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愛がこの形を生んだ。 リスペクトがこの色を生んだ。 【ホシノ文具店@ラミー ニュウマン横浜】3者コラボ対談


【ホシノ文具店@ラミー ニュウマン横浜】開催を控え、このイベントに向けて実現したスペシャルコラボレーション星野桂 ✕ LAMY ✕ kawacoyaについてお話を聞かせていただきました。

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星野:いつか文房具屋さんをやりたいという希望を持っていたのですが、今回LAMYの榎本さんから「ホシノ文具店」のお話をいただいて。そこで私の推し文具を並べるという企画が動き出して。あ、もう、システム手帳だったら絶対にkawacoyaさんのmini6だと。もともと私がmini6にはまったきっかけがkawacoya snap mini6 p.p.s blackだったんですけど。そんな私の大好きを、この機会にできるだけたくさんの方に知っていただけたらうれしいなという思いがバーっと広がって。あれ、なんだかいきなり私ばかりしゃべっちゃてますけど。

榎本(LAMY)・松澤(kawacoya):どうぞどうぞ(笑)

星野:でも正直kawacoyaさんもお忙しいし、コラボはちょっと無理かなと思っていました。ですよね榎本さん。

榎本(LAMY):ええ。お話だけでも聞いていただこうと先生と一緒にkawacoyaの工房まで伺って。

松澤(kawacoya):コラボの話をお引き受けするのに、一切の迷いはなかったです。星野さんとのそれまでの数回のやりとりで、すごく造り手のことを大切にしてくださる方だと感じていました。そのうえ世界のLAMYさんともお仕事できるということで、もうワクワクしかありませんでしたね。


― 最初はモノグラム案で進んでいたそうですが。

星野:そうなんです。kawacoyaさんのピッグスキンにプリントする以上、素敵なものに仕上げなくちゃと思い、モノグラムの勉強もはじめていたんですけれど。

松澤(kawacoya):商品開発の過程でピッグスキンにプリントは困難だということが判明して。

榎本(LAMY):納期も迫っていたので、一瞬、コラボ中止の考えがよぎりました。

星野:そんなときに松澤さんからモスグリーンの手帳にしませんかという素敵な提案をいただいて。

松澤(kawacoya):普段の仕事のときも、できないという壁にぶつかったときはそこを出発点にして、じゃあどうやったらその壁を乗り越えられるだろうと考えるようにしています。今回もモノグラムがダメなら、星野さんが好きなプレミアムピッグスキンでLAMYサファリファーストに合わせた新色にチャレンジしようと決めました。納期的にもオリジナルカラーを作るとすると1色になります。だったらkawacoyaとしても前から作りたかったグリーンで提案しよう!となりました。

星野:松澤さんからモスグリーン案を聞いたときに絶対にこれはうまくいくと確信しました。kawacoyaのダークブラウンの美しさを知っていたからこそですけれど、ピッグスキンの毛穴がある独特のムラ感までイメージできました。

榎本(LAMY):タイミング的にも今年の3月にサファリのファーストモデル復刻がでたということもあって、ちょうどよかったんです。

松澤(kawacoya):革屋さんにサファリを持ち込んで、この色に合わせて作ってほしいと依頼しました。


― 仕上がりについての不安はなかったですか。

松澤(kawacoya):絶対的に信頼をおいている職人さんだったので。もう一発でOKでした。

星野:松澤さんから革のファーストサンプルが届いたとき、想像をはるかに超えた仕上がりで。まさに自分がはまっている手帳沼を表した色!もう、興奮が収まらなくて、自分の中にとどめておくことができなくて、すぐに榎本さんに電話しました。ウォーウォー言ってるだけでなんのことか訳が分からなかったと思いますけれど。

榎本(LAMY):ええ!(笑)

松澤(kawacoya):私もそのウォーウォー、聞きたかったな!(笑)

星野:このモスグリーンの印影も本当にきれい。革の凹凸によって、沼感が強調されていますよね。

松澤(kawacoya):一般的にタンナーの方がピッグスキンを乾かすときには強く引っ張るんですけれど、そうすると革が平坦になってしまいます。革を作るときに無理に引き伸ばさないように特別にお願いしています。その製法だからこそ、この凹凸感、質感が出せているのです。

星野:私にとってはものの質感ってとても大事で。アニメーター時代に1本で質感がわかる線を引けと教えられて。羽根の軽やかな線。金属のシャープな線。建築物の重量を感じる線。たった1本でそのことが感じられる線を描き分けているうちに、質感フェチになっていったんだと思います。

