備忘録ーフランス・リヨン
あまり旅行をしないのですが、でもやっぱり旅行をしたら思い出を残したいもの。
自分自身への「備忘録」として出かけたときのことを書き留めていきます。
今回はフランス、リヨン(Lyon)です。
夏の終わりに訪ねました。
海外に行くのはまだ2回目、しかもパリには行かずに第2の都市リヨンに行ったのは家族の都合なので割愛します。
リヨンについて
ローヌ・アルプ地方と呼ばれる地域に属し、ローヌ川とソーヌ川の2つの川が流れています。
「美食家の街」とも呼ばれています。
日本との時差は7時間です。
下の地図から分かる通り、ローヌ川の東側は新市街、ソーヌ川の西側は旧市街となっています。
1日目
フライトは約13時間。
当初はオランダで乗り継ぐつもりだったのですが、飛行機の遅れで大幅に予定変更。
シャルル・ド・ゴール空港まで飛行機、その後はTGV(フランスの高速鉄道、日本の新幹線みたいなもの)でリヨンまで行くことになりました。地図中のGare de Lyon Part-Dieuというところが到着駅(gare)です。
▲TGVのシャルル・ド・ゴール駅
なんとホーム内は喫煙可能らしく、吸殻は線路にポイッ。
列車は直前になるまで何番線に到着するか分からず、電光掲示板をチェックする必要があります。また、運行時刻も定刻通りでないこともあります。
日本の電車は時間ぴったりだしホームも決まっているし、ありがたみをここで感じました。(そういうのはギスギスしていて余裕がないと思うときもありますが)
TGVに乗ると、航空会社が用意してくれていたチケットに座席番号がありません。
「全席自由席なのか?」と思い、適当に座っているとフランス人の男性グループが来てしまいました。
「全席座席予約制だよ」
まじか……
座席が予約されていなかった私たちは、列車の連結部にあるバスの補助席みたいな簡素な椅子に座るしかありません。
長時間のフライトで疲れていたのですが、いっときもくつろぐことは許されないようです。
リヨンまで2時間。
車窓から景色を眺めると、牧草地が永遠に広がっていました。
日本で言うと、新幹線で岐阜・静岡あたりを走っているような感じでしょうか。
《フランス人は通話好き?》
連結部にいると、電話している人をたくさんみかけました。
リヨンの市街を歩いていても思ったことなのですが、スマホの時代になってもなぜかテキストではなく会話で話す人が多い模様。
友達や家族でよく通話する文化がある(?)ことは良いなと感じたのですが、TGVで高速移動しているのに通話って電話代大丈夫?バッテリー大丈夫?とも心配します…笑
***
やっとPart-Dieu駅に着きました。
文字通り1日中移動していて、ホテルの係員が話すフランス語訛りの英語が全く聞き取れないほど疲れていました。
《フランス語訛りの英語って?》
英単語にはフランス語由来のものが一部混じっています。しかし、発音は異なるものもあり、私たちが聞き慣れている英語とは少し違った音が聞こえます。
【例】hotel(フランス語ではhôtelと表記され、hは発音されないため「オテル」と発音されます)、second(フランス語でも同じ表記ですが、発音は「スゴン」と聞こえます)
また、英単語にないフランス語を“英語”として話す人もいます。
【例】英語でnameにあたるフランス語nom、定冠詞のtheにあたるle/la
2日目(旧市街・新市街・Paul Bocuse Restaurant)
2つの川の間の中洲のホテルからソーヌ川の方に行ってみると、marchéがありました。
果物やサラミ(正確にはsaucisson)、チーズが主に売られています。
チーズの匂いで辺りはなんともいえない匂いがしていて、虫がブンブン飛んでいましたが現地の人は別に気にしていません。
日本にもこういう気楽でのんびりした雰囲気が欲しいなぁ……と思いましたが、そもそも道が狭いし、農村部が近くて新鮮なものが手に入る場所なんてそうそうありません。
▲上はチーズ、下はsaucissonを売る様子。
▲ソーヌ川の橋から。
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ソーヌ川の橋を渡って旧市街の方に行くと、ケーブルカーの駅があります。
ケーブルカーに乗って終点駅まで乗ってFourvièreの丘まで行ってみます。
ヨーロッパにはあちこちに教会や大聖堂があります。
上がった先にもありました。
▲Basilique Notre-Dame de Fourvière
1884年に建設された大聖堂です。
大聖堂の近くには、リヨンを見下ろせるひらけた場所がありました。
▲手前から順に、旧市街、ソーヌ川、中洲、ローヌ川、新市街
丘を少し下ってみると、ローマ時代の劇場の遺跡がありました。
博物館もあったのですが、有料。
そこまで見るほどでもないかと思い、遺跡だけを見ました。
▲Théâtre Gallo Romain
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ケーブルカーで丘をくだり、今度は中洲からローヌ川を渡って新市街へ。
▲ローヌ川
こちらはソーヌ川と違って広いからか、遊覧船らしき船も。
▲橋を渡った向こう側(新市街)にはメリーゴーランドが
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新市街にはショッピングモールがあり、いろいろ覗いてみました。
https://www.centrecommercial-partdieu.com
フランスの有名な紅茶ブランド、KUSUMI TEAのお店に入ってみました。
店員さんが試飲させてくれました。
"There're black tea, white tea and green tea. Which do you like?"
