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読書記録「君たちはどう生きるか」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、吉野源三郎さんの「君たちはどう生きるか」岩波書店 (1982)です!

吉野源三郎「君たちはどう生きるか」岩波書店

・あらすじ
中学二年生のコペル君(本名 本田潤一)は最近悩んでばかりいいる。

先日銀座のデパートメントストアを叔父さんと訪れた時、世の中にはこんなにも沢山の人がいるのに、私は誰一人としてその人のことを知らない。まるで人間は水の分子のようだと。

叔父さんはコペル君の悩みに対して、なにかしらの「正解」を教えてくれるわけではなく、ノートを使ってコペル君自身が「考える」ように促す。

これを機にコペル君は心に浮かんできたことに、どんな意味があるのかを考えるようになる。

勇ましくいじめっ子に立ち向かう友、同い年で家業を手伝う貧しき友、友達のお姉さんから聞いたナポレオンの英雄譚、叔父さんから聞いたニュートンの林檎。

そして忘れもしない、ある冬の出来事について…。

一五歳の青年を主人公に「人として立派に生きる」とはなんたるかを説く。

学生時代 羽賀翔一さんの漫画版(マガジンハウス刊行)がベストセラーとして話題になっていた頃、原作を読みたがる私は神保町で購入した。先日読書会で紹介されたのをきっかけに再読した次第。

私はこの本のなかで「人間だけが感じる人間らしい苦痛」の話が好きだ。

友達と結んだ約束を守らなかった、辛い局面で逃げ出した、いざと言うときに良心に沿った行動ができなかった。

生きていると、思い返すだけでも嫌なことがある。

でもその根元は、自分が理性の声に従って行動する勇気を奮わなかったからだ。

僕たちが、悔恨の思いに打たれるというのは、自分はそうではなく行動することも出来たのに──、と考えるからだ。それだけの能力が自分にはあったのに──、と考えるからだ。

同著 255頁より抜粋

人間は失敗をするから少しずつ利口になる。失敗を引きずって地団駄を踏んでばかりいてはならない。

辛い出来事が、人間らしさを思い出し、前に進む勇気を与えてくれる。

この本はまた読み返すだろうな。

時に、最近は周りの出来事への関心が薄くなっていると、自分でも思う。

本ばかり読んで周りを見渡さないばかりに、何が流行っているのだとか、何が起こっているのかに気づかぬまま過ごすことが多い。

特に自分の身近で起きていることへの関心が薄いのではなかろうか。もっとも毎日小説のような出来事が起きる訳ではないし、トラブルや厄介事は避けたいところ。

周りを見渡せば、沢山の出来事が起きている。コペル君が気づいたように、この世界は大勢の人々が分子のようの関わり合いの中で生きている。

時には周りを見渡そう。手元ばかり見ていたら、沢山のことを見逃してしまう。それではまた次回!

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