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強く!濃く生きろ!映画「サユリ」感想

 9月7日にTジョイ東広島で映画「サユリ」を見ました。
 映画館でホラー映画を見るのは初めてでしたが、予告編の「祓ってやるるもりはねえ、地獄送りにしてやるんじゃ」と言い怪異に立ち向かう神木春枝を演じる根岸季衣さんの台詞が気になった。
 いやー見て良かった。ホラーなのになんか気分が前向きになる感じになり面白かったです。

陰鬱ホラーからの逆転


作品の中盤で目覚める根岸季衣さん演じる神木春枝



 映画「サユリ」は前半が舞台となる一軒家に移り住む神木家が怨霊であるサユリによって次々と死んでしまうホラー展開だ。

 不気味な笑い声が響き、サユリによって様子がおかしくなる神木家の面々と徐々に奇妙さが広がり、一気に怪異が神木家を襲う。
 とうとう主人公である神木家長男の則雄が追い込まれる!

 そんな時に同居している祖母である「ばあちゃん」こと神木春枝がボケから目覚める!
 太極拳の師範をしていた春枝はサユリと戦う事を決意する。

 ファンキーな姿でサングラスをかけ、煙草を吹かし堂々とした春枝の姿はこれまでの陰鬱な展開を吹き飛ばす強風のような場面転換だ。
 この春枝の存在が映画「サユリ」を大きく動かす。

強く生きろ!と説くおばあちゃん

サユリが居る自宅へ入る時に笑う春枝



 春枝は孫である則雄を鍛える。サユリに勝つには生命力を高める事、「命を濃くする」のだと説きます。それで則雄は春枝によって沢山食べ走ったり身体を鍛える。

 更に春枝は神木家の面々がサユリによって殺されたのは弱みを見せたからだと言う。精神面で抱える不安や心配で生じた心の隙がサユリに付け込まれたのだと。だから春枝は笑えと則雄へ言う。笑う事で弱みを見せないのだと。

 サユリが春枝と則雄の前に現れても春枝は驚きもせず悪態さえつく。
 春枝は霊能者であるとか怪異と戦う特殊能力は無い。あるのは強い生命力
 強く生きる普通の人間が怨霊と互角に戦う。それが映画「サユリ」の最大の魅力だろう。
 「命を濃く」と説き、「困ったらばあちゃんに言え」と言う頼もしさのある春枝婆ちゃんはヒーローにさえ見える。

 ホラー作品でのグロさに、春枝もかなり他人へ暴力を振るうので見る人を選ぶ作品でもある。それでもホラー作品でありながら生きる事に前向きになる作品なのでお勧めです。

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