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不動産会社として起業するまでの準備

そもそも未経験でなぜ独立したのか
前置きです。興味の無い方は『具体的な準備』までスルーして下さい
あまり過去に遡ると長くなるので、
2018年9月から、東京本社の金融テックベンチャーに正社員で営業職として入社しました。小さな会社でかなりの期待を背負って入社しました。実は同年3月頃からフルコミでこの会社の営業をしていたのですが、3月時点で数件しか無かった申込を半年で100件近くにしました。期待しかないですよね。役員候補で入社しました。

期待を背負って入社しましたが、入社してからは社長の期待に応える事が出来ず、徐々に社員さんからもハブられ、2019年年明けくらいから、どもって話すことが出来ないくらいになってしまいました。社長と2人で話している時は、普通に振る舞っているように見せていましたが、机が手汗でびちゃびちゃになるくらいでした。会社の人たちが怖かった。これはもうダメだと思っていた時に、実質クビ宣告を受けたので退職する事を選びました。その時に、もう勤め人はしないと決めました。2019年2月末の事です。

勤め人をしない、と決めたこと以外は全く何をするか決めずに退職をしました。退職を決めてから、ある尊敬する経営者の方に食事に誘って頂きました。そこで、『これから不動産を購入してコンバージョンする事業をしていこうと思っている。一緒にやらないか?』と言われました。僕は考えた末に『社員じゃなければやります。あくまでも社外の取引先としてならやります』と答えました。このお酒の席での会話が不動産仲介会社として独立するきっかけでした。
仲介は未経験でしたが、何とかなるかと思っていました。(ちなみにこの経営者の方とは今もお付き合いがありますが、当初計画していた不動産に関する新規事業はその後すぐに止まっており、小さな取引1件だけでした。声はかけて頂きましたが、頼るつもりはありませんでした。下請けのような仕事はしてはダメだと思っていたので、おんぶに抱っこの仕事を望んでいなくて良かったと思います。頼っていたら、言っていた事と違うじゃないか!仕事がない!と勝手にこの人の事を恨むところでした。逆にきっかけを与えて頂いて本当に感謝しています。)

また、退職する事を決めてから、Twitterを通じて色んな人と会ってみました。20歳の時に不動産デベロッパーに勤めていた経験があるからか不動産関係の人と合う事が多く、色んな縁があると感じました。

そんなこんなで僕の不動産会社経営(に向けて)の生活が始まりました。2019年3月初旬頃だと思います。では本題です。

起業にあたっての具体的な準備

(一年前の事なので、曖昧なところもあります。全て私の経験なので、人によって違う事もあると思います)

独立すると決めてからまずしなければいけない事。


◆個人事業主か法人か

個人事業主でやるのか、法人としてやるのか。
宅建業免許を取得するのは個人事業主でも法人でもどちらでも大丈夫です。色んな方に相談しましたが、金銭的にお得にやる、またスモールスタートなら個人事業主がオススメです。

個人事業主のメリット 
・設立費用が安い   
・法人に比べると維持費が安い   
・消費税対策(売上が年間1,000万円を超えると翌々年から課税事業者となり消費税が課されます。10%も持っていかれます。まず個人事業主で独立して、売上が1,000万円を超えた年の翌々年の課税事業者になる年に法人化すると、設立した年度は免税事業者になるため消費税を回避する事が出来ます) 
・失敗した時にやめやすい
など仲介未経験で独立するのに最初から法人化する必要はないと言われました。

なのになぜ最初から法人化したかというと、
・代表取締役という肩書が欲しかった(フリーランスをしていた時もありましたが、個人的に個人事業主の屋号と代表という肩書に信用が薄いと感じていました)
・消費税も大きいですが、回避するために個人事業主としてやるのは何となく違和感があった
失敗するつもりで独立していない。絶対に成功するつもりで独立する
という理由からでした。代表取締役という肩書は今も個人的に人と会う時に効果があると思っています。

◆会社名を決める

これが僕にとって一番大変でしたが、会社名を決める事です。
悩みに悩んで『株式会社Katsuyaku』にしました。理由は、自分のサラリーマン時代や、世の中で電車に乗っている人たちで楽しく無さそうな人が多く、1人でも多く僕の会社に関わる人が活躍して、楽しく生活出来たら良いなと思って決めました。いや本当に、面白くなさそうな人が多いです、もったいない。

◆会社の印鑑を作る

次に必要な事。会社の印鑑を作る事です。僕は何となくの験担ぎで自分の父親に購入してもらいました。ハンコヤドットコムで購入してもらいました。購入した印鑑は
・取引印(丸いやつです)
・角印(四角いやつです。無くても良いですが、領収書などに押すとカッコいいです。)
・実印兼銀行員(昔は分ける事が多かったようですが、最近は一緒にすることが主流だそうです。取引印より一回り大きいです。)
の3種類です。十分に事足りています。

◆法人登記をする

 法人登記をするには下記を決める必要があります(その他もありますが大事なところ)。
・どうやって法人登記するのか
・定款を決める   
・資本金の額を決める   
・本店所在地の場所を決める   
・決算月を決める
・1株の価格を決める
・事務所を探す、契約(登記の後だったかな)
(宅建業申請の事も同時進行で調べておく必要があります。都道府県のHPから手引書類がダウンロード出来ます)

【法人登記の方法】

法人登記ですが、【会社設立ひとりでできるもん】とうサービスを利用して会社設立をしました。スムーズに出来たので、おすすめです。税理士紹介の営業が来ますが、そこで決める必要はありませんでした。

【定款】

ネットで調べると10個くらい定款を入れるのが普通と出ていたので、ネットで調べて、やるであろう事に見合う文言をネットから引っ張ってきました。法人は定款に載っていない事業は出来ないそうです。

【資本金の額】

300万円にしました。自分の貯金の額と、設立に必要であろう額、これくらい無いと信用されないかなと何となく思う額が300万円でした。
ちなみに融資で借入れたお金は資本金に出来ないようです。また宅建業で独立する場合は許認可取得等も含めると200~300万円のお金が必要です。これくらいは貯金が無いと出来ないと思います(親類からの借入れは別ですが)。融資は許認可取得後に下りるので、一旦は自分でお金を出す必要があります。

【本店所在地の場所を決める】

自宅ではなく、事務所を借りる事に決めたので、事務所を本店所在地にしました。

【決算月を決める】

3末決算が多いですが、別にいつでも良いです。会社設立してからなるべく長い期間(最大1年間)の後に決算月を設定する方が良いと聞きました(税理士報酬がもったいないからだったような)。ただ私は3月設立の9月末決算にしました。3末決算にすると繁忙期の不動産で急な売上がたった時に税金対策が出来ないと思いました。また9末なら一般的かなと思ったからです。

【1株の価格を決める】

利用したサービスでは1株1万円か5万円を選べました。単位が1万円の方が将来増資しやすいかなと思って1株1万円にしました。

【事務所を探す、契約】

まず事務所ですが、宅建業免許を取得する場合は基本シェアオフィスでは出来ません。個室が必要です。
自宅で開業する場合も、独立した入り口、通路、部屋が必要などの諸条件があります(ネットにたくさん情報があるので調べて下さい)。私は自宅では仕事をあまりしないタイプなので、事務所を借りることに決めました。
駅から距離のある月3万円程度の古い賃貸にするか、月10万円の家賃のそこそこキレイな賃貸にするかかなり悩みましたが、月10万円の方に決断をしました。知り合いがそのビルにいた事、きれいなところで仕事をしたい事、環境が整っていないと仕事をしたく無いタイプである事、月10万円払えないなら止めようと思えた事、などで決断をしました。

宅建業を法人で申請するなら法人での賃貸借契約が必要です。法人での契約の場合、借主が法人、連帯保証人が代表取締役(私)でした。他の保証人は求められませんでした。

◆融資を受ける

資本金に入れる自己資金300万円は開業資金で無くなりそうなので、融資を受ける事にしました。
国金(と呼ばれていますが、日本政策金融公庫が正式名称です)の創業融資を利用して借りる事にしました。借り方などは商工会議所に行くと丁寧に教えてくれました。
創業時が一番借りやすいらしく、多く借りるか悩みましたが、物件を購入する予定もないのと、無駄に借りても怖いので400万円を借りました。1年で生活も含めて必要かなと思う額を借りました。
資本金と、この融資を使い切ってダメだったらレクサスを買って廃車にしてしまったと思おうと決意したのを覚えています。

【融資の申請書類】

申請書類は商工会議所で書き方を丁寧に教えてくれます。そんなに細かく見られませんでした。正直当時書いた内容と、今は全くというくらい違うやり方をしていますが、調査も無ければ何も言われたことはありません。事業計画自体の数字も国金の方が一緒に見直してくれました。
それよりも大事なのが、なぜうまくいくのかという経験などの根拠の方をメインで見られていたと思います。
ちなみに飛び込みで窓口に行くよりも、紹介で行くほうが良いと言われています。誰かに紹介してもらうか、商工会議所から紹介してもらうのが良いと思います。

◆宅建業免許の申請

色々と準備が必要です。
・備品や看板などの準備
・電話FAX
・書類作成や提出
・専任の宅建士
・保証協会への加盟
ざっくりとこの4つが必要です。

【備品看板などの準備】

・宅建業にふさわしい事務所の内装など(名称の設置や、机椅子なども)
・免許に関係ないですが、文具などなど

事務所に関する規定はネットにたくさんあるので、調べて下さい。
名称が分かるような物を入り口に設置する必要がありますが、私はポストとドアに会社名をテプラで貼り付けました。今もそのままです。
文房具なども勿論必要ですが、とりあえず最低限で良いと思います。

【電話FAX】

電話、FAXですが、宅建業免許申請には固定電話とFAXが必要です。
電話はNTTの固定電話を引きました。理由は忘れましたが、ベースの番号を購入しておけば移転などしやすいという理由だったような。
ちなみにNTTの固定電話は電話加入権という権利を購入する事になります。新たにNTTから購入するとかなり高額ですが、私はヤフーオークションで購入しました。出品者の方がかなり親切で電話で色々とサポートして頂き助かりました。

FAXは、MOVFAXというインターネットFAXを利用しています。番号が050です。FAXが届くと自動でメールにPDFの添付ファイルとして届きます。かなり便利です。
インターネットFAXはおすすめですが、MOVFAX自体はデフォルトの送付状に書き込める文字数がかなり限られている、広告FAXが大量に届くと思ってMOVFAX(受信が安い)を選んだがそんなに届かない、などから他にもっと使い勝手が良いところがありそうです。特段悪いというわけではありません。

ただ、インターネットFAXは会社を乗り換えるとなると番号が変わるので、ここは要注意です。

ちなみに固定電話は必要なのですが、電話機という物体が必要というイメージでした。050電話でも問題なさそうです。ただ電話機という物体は購入して、置いている方が良さそうです(写真提出しました)。僕はジモティーで電話機を購入して、置いて撮影しました。その時は線はまだ刺していなかったです。

【書類作成や提出】

提出する先、私の場合は大阪府でした。『大阪府 宅建業 申請』などで調べると申請書類関係が出てきます。しっかり読み込んで、チェックして準備した方が良いです。今まで見たことも無い書類を出すなどがあるので、忘れがちです(登記されていない事の証明書など)。
何回も行く羽目になります(1時間くらいかけて何回も行く羽目になりました)。

【専任の宅建士】

私にとって盲点だったのが、これでした。宅建士の資格は私が持っています。もうすぐ免許がおりる、というところで、何と20歳の時に勤めていた会社で宅建士として登録されているので、二重登録は出来ませんと言われました。
偶然に今も連絡の取れる人が会社にいたので、すぐに連絡を取ってダッシュで登録を外すための書類に印鑑を貰いに行きました。それらの書類は府庁でもらえました。
前に勤めていた会社が倒産している、連絡しにくい等があると大変だと思います。退職時には府庁に確認をして対策をしている方が良いと思います。

【保証協会への加盟】

全日か全宅の二択です。加盟金はほぼ同じな事が多いようです。
私は全日にしましたが、全日にしてかなり良かったと思います。ラビーネットというクラウドで契約書を作成出来るシステムがあったり、業務書類関係もそこからダウンロード出来ます。これがめちゃくちゃ便利です。
全宅の話も聞きに行きましたが、僕が聞きに行ったところは、会員数も多い事からあぐらをかいている様な対応でした。全日にした後悔は全くないです。
ちなみに全日に加盟する時に、全日会員から紹介してもらうと紹介料が紹介者に入ります。紹介者と話をして、分けてもらっても良いと思います。ただここで要注意なのが、紹介者が日政連(全日本政治連盟)の会費を収めていないとこの紹介料は出ません。私の紹介者は収めていない事が後から分かったため貰えませんでした。収めていない人も多そうなので要注意です。

もう一点注意点は、加盟出来る日(保証料を収める日?、営業を開始出来る日)みたいなのが決まっていて、月に何回かしかありません。手続きが終わったらはいその日から営業開始!となるかと思っていたら全然違い、事前予約などが必要で、2~3週間営業開始日が遅れました

なぜしっかりチェックして進める方が良いかというと、これらの申請をしている期間も家賃など固定費が既に発生しています。なのに自社で取引は出来ませんし、かなり時間も取られるので営業活動にも影響が出ます。準備がかなり大事です。都道府県から宅建業免許が下りたとしても保証協会に加盟しないと営業開始出来ません。僕の場合はかなり時間がかかり、2018年3月29日に法人設立をして、営業開始出来たのが同年6月25日でした。早ければ5月中とかに出来ると思います(もったいない…)。

さぁいよいよ営業開始!と言っても勝手に