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防災訓練で実現する「共助のまち」


            お花茶屋地区まちづくり懇談会顧問 高木信明

 今年も全国で自然災害が猛威を奮い、多くの命が犠牲となってしまいました。被災された皆様に心よりお悔やみ申し上げます。

大切な命を守り、一人でも困っている人を減らしたいという思いで日々活動させていただいておりますが、やはり防災に関しては、「共助」、助け合うことが大前提であることを改めて感じます。

 私達の街、葛飾区お花茶屋地区では、まちづくり懇談会において防災面での準備をきちんと進めています。

11月21日には避難所の暮らしと対策について、講師を招いての研修会を行いました。様々な立場からの意見を分かち合う中で、やはり何度も訓練をすること、それも地震や水害、春夏秋冬、朝だったり夜だったりと、異なる状況を想定しての訓練を繰り返していくことで、未曾有の大災害にようやく準備ができるだろうという意見が共通して出されていました。これは、お花茶屋地区で実際に訓練が積まれていることを表しています。   

 私も各地域の防災訓練に参加させていただきました。どの訓練にも様々な工夫がなされ、地域の方々の真剣さがひしひしと伝わってまいりましたので、一部紹介させていただきます。

 2月24日には東堀切くすのき園にて福祉避難所開所訓練が行われました。被災現場では町会役員や担当者が必ずしも合流できない可能性があります。だからこそ、誰もが重要な避難所開設のスタッフであるという訓練でした。仁隣町会が主体となって、避難してきた方々に次々と役割分担が与えられ、皆様自分の担当に誠実に取り組んでいらっしゃいましたが、それでも課題が見つかりました。
課題の発見を敬遠される方もいらっしゃいますが、これで改善策を立て平常時に落ち着いて準備ができます。非常に有意義な訓練でした。

 10月28日には白鳥小学校で避難所開設訓練が実施されました。こちらも何度も役員が集まって話し合った上での実施です。消防団OBによる親切丁寧な指導を受けながら、課題が浮き彫りになっていきました。例えば、大きな怪我をした人は、青戸六丁目の慈恵医大まで搬送しなければなりません。
車輪付き担架があると聞いて喜んだものの、大人を乗せて被災した街を1.6km、一人で搬送するのは無理ということがすぐに分かります。
ペット連れの避難者への対応をどう考えるのか、ゴミ捨て場をどう設置するのか、プールの水をどうやってトイレまで引くのか、など訓練してみなければ分からなかったことが多数あり、皆で頭をたくさん使いました。

 11月10日には地域の方々と双葉中学校の中学生とが協力して防災訓練を行いました。参加者をいくつかのグループに分け、消防団第14分団の全面協力によって、AED指導や煙体験、三角巾の巻き方など、和気藹々としたムードの中、訓練が進みました。そんな中、実際に被災したら高齢者一人ではできないことが次々と明らかになっていきました。
高齢化の進む中、中学生の若い力はとても頼りになります。今回双葉中学の2年生は上千葉公園でスタンドパイプ放水訓練も行いました。体験したことがあるのとないのとでは、いざという時に「できる」のか、尻込みするのかの差で現れてしまいます。参加した中学生の表情からも達成感が見て取れた、有意義な訓練でした。

 また、同じ日に救急病院である平成立石病院でも薬剤師会と連携しての防災訓練がありました。一般にはあまり知られていませんが、地域包括システムの一環である医療と介護の分野でも、各地で熱心に防災の勉強会と訓練がなされています。被災して怪我をした想定の方々に対して、必要な処置をすばやく適切に行う訓練に、近隣の病院や薬局からもたくさんの応援が入っていました。実際に救急患者が搬送されるという救急病院としての業務を行いながらの訓練でした。地域住民の安心はこの情熱に守られていると感じました。

 様々な地域の防災訓練に参加して感じたのは、緊急時にはコミュニケーションを取る力が求められるということです。ご近所なのに話をしたことがない、という話題をよく耳にしますが、非常時には孤立してしまわないか、とても心配です。日本人同士でも外国の方であっても、相手がどんな人であるかを知っていれば、安心して助け合えます。そこで互いに助け合うまちづくりの第一歩として、地域のイベントへの参加を通じ、是非ともご近所に仲の良い知り合いを作っていただきたいです。特に防災訓練への参加であれば、最短で安心感が得られます。

 これからの私達に必要なのは、災害に怯えることではなく、想像力を鍛え、イメージを広げ、意識の中に「想定外」を作らないことだと思います。何が起きても良いように準備してあれば、いつどんな災害が起きても(それは既にイメージしたことのある想定内の出来事ですから)ある程度は冷静に対応できるはずです。

 必要以上に怖がることなく落ち着いて準備を進め、コミュニケーションによって互いに助け合う、共助のまちを作っていきましょう。


「地域密着 一所懸命」
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