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蓮根の味噌汁

ー 百年企業への社長夫婦の想い。良い組織への息子夫婦の想い。 ー

 先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし

 滅多にないが「先生」と呼ばれることがある。こう呼ばれるのは、どうも苦手だ。代議士・弁護士・教師・医師は慣れているだろうが、呼ぶのも呼ばれるのも好きになれない。自分の恩師でもXXさん、と呼ぶほうが趣味だ。呼ばれる側も相手が大人なら、そのほうが自然だと思っている、と思っている。
 考えすぎかもしれないが、この人が自分の師匠だと思える一人の人がいる以外は、そう呼ぶ気がしないし、もしそうなら「師匠」と呼びたい。だから私にとって「先生」は実は存在しえないのかもしれない。

 社長の奥様で専務も私を先生と呼ぶようになってしまった。初めは「ジョニーさん」と社名のうちのファースト・ネームを呼んでくれていて、このほうが好きだった。
 『ITドック』をご用命頂き、ジョニーたちは1ヶ月でこれを終え報告と提案を成し遂げた。このあと更にフォローのセッションを設け、1ヶ月後から「業務ドック」を2ヶ月実施させて頂くことになった。
 『ITドック』でも報告とアドバイスさせていただいたが、素敵なオフィスなのに裏側の機器配置や配線が気になっていた。何度かお邪魔しても、改善しているようにみえなかったので我慢できず、「直ぐできること」の提案でもさせて頂いたムダなサーバーや機器の整理のついでに、電源タップを購入して持ち込み、先ずは電気配線を整理した。このときにサーバー機器の電源が抜けて監視システムが作動し、こちらの対応が必要になった。
 保守担当会社と連絡を取り合い、駆けつけてもらい、こちらも出来るだけの対応を継続した。そろそろ夕方となり、明日もあるので、社員である事業部長は帰宅してもらい、私は明朝もこちらと決まっていたので、宿泊することに決め込んだ。

 早めの時間であったが、ピザの配達があり、空腹を満たさせてもらった。息子夫婦のお子さんたちも来ていて、一緒に食べた。まさにアットホームな光景だ、社長も孫を見る暖かい眼差しになる。
 社長がホテルに連絡、というか車で行ってくれて予約してくれた。近隣でホテルで泊まることなどないだろうから、慣れていないのはこちらも同じなのになんと面倒見のいいことか。「お部屋とりましたので」申し訳ない、お支払いは回してくださいといったが、いやいやうちのためですからと譲りそうもない。申し訳ありませんと言いながらお世話になることにした。今日できる対応を終え、実はサーバー機器の一部は使われていないなど、新たな収穫も得ながら、その日の作業を終えた。
 社長がホテルまで送ってくれた。「それじゃあ明日また迎えに来ますから」ホテルには朝食が付かないから、朝食は一緒にというお誘いもあった。なんと有難いことだ。少し飲みながら夕食を取りたいと散策したが、なんとか小さな居酒屋で少し腹に入れた。
 朝は約束通り社長が迎えに来てくれて、ご自宅まで送ってくれた。
 息子さんたちは独立され、今はお二人でお住まいだ。家の中に縁台があり、子供の頃を想いだすような素敵な作りだ。
腰痛持ちの私には、靴を脱ぎ履きする台があるのは、この上なく有難い。

 「おはようございます」専務が爽やかに迎えてくださる。今はあくまで奥様という感じだ。
おうちの中をツアーしてくれた。やはり木の家はいいな、と思いながら一通り堪能した。
テーブルにつくと、奥様の手料理が並べられる。完璧な日本の朝食だ。ご飯、納豆、サラダ、ベーコンエッグに焼き鮭。そして味噌汁の登場だ。下手な温泉旅館よりも充実していると思った。

 「これ、なんのお味噌汁か解ります?」ズルズルと飲む感じのこれは、なんだろう。うーん、解らない。こういったことには少々自身があったので悔しい想いもあったが降参した。
 「蓮根をすったんです」聞けばどこかで知って真似たというが、これはいい。美味しい、繊維も取れる。
 朝食を頂けるだけでもありがたいのに、オリジナリティー溢れるメニューがあるなんて、幸せしかない。
いやいや幸せ感じている場合ではない。仕事に行かないと。
 奥様=専務は後からということで、また社長に会社までお送り頂く。これまでに何度か社長とお車で一緒になることで、色々とお話も聞けた。事業のこと、地域のこと。大事な時間だと思った。今まであまり気にしていなかったが、ある意味ヒアリング出来る貴重な時間だ。
 忘れられない味噌汁の味を覚え、そして我慢できずに、自社でも家庭でも蓮根の味噌汁の話をしてしまう。
温かみというのは味と共に忘れることがない。

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