいいかもしれません。人というのはじっくり議論をしたり、一緒にサウナーに行ったり、共通の体験を持っていたりする相手に対して好意を抱きますよね。これらを繰り返していく中で、仲が深まると熱が高まり、それがコミュニティの発酵へとつながっていくと考えています。

この観点からも発酵の期間中はメンバーを増やさずに既存メンバー間の仲をじっくり深めていくようにしています。合宿もコミュニティを発酵させるのにとても有効な方法ですね!

ちなみに、発酵の概念とコミュニティを掛け合わせて考えるようになったのは小倉ヒラクさんの影響です。↓以前のnoteを貼っておきます。

発酵が生み出す雑味って異なる2つの個をなじませるのにとても意味があるらしいんですね。例えば□、■について、発酵による雑味が入ると□は□であったことに対するゆらぎを得て不安定さを持つ。同じように■も不安定さを持つと□■でかつて白黒に明確だった境界がぼんやりグレーになったりして、『君と僕って実は似ている部分があるよね』という歩み寄りが生まれてくる。

人や組織というのはたくさんの経験の中で、雑味を得て魅力的になっていくのかもしれないですね(ここでそこまで言うかって感じですが笑)

コルクラボでは『それってコルクラボっぽいね』という会話がでるくらい独自性の高いイベントやPJが多いため、メンバーが少しずつ『なんか似た匂いのする仲間』になってきている気がします。そして、たまに新しいメンバーを追加して成長しています。これをゆっくりと時間をかけて行っていきます。

共通の体験は、仲間同士に共通する匂いをつくりだし、同類になるきっかけをあたえてくれる

■新規メンバー増員に紹介制を導入してみて、見えてきたもの

コミュニティの中を発酵させていくという話についてはここまでなのですが、今度はそれに伴って必要な配慮も出てきます。『人を増やさないということは内輪感が強まる』ということです。ここが強すぎると、今度は新しく入るメンバーが疎外感を感じて居心地の良さを感じることは難しくなる。そこで、最近は新規メンバーの増やし方をリファラル(紹介制)にするという方法も取ってきました。

紹介制には2種類あって、もともと知り合いだった仲間を紹介で推薦する『濃いリファラル』と募集をきっかけにSNSなどで知り合って内部メンバーからの推薦をしてもらう『薄いリファラル』を設定しました。

選考にあたっては基本早い者勝ちなので区別はしていませんが、紹介であれば薄いリファラルであっても、少しはご縁のある人がメンバーに入ってくるという仕組みにして、場になじみやすい設計にしています。

実際に僕もSNSで何人かご縁ができて推薦をさせてもらいましたが、そのメンバーとは一緒にイベントに参加したり、ご飯に行ったりと個人的にも関係が深まっています。僕自身も仲間を推薦することによって責任感が芽生えて、おせっかいしたり、仲間のことを気にかけるようになったので、結果自分自身がコミュニティ内で安全安心を得ることにつながったような気もします。

■まったくご縁のない新しいメンバーも入れるフェーズに

コルクラボはスタートしてからもうすぐ2年になります。2年間で3回の新規募集を行い、180人くらいになりました。そしていよいよこれから『全く内部メンバーとのつながりのない人』を募集するという試みを行うことになりました。全くご縁のないメンバーを入れると本当の意味で新しい空気を取り込んで、これまでなかったカラーを持てるのではないかと期待しています。どんな仲間に出会えるのかとてもワクワクしています。

■卒業があっていい。入口は高くて、出口は低く

コミュニティの立ち上がりからある程度の期間が過ぎると、ライフスタイルの変化や新しい刺激を求めて外に出る人も出てきます。それは自然なことで、何人かのメンバーはすでに卒業していきました。

卒業していくメンバーのほとんどは挨拶をして出ていきます。その背中をみんなで見送って送り出すこともしばしば。健全なコミュニティは、辞めたいとき辞めやすい状態になっていることも大事かもしれません。

居場所というのは人と人との間にあるものだと思うので、卒業したメンバーとも相変わらず連絡をとって飲みにいったりしていますし、以前より仲が深まっているメンバーもいます。運営としては、メンバーが減ってしまうのはさみしい部分ではありますが、『今は卒業したけど、私たちが知り合ったのはコルクラボだったよね~』なんて会話がどこかでされていると信じて、より魅力的な居場所つくりに励んでいこうと思うのです。

それでは今回はこの辺で(続く…)

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いつもnoteを読んで下さりありがとうございます。

今回の記事は約10回の連載になる予定です。

毎週記事は更新していきますので

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なお、僕のツイッターは @kawahao です。

日々のコミュニティプロデュースの学びを発信しています^^

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