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メンタルヘルス不調者対応は面白い

産業保健・労働衛生に関する職務にはたくさんの仕事がありますが、メンタルヘルス不調者※の対応は、発生すると本人だけでなく関係者の負担も大きく、この分野におけるトピックスの一つです。そして、私はメンタルヘルス不調者対応が、最も面白い仕事だと思っています。今回のその理由について書きたいと思います。

※メンタルヘルス不調
「精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの」

厚生労働省「労働者の心の健康保持増進のための指針」

メンタルヘルス不調者対応は敬遠されがち

職域においてメンタルヘルス不調者対応に関わる、人事労務、衛生管理者、産業医や産業保健師の中には、メンタルヘルス不調者の対応を敬遠する方もいらっしゃるのも事実です。実際、メンタルヘルス不調は、他の身体疾患と比べて客観的な評価がしにくく、背景にある要因も多様で複雑なことが多いため、対応に時間がかかるうえ、再発・再燃が多く、対応する側にとっても負担が大きくなりがちで、敬遠したがる気持ちもわからないでもありません。

興味をもったきっかけ

私が、メンタルヘルス不調者対応に興味をもったのは、メンタルヘルス不調の方が再発を繰り返したり、本来の本人のパフォーマンスを発揮できなかったりする事例を多く見ていた中で、ごくたまに、今までとは見違えるように回復して活躍し続ける方がいらっしゃることに気づいたことがきっかけでした。活躍を継続する方をみると、ただ症状が回復するだけでなく、体調を悪化させていた本人の中にある考え方や、ものの見方が大きく変化していました。

再現性をもって活躍支援ができる

その後も、様々ケースを経験して、「適切な準備をして職場復帰をすれば、復帰後も病気になる前以上に活躍できる」と考えるようになり、リワークを活用したり、社内職場復帰支援施設等を設置したり、メンタルヘルス不調になった従業員が適切な準備を支援し活躍できる状態を作ることで、再現性をもってその従業員に活躍してもらえるようになりました。このような形で支援を行うと、復帰直後に就業制限をかけたり、特段配慮を要請したりすることもありませんので、他の従業員と同様のマネジメントで対応が可能です。従業員が職場復帰する際には、産業医、保健師も太鼓判を押すことができ、本人は復帰することに自信をもっていますし、復帰後の対応もシンプルなので、上司や人事も安心して受け入れてくれます。そしてその時の顔は、皆さんとても穏やかでいい顔をしています。

成長があるから面白い

メンタルヘルス不調になった方が、活躍できる状態になって職場復帰するには、とてもたくさんのハードルがあります。自分さえも自分のことが信じられなくなった状況から、様々な支援を得ながら自分自身と向き合い、学び、チャレンジしていく中で、そのハードルを越え成長していきます。人によっては仕事よりも大変だったとおっしゃる方もいらっしゃいます。でも、それを乗り越えた分、大きく成長しています。この成長を目の当たりにできることがとてもありがたく、そして面白いと思うのです。そして、より多くの職場のこの価値観を共有したいなと思っています。

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