育ててるようで、育てられてる。
最近は、仕事もセーブして、9歳になる息子のソウと二人時間をエンジョイしてます。
この日は、親子で京都まで二人旅。
お出かけするときは、夫と息子、三人ですることがほとんど。
三人で出かけると、平日遅くまで仕事で育児ができない夫が、息子と遊んでくれることが多かった。
それはとてもありがたいことで、夫には感謝…!
でも、親子二人でお出かけする時間が増えて気づきました。
家族三人での時間の過ごし方と、こんなにも違うのか!と。
親子の距離がグッと近くなる。
息子が小学生に上がると、学童付きの塾に通い出すようになり、私も仕事が忙しくなり、二人だけで長い時間出かけることが少なくなりました。
だけどこの前、体と心がカラッポになったとき、家族と過ごす時間が、私にとって一番大切なことだと気付きました。
そして気づくだけで終わらせたくなくて、ちゃんと行動して、大切にしよう!と思いました。
もうすぐ10歳になるソウは、小さい頃とは違う。
私とたくさんお話ができるようになりました。
彼はとてもお話をするのが好きです。
私自身も、育児の専門家の方と書籍を執筆する機会をいただき、こどもを理解できる会話の仕方などがわかってきたと思います。
二人とも「話をする」「話を聞く」のレベルアップをしました。
でも、親子がたくさん話し合えるようになったタイミングで、こどもは習い事を始めたり、友達と遊んだり、親も仕事をはじめたりして、お互い忙しく過ごすようになってしまうんですよね。
私も本当に大切なことに気づかなければ、きっとそうなってたと思います。ちょっと、いや結構大変だったけど、だからこそ一旦立ち止まって気づくことができました。
最近は、息子と話すほど、
「この子はこんなに面白い子なんだな」って思います。
この日もたくさん、彼の面白いこと発見がありました。
行き先の京都へは、住んでいる大阪から1時間ちょっとで着く距離。
ちょっとしたお出かけ。
ですが彼のリュックはパンパン。
カバンの中に、Switch、iPad、本、お菓子…夢いっぱい詰め込んで出発。
電車に乗り込んで、息子をちらと見ると、早速リュックをガサゴソ。
カバンから取り出したのは…
電車に揺られながら「初恋」読むのエモイ。
塾の授業で出会ったことをきっかけに、昔の人の作品にハマり出した息子。
特に最近、息子がお気に入りなのは、めっちゃ昔の方の作品。
まぁ確かに、夏目漱石とか芥川龍之介に比べたら、イージーモードなイメージだけどさ…。
なんとなく兼好さんをフォローしてみた。
「気楽なかんじ」…かぁ。
「徒然草」は、中学生、いや高校生?のときに習ったような寝てたような。
息子のもっていた本の解釈を読んでみると…
徒然草って、鎌倉時代のエッセイみたいなものなのかな。
「心に浮かんでは消える他愛のない事柄を、とりとめもなく書きつけてみる」
そうよ。私なんかと比べちゃいけない。
きっと今でいう芥川な賞?直木の賞?とか総なめの一世風靡する大ベストセラー作家なはず。
印税生活でお米をウッハウハしてたんじゃないかな。
いいな。
なんて思って、兼好さんの当時の暮らしを調べてみたら…
徒然草は、吉田兼好の死後250年後に流行ったものらしいです。
さらには…
まさかの兼好さん、世捨て人だった。
全然ウッハウハライフしてなかった。
吉田兼好は「売れたーい!お金持ちになりたーい!有名になりたーい!」っていう想いはさらさらなかったんだ。
ひたすらに、自分の心を豊かにするために書いた。
自分が世の色に染まらないよう、世を遠ざけてまで。
ウッハウハな生活もちょっと憧れるけど、
自分の心を満たすための生活は、どれほどに気持ちがいいんだろう。
私は今、どうだろう?
かくのは小さいころから好きだった。
SNSが盛んじゃない頃から、誰に見られなくても、かいていた。
心の中にあるモヤモヤを、紙に書き出すことが、掻き出す作業に似ていて。
でもエッセイ作家、イラストレーターの夢を叶えて、目の前にある仕事を重ねていくうちに、
「うまくかかなきゃ」
「面白くしなきゃ」
「たくさんの人に読んでもらわなきゃ」
「何か」や「誰か」の目的のために書くことが増えていたかも。
私は、イラストレーターやフリーランスを目指す人たちが好きで、うまく行って欲しいから、「誰かのために」作ることは楽しい気持ちが自然に湧いてくる。
でも、自分のため以外に書くことが増えすぎると、かく楽しみより、結果を必要以上に気にしてしまって、疲れてしまうこともありました。
誰かのためじゃなくていい。
役に立たなくていい。
目的がなくてもいい。
ただただ、自分が書きたいことを書いていく。
気の向くままに、その日あった他愛ないことを書いていく。
それってすっごく、
「あやしうこそものぐるほしけれ」な気がする。
ふと思った。
息子が徒然草を読んで「気楽」といった意味。
吉田兼好の言う「心の豊かさ」こそが、その「気楽」な状態なのかも。
欲望が満たされる強い興奮じゃない。
他人からのプレッシャーもない。見栄でもない。
力まない、リラックスした、そのまんまの状態。
息子は、息子なりに、「徒然草」を感じ取っていたんだね。
息子は、急いでリュックに本を入れ戻す。
誰かのため、何かのためじゃない。
自分の心を豊かにするために、詰めこんだリュックを背負う。
あなたのことを育てているようで、私が育てられている。
実感する日々。
カワグチマサミ(@kawaguchi_game)
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