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冬、フィクション考

作り話に なぜ人は一喜一憂するか
面白い とは何か
嘘だと分かっていながら嘘に身を投じる
嘘にも感情移入する
はるか昔から続く人間の営みであり
敢えて騙される というプログラムが
脳に埋め込まれている
作り話に 人の本質 を投影すればするほど
人々は共感し共鳴する
あるある は共感のかたまり
個別の事象を一般化した

完成した 作り話を人は繰り返し見る

ここに冬の歌があるとする
白と灰色
冬は世界から色彩を奪う
眼鏡を外して裸眼で歩くと世界がぼやけるが
世界が全部見えると死んでしまうので
人は見えないように生きている
見える人はみんな絶滅した
人間は毎日絶滅する

鉄を削る高音が耳を突き
冬の音が重く身体を押し
冬の歌が心を叩き
冬が終わると やっと人々は眠る

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