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読書記録「ヴァイオレット&クレア」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、フランチェスカ・リア・ブロック 金原瑞人 訳「ヴァイオレット&クレア」主婦の友社 (2003) です!

フランチェスカ・リア・ブロック「ヴァイオレット&クレア」主婦の友社

・あらすじ
自分が映画に生きる運命だってことは、生まれたときから分かっていた。ヴァイオレットにとって、映画の世界のほうが、現実よりもリアルに思えた。

でも映画は一人では作れない。脚本を書くにもリアリティという経験が必要だし、何より演じてくれる"アクター"も必要だ。

そしてようやく、私の映画に相応しい彼女に出会えた。ティンカーベルの服を着た金髪の彼女を、ここで逃がすわけにはいかない。

話をしてみると、金髪のクレアは自分のことを「生ける妖精」だと語った。私も人のことを言えないくらい変だと思うけれども、クレアもなかなかに"普通ではない"と思った。でもそれが最高にクールだとも。

ロサンゼルスという街で、2人のハイスクールガールは華々しくも、野心と欲望に呑み込まれながら、必死に立ち向かう。

先日、西武百貨店 三省堂書店池袋本店 古本まつりにて、帯に惹かれて手にとって、そのまま購入に至った1冊。

強気で誰とも群れる気のないヴァイオレットに対し、いじめられっ子ですぐ内側に閉じ籠ろうとするクレア。

物語の冒頭、ヴァイオレットは「映画には葛藤が必要だ」と語るのに対し、「葛藤なんて嫌よ、天秤座だから」と返すクレア。

映画というきっかけがなければ、きっと交わることのなかった二人。なぜここまで惹かれ合うのかも不思議なくらいな関係性だ。

それに、彼女たちはまだハイスクールティーン。ロサンゼルスは、華々しい夢や希望が、野心や欲望に血塗られる街だった。

これは妖精物語じゃない。映画でもない。ほんとうの人生だ。だから、もっと厳しい。もっとくるしい。苦しいけれど、美しい。

同著 185頁より抜粋

何度も二人の間を引き裂くかのように、夢をちらつかせる奴等が邪魔をする。この世界のマチズモを見せつけるのように。

こうして、お互いに現実に打ちひしがれていく中で、ようやく気づく。なぜこんなにも正反対の二人が惹かれ合ったのだろうかって。

ヴァイオレットは、自分の弱さを認めることを、クレアは、いざというときに戦う覚悟をお互いから見出だしていく。

良くも悪くも、そういう「葛藤」があるからこそ、友情や愛情というものが育まれていくのではないかって思った次第。それではまた次回!

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