榎本(LAMY):ぼくはコバのブラックに感動しました。ボディのサヴァンナグリーンの再現性はもちろんですが、コバの部分のきりっとした黒によって、サファリの特徴であるクリップのブラックが見事に表現されていてすごいなと思いました。

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松澤(kawacoya):コラボ商品のコバはレギュラーの商品とは違って、染料磨きでシャープな黒に仕上げました。グリーンとの対比ですごく引き締まった感じに仕上がってよかったです。

星野:とにかくわたしはこのやさしいグリーンの発色がとても気に入っているので、いまのこの色合いをずっと楽しみたいんですけど、経年変化はどうなんですか?

松澤(kawacoya):フルタンニンのピッグスキンは表面が堅いので経年変化はすごくゆっくりです。時間をかけて落ち着いた色合いになっていく経過を楽しんでいただけると思います。

星野:あ、言い忘れてた。革の泣きもいいの。これ分かる人には分かってもらえると思うけど。手帳を開けたり閉じたりするときの音がまたたまらなくて。


― kawacoyaさんへの愛がだだ漏れですね。色はもちろんですが手帳の厚みにもすごい存在感を感じるのですが。

松澤(kawacoya):今回は20㎜径リングでつくりました。

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星野:20㎜にしたのはkawacoyaのインスタライブを見たり、インスタのコメントを見てkawacoyaファンが20㎜径を欲しがっているのを知っていたからです。来てくれる方にも喜んでほしいのでこのサイズにしました。漫画を描くときも常に読み手のことを意識して仕事をしているから、そういう感覚が今回のコラボにも生きているもかもしれませんね。


松澤(kawacoya):手帳づくりも同じですね。使いやすさや機能だけじゃなく、モノとして愛されるためにはどうしたらいいか。コバの丸みやステッチの仕上げまで、そうした細部へに熱い思い注げばきっとそれが使う方に届いてくれると信じています。

星野:この手帳もきっと大好きになってもらえると思います。立たせたときは辞書みたいだけれど、手のひらにかわいく収まる。これもイメージ通りの仕上がりでした。


― 三者のコラボでありながら星野ファンの思い、手帳ファンの思いもコラボに参加しているわけですね。

星野:少し話が戻るんですけれど、サンプルを見たときわたしもこの革に負けないようにしなくちゃと強く思いました。まず、オリジナルの「TSUKAMARENYA!」リフィルをデザインしました。単体での販売はしないのでぜひこのイベントで見てみてください。あと、内側には文具沼を表現した3者コラボを象徴する刻印があるんですけれど、これもあれこれ悩んで悩んでデザインしました。

松澤(kawacoya):kawacoyaの手帳の特徴を活かした刻印のデザインになっていて、とてもうれしかったです。

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星野:kawacoyaさんの手帳は右利きのひと、左利きのひとどちらのひとでも使いやすいように考慮して反転しても書けるようになっているんです。なので刻印も、くるっと回してもちゃんと成り立つデザインで作成しました。

松澤(kawacoya):みんなの強いつながりが感じられる刻印ですよね。


― ラミーさんにとっては今回のコラボはいかがだったでしょうか。揺るぎないものづくりを続けているハードな企業という印象が強いのですが。

榎本(LAMY):ラミーはクラフトマンシップを大事にしてきた企業で、しっかりした工業製品をお届けしてきました。その一方でアートや柔軟なイマジネーションを尊重するやわらかい側面も持ち合わせています。ドイツのラミー本社社屋には製品工場と営業、管理部門の間の渡り廊下があるんですが、そこが展示空間になっていてアートに触れられるようになっています。

星野:榎本さんは感性の受け皿になってくれてやりたいことを実現してくださいますね。今回も採算度外視でご協力くださって。世の中が知ってくれることが自分たちの報酬ですからと言ってくださいました。

松澤(kawacoya):3人の気持ちが同じ方向を向いていたからこそ、この短い期間でコラボ商品が実現できたと思っています。プロフェッショナル同士が真剣に遊ぼうよという感じが本当に楽しかったですね。


― 本日は長時間ありがとうございました。イベント楽しみにしております。


イベント情報
漫画家・星野桂さんと筆記具ブランド「ラミー」のコラボレーションイベント【ホシノ文具店@ラミー ニュウマン横浜】
開催場所:ラミー ニュウマン横浜店
詳しいイベント情報はこちらから → LAMY 公式instagramアカウント

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