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映画「アビエイター」の感想(強迫性障害の映画)

強迫性障害の主人公のことを描いた有名な映画を紹介します。

映画名:アビエイター
監督:マーティン・スコセッシ
主演:レオナルド・ディカプリオ
公開日:2005年3月(日本)

映画「アビエイター」は実在したアメリカの実業家ハワード・ヒューズの半生を描いた映画。ビジネス面で非常に優秀で、バリバリと仕事をこなして実績をあげていたが、だんだん強迫性障害の症状が悪化し、かなり極端な状態にまでなってしまう。

しかしその症状と戦いながら、ビジネス面の逆境をはねかえし奮闘する。
強迫性障害のことだけを描いた映画ではなく、強迫性障害をかかえた主人公が生きる姿(ビジネスや恋愛のことなど)を描いた映画である。

この主人公はとにかく仕事面で優秀な人で、素晴らしいものを作ることへのこだわりが半端ではない。
そのような性格も、強迫性障害に何らかの影響を与えているものと思う。
また、子供のころに伝染病を恐れた親のしつけが原因のような描写もある。実際にそれも主人公のOCDに何らかの影響を与えているのではないだろうか。

この映画を観たのは二回目

この映画は数年前にも一度観たことがあったが、ひさしぶりに気が向いて観た。
数年前に観た時の時点では私の強迫性障害はそれほどひどくなく、OCDに関する書籍なども読んでいなかったので知識はほとんど無い状態だった。

その時は普通に主役のレオナルド・ディカプリオが好きだったのでなんとなく観ただけの映画だったが、正直そんなに面白いとは思わなかった。
この映画を観た後、家族と「大部分は理解できない映画だったが、ところどころで何となく他人事とは思えない部分はあった」というような感想を話していたような記憶がある。

数年経ち、自分の強迫性障害がひどくなっていた時期に、OCDに関するいろいろな書籍を読んだので、知識はあのころに比べると格段に多くなったわけだが、今回この映画を観た感想は数年前とはまったく違うものだった。

強迫性障害の人だからこそ細部まで理解できる映画

最初に観たときはおそらく綺麗好きが極端になった程度の部分しか観ていなかったのではないかと思う。
しかし、主人公の強迫性障害はそれだけではなく、確認、不完全、疫病など、不潔以外にもいろいろな症状が併発していた。
それらの描写は非常に細かい部分にあったりもするが、今回はそれらを以前よりもかなり多く理解できた。

例えば、商談相手のスーツに小さなゴミがついているのが気になり、それをとったハンカチを近くのごみ箱に捨てるように指示するシーンがある。
主人公はなぜかそのハンカチのことが気になって仕方なく、気持ち悪さを感じている様子で、ゴミ箱の近くにさりげなく寄って行きゴミ箱の中をちらっと確認する。

このように、なぜかとても気持ちが悪い感覚やこのような強迫行為は、実際に強迫性障害の人は非常によくわかるのではないだろうか。

強迫性障害の人だからこそ感動できる映画

主人公が強迫性障害と戦いながらビジネス面で逆境をはねかえし奮闘する終盤のシーンなどは、その病気の大変さを知っているからこそ、その姿に感動を覚えた。

だが、強迫性障害のことを全く知らない人がみたとき、この主人公の苦労やこの映画のクオリティの高さを理解できるのかと言ったら疑問だ。
映画の中では、この病気に関して説明などが入るわけではなく、まったくの無知の状態で見たら本当にただ頭がおかしくなったとか、極端な潔癖の人というだけのように思うだろう。

自分の言った言葉を何度も繰り返すシーンがたびたびあるが、あれは特にただ頭がおかしくなったとしか思えないだろう。
また、先に挙げたゴミ箱の中をちらっとみる動作などはおそらく気が付きもしないだろう。

ちょっとした個人的ツッコミ

主人公は不潔恐怖でよく外出先のレストラン等のトイレで自分専用の石鹸で手を洗うが、そのようなシーンの中で洗面台にベタベタと触っている。
私個人的には、洗面台は他の人も使っていて汚れていることが多いので、外出先のトイレであのようなことは絶対にしない。
もし手を洗っているときに間違ってちょっとでも洗面台に触れてしまったら、それのほうがむしろ汚いような気分になって、もう一度手を洗いなおすくらいだ。

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と、細かいことはさておき、この映画はいろいろな賞も受賞しているクオリティの高い映画だが、実際に強迫性障害の人がみたら、そうでない人がみた場合の何倍もクオリティの高さが理解できて感動する映画と言えるだろう。
まだみていない人にはぜひお勧めしたい。


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