ん??
ティーにwhite?意味がわからないぞ???
当時は色の分類がさっぱり分からなかったので、多分white teaを飲んだのは初めてだと答えました。
お土産用に気に入った香りのお茶を買い(white teaは絶賛売り出し中で高かったのでやめました)、店を後にしました。
このショッピングモールでお手洗いを借りました。
€0.5。
はい、海外あるあるですね。トイレが有料なやつ。
でもショッピングモールなのに地下の1フロアにしかトイレがないのはダメだぞ??(工事中だったからかも)
女子トイレの入り口には女性警備員もいて、ちょっとびっくり。
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新市街のポール・ボキューズ市場(Les Halle de Paul Bocuse)にも行ってみました。
マカロンから生牡蠣のお店まであってとても美味しそう。
もっと長期間滞在するんだったら生牡蠣食べてワイン飲みたいんだけどな〜〜
▲リヨン名物のプラリネ菓子(praline)やマジパンから作られたcussinを売る店
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さて、夜はリヨンから少し移動して三つ星レストラン、Paul Bocuse Restaurantへ。
▲様々な料理
オレンジ色の飲み物はアプリコットジュース。
フランスに行っている間、よく飲みました。おいしいです。
左下はチーズです。私たちがよく想像する牛の乳からつくられたものではなく、ヤギの乳からつくられたものでした。
匂いや食感も独特で、日本人にとってはちょっとキツいかも…?
ゴム風船を食べているような感覚でした。
Paul Bocuse Restaurantは内陸部に位置するせいか、味付けが全体的に濃かったです。
しかし、内装は大変豪華で、自動で動く人形とパイプオルガンで煌びやかな演出がありました。
《フランスの水》
フランスで出される水はevianの場合が多く、日本人にとっては飲みにくいので飽きてきます…笑
また、コンビニやスーパーで売られている水もevianかvolvicのフレーバーウォーターしかなく、「こんなにメーカーがないの??」とフランスのブランド数の少なさか日本の多さかどちらに驚けば良いのか分からないくらいです。
3日目(中洲・Oingt)
外国人旅行者にとって旅行中に嬉しいことの一つは、食べ物のおいしさです。
ホテルの朝食が本当においしくて、日本にいるときよりたくさん食べていました。
▲2日目と3日目の朝食
四角いビンに入っているのはりんごのコンポート、他にサラダ用のサーモンやオリーブやハム(様々な種類がありました)も。カヌレやフィナンシェやマカロンもあり、見慣れない私にとっては非常に豪華な朝食です。
《カフェオレとカフェラテ》
(コーヒーを勉強する人を除き)日本人にとって、「カフェオレ」も「カフェラテ」もほぼ違いはありません。
最近はコンビニのプライベートブランドの飲料で「カフェラテ」と表記されるものが増えたと感じています。(昔は「カフェオレ」が多かったと思います)
宿泊していたホテルの朝食時では、係員にコーヒーや目玉焼きなどを頼むことができました。
そのとき、家族が
"two cups of cafe latte, please."
と言ったのですが、フランス人の係員にはcafe latteが何か分かっていない模様。
「カフェオレ」と「カフェラテ」が由来する言語がミソです。
café au lait(カフェオレ)はフランス語、cafe latteはイタリア語です。
そのときは、
"Doux café au lait, s'îl vous plaît."
