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読書記録「努力論」⑥

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

久々に、幸田露伴先生の「努力論」岩波書店 (1940)の要約を続けて参ります。

幸運も不運も風の如し

船を出して風に遇うのに何の不思議はない。水上は広濶、風はのおずからにしてあるべき理である。

同著 53頁より抜粋

海に船を出せば、当然風が吹く。追い風も逆風も、横風であっても当然風は吹く。これは自明の理である。

私たちは自分の人生において、順風満帆で運気が追い風の如くやってくることもあれば、前に進めないほどの困難という逆風が襲いかかることもある。

そして風は、一方方向だけに吹き続けることはない。時間帯や地形によって、縦横無尽に吹くものである。

では追い風も逆風も全て偶然であるか、否。風というものはある程度予測が出来るものであり、前もって十分考慮して行けば、良い風に乗ることが可能である。

では、良い風に乗っている人は、どんな人であろうか? 露伴先生はこう答える。

幸福に遇う人を観ると、多くは「惜福」の工夫のある人であって、然らざる否運の人を観ると、十の八、九までは少しの惜福の工夫のない人である。

同著 56頁より抜粋

「惜福」とは何かと言うと、福を使い尽くし、そして取り尽くしてしまわないことだと言う。

例えば、当然100万円あなたに与えられたとしよう。そのお金で美味しいものを食べても良いし、欲しかった物を買うのも良い。歌舞伎町で豪遊するのも一興であろう。しかし、自分だけでそのお金を取り尽くしてしまったならば、周りから「あの人は金使いの洗い人だ」と思われて終わりである。

一方で親孝行に使ったり、友達にご飯を奢ったり、恋人へプレゼントを送るために使うのも良いであろう。与える人が与えられると言うように、人は何かプレゼントを貰ったり、嬉しいことをしてくれたら、同じように返そうと思うものである。

つまり、自分に与えられた福を、周りの人たちのために使い尽くし、そして自分の浪費のために取り尽くさないことが、幸運を呼び寄せる者の行いである。

成功している人は、常に与える精神、GIVERである人が多い。そんな人だからこそ、いざとなれば応援してくれる人が集まる。会社を起こすにせよ、世界に貢献するにせよ、「あの人がやるならば一つ協力しよう」という人が多く集まることにより、何をやってもうまくいくのではあるまいか。

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