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読書記録「風が強く吹いている」②

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

前回に引き続き、三浦しをんさん「風が強く吹いている」新潮社 (2006)について書かせていただきます。

三浦しをん 「風が強く吹いている」 新潮社

前回は物語の主人公、蔵原 走について書かせて頂きました。(詳しくは、下記の記事をご覧下さい)。

今回はもう一人の主人公「清瀬 灰二」について書かせて頂きます。

リーダーシップを発揮する

清瀬 灰二(以下 ハイジ)は主人公 走に負けず劣らずのエース選手。しかし、高校時代に足を故障して以来、最大限の力を発揮出来ずにいる。そんな時に、純粋に走ることを愛し、美しいとも思える走に出合い、共に箱根駅伝を目指す。

またハイジは、箱根駅伝を目指すと宣言した発起人であり、トレーニングや記録会において監督兼マネージャー兼プレイヤーとしても活躍し、弱小陸上部を一枚岩に一致団結させた中心人物でもある。

ではいかにして、ハイジは個性的かつ陸上初心者のメンバー達を駅伝に導いたのか。そこには、ハイジが発揮したリーダーシップが伺える。それは、
明確な目標設定
言葉の巧みな使い分け
適切な選手管理

の3つがあげられると私は考える。

1.明確な目標設定

ハイジはメンバーに対して、「箱根駅伝で頂点を目指す」という明確なビジョンを掲げる。とは言え、漠然とビジョンを掲げただけではない。箱根駅伝に出場するためのルートを逆算して、「何月の記録会までに何分以内に走る」「10人の合計タイムが何時間何分以内になるように走る」、そのために日々のトレーニング方法や選手の練習法などを一人ひとり指導する。ビジョンを達成するために、どんな目標(数字)を達成する必要があるのかを明確にすることが大事です。

2.言葉の巧みな使い分け

メンバーの中には、走のようにとにかく走ることや数字に拘る人もいれば、なるべく走りたくない、部屋で漫画を読んでいたいとモチベーションの低い人もいる。その2人に同じように指導しても、当然上手くいくわけがない。その人がどうしたらやる気が上がるか、箱根駅伝に向かって一枚岩となって協力ためにはどんな言葉を掛けるべきか(時には言わないべきか)を常に考えることも人を引っ張って行くためには必要です。

3.適切な選手管理

ハイジはメンバーに対して厳格な指導はせず、基本的には自主性を重んじる。時には一人ひとりのトレーニングメニューや体調を管理や指導をし、目的に合致しない事があれば正しい方向へ調整します。
とは言え、軍隊のように規律や上下関係を厳しくすることはないし、サークルのようにお気楽なランニングサークルでもない。
箱根駅伝という目標を目指すために厳しくはするけれども、一人でも欠けたら目標は達成が出来ないと分かっているからこそ、厳しすぎず、緩すぎずの塩梅を保っている。

ハイジのリーダーシップには、実際にチームで仕事をする人にとって学びの多い所があると思い、彼こそがこの物語の主人公と言っても過言ではありません。

小説だからと割り切らず、この一冊から何か吸収しようと思えば、どんな本も教科書になります。是非多くの本を読んで、世界を広げていきましょう!

今日もお読みいただきありがとうございました。いただいたサポートは、東京読書倶楽部の運営費に使わせていただきます。