と伝え、無事に牛乳入りコーヒーがテーブルに運ばれました。
***
夏の終わりのリヨンは、夕方や夜は少し寒いくらい涼しいのですが、昼間は暑い。
半袖じゃないと快適じゃありません。
中洲に有名なベルクール広場(Bellecour Place)があり、座って日本にいる残りの家族と電話しました。
▲ベルクール広場
銅像はルイ14世
今日は中洲をぶらぶら散歩します。
最初の方で提示した地図の、緑のエリアあたりに通り沿いにいろんなお店があります。
UNIQLOからジュエリーのお店(Pandora)、映画館まであります。
お菓子のお店がありました。
リヨンの特産品やお土産を売っているお店には、それを示す丸いステッカーが貼ってあり、そのお店にもありました。
「明日も時間があるから明日また行きたいけど、この店は開いてるんだろうか?」
と思い、店員さんに尋ねると、
「明日は日曜日だからどの店も閉まってるよ」
と言われ、びっくり。
おっとおっとおっと???これは事前学習が足りなかったようですね??
日曜日のフランスは店開いてないなんて聞いてないぞ……
マカロンをはじめとするお菓子を売っている高級そうなお店にも立ち寄ってみました。
お土産用にお菓子を少し買うと、店員さんがマカロンをサービスしてくれました。
優しい世界。
***
お昼ご飯を食べることにしました。
▲上は3日目の昼食、下は5日目の空港での朝食
フランスでサンドイッチと言えば、上の写真のようなバゲットサンドが普通です。
(日本のコンビニでよく見る三角の白いパンで挟んだサンドイッチはスーパーで売られています)
ショーケースにサンドイッチが並んでいるのですが、外から見てもどんな材料が入っているか全て見えないときもあります。
そんなとき、フランス語を勉強した甲斐があったと感じます。。。
***
午後から、バスでリヨンから北西に36km移動してオワン(Oingt)という場所へ行きました。
この村は「ボジョレー黄金の石」とも呼ばれ、ブドウ畑が広がる綺麗な村です。
(「フランスの最も美しい村」に選出されたそうです。)
ワイナリーを見学しました。
▲試飲の赤ワイン
自家製のチーズとサラミも
写真に写っているサラミはとてもおいしかったです。
ワイナリー見学の後は、村を散歩。
▲左の写真:奥にはブドウ畑が見える
右の写真:中世の建物が並ぶ
この地域で採れる黄金の石を使用した家が並んでいます。
Tour d'Oingt(オワンタワー)という、1183年に建てられたかつての要塞の見張り台や、Église d'Oignt(オワン教会)も見学しました。
***
夜はOingtのレストランで。
一品だけ料理を紹介しましょう。
▲フォアグラがのったサラダ
鶏ハムのように分厚いフォアグラがサラダにのっていました。
このサラダの量にとっては多かったのですが、おいしかったです。
4日目(新市街・中洲)
翌日には日本へ帰国します。
ということで、最後の一日を楽しみたかったのですが、3日目で書いた通り、
日曜日はほとんどの店が閉まっている
本当です。スーパーでさえ13:00くらいまでしか空いていませんでした。
次、フランスに行くときは日曜日を避けたいです……。
観光客は、フランスでの日曜日は散歩・蚤の市・博物館/美術館巡り をするようです。
午前だけでも開いている店を調べて、行ってみました。
▲中洲にあったスターバックス
日本みたいにフラペチーノがない!
フラペチーノが嫌い(というか食べられない)私にとっては嬉しいことです。
フランスに住みたい笑
スターバックスでは各地のご当地のマグを売っているのですが、リヨンのマグも見かけました。今思えば買っとけば良かったかなと後悔しています…。
▲Bernachonに並ぶ菓子
新市街にベルナシオン(Bernachon)というチョコレートのお店があります。
les palets d'orという金箔付きガナッシュ入りチョコレート(写真上の金色の丸に茶色の箱)が有名だったのでお土産に買いました。
***
街を歩いていると色々気づくことがあります。
《セグウェイの多さ》
日本では公道での使用が認められておらず、浸透しないまま2020年7月15日より生産停止というニュースが流れてきたセグウェイ。
リヨンでは若い人を中心に、多くの人がセグウェイに乗っていました。
自転車よりも多かったように思います。
観光客向けにもセグウェイはレンタルサービスがあり、公共交通機関やタクシーなどを使わなくても簡単に移動できます。
▲車道も歩道も広く、段差もあまりない
《フランス人とタバコ》
フランスでは個人宅を除く室内は全面禁煙ですが、外はOKです。
例えば、カフェのテラスや街で屋外であれば喫煙できます。
なので、街では(通話している人と)タバコを吸っている人を多くみかけました。
最近はタバコによる害が認知され禁煙が叫ばれていますが、それでもフランスの特に女性の喫煙率は約30%と男性と同等くらいです。
歴史的にフランスはタバコと関連が深いのもあり、https://www.jti.co.jp/tobacco/knowledge/society/history/world/03_2.html
料理→コーヒー→タバコ みたいな文化もあります。
***
スーパーに立ち寄って結局買いたいものがなく、手ぶらで出ようとすると早口で(聞き取れませんでしたが)フランス語で話しかけられ鞄の中をチェックされました。
どうやら、外国人観光客による窃盗が多いせいか、疑われたようです。
このスーパーは警備員も出入り口にいて、ちょっとビクビクしてしまいます。
そのときに呼びかけられたことに気づかず、店から出てしまうと警察沙汰だったのかなと思うと安堵しました。
アメリカに住んでいたフランス人が、「アメリカ感覚だとおかしなフランスのスーパー」について書いた記事です↓
私がホテルの朝食のときに食べたフィナンシェやコンポート、様々な食事で出たチーズへのフランス人ならではの愛が垣間見えます。
***
午後は中洲をぶらぶら。
日曜の午後だし店も開いてないのに、なぜか他の曜日よりも外出している人は多そうです。
ウィンドーショッピングはできないし、ただの散歩かな?
2日目のとは違うmarchéが近くに開催されていました。
イタリアン・フェアのようで、期間限定だそうです。
アクセサリーを売っている出店があったので、ピアスを一組買いました。
(フランスでイタリア製の土産を自分用に買うとは…?と一瞬なりましたが)
日本で売っている繊細で細かいかわいらしいデザインではなく、丸や四角などの大胆でアンティーク調の雰囲気が気に入りました。
***
夜はソーヌ川の夜景を見に行きました。綺麗でした。
▲中洲側からソーヌ川を通して旧市街(Cour d'appel de Lyon;裁判所)を望む
5日目(帰国)
もう帰国の日です。
リヨン・サンテグジュペリ空港(Lyon-Saint Exupéry Airport)に向かいました。
サン=テグジュペリは、あの『星の王子さま』の作者です。
空港のショップでも、saucissonが売られていて驚きました。
▲上・左下:行きの機内食
右下:帰りの機内食
帰りの飛行機は遅れがなく、乗り継ぎ時間も余裕があったので、予定通りアムステルダム空港で一旦降ります。
アムステルダム空港には日本食のレストランがあり、昼食にラーメンを食べました。やっぱ日本食最高!
帰りの飛行機では一睡もできず、帰国するとひどい疲れでしんどかったです。
旅を終えて
高校と大学で少しフランス語を勉強していたので、今回の旅は語学の知識を活かす良い機会になりました。
昨今、外国語教育は英語にかなり傾倒しており、「英語さえできれば世界の人とコミュニケーションをとれる」といった究極的な意見も耳にします。
本当にそうでしょうか?
どうして言語は存在するのでしょうか?
なんのために私たちは外国語を勉強するのでしょうか?
その言語で各国・地域の文化や社会が形成され支えられてきたため、例えば英語では説明がつかないものがあるのではないでしょうか。
言語が社会を支え、社会が言語を支えるといった相互扶助的な関係があると思います。
確かに、近代以降技術が発達して他国の文化や言語が移入されてきましたが、それでもなお固有で土着の文化はそこに根付いています。
その文化や社会に対して、例えばなんでも「英語で解決できる」と解釈してそれを介入させてしまうのは、行き過ぎると植民地で宗主国の言語を話すように強制させるのと同等のこととなるかもしれません。
「なぜ外国語を勉強するのか」
これは私たちが(ほとんどは英語ですが)第一外国語を勉強する際にぶつかる壁です。
ー海外で多くの人と会話できるようになるため
これも理由の一つです。
しかし、私の中ではそれは第一の理由にはなりません。
ー現地の社会や文化や歴史を知り、学ぶため
これが私の中で外国語を学習する第一の理由であり、大きなモチベーションです。
その地の固有の言語で生み出された過去、文化、社会に外の地域から足を踏み入れるためには、その言語を学ぶ必要があると思っています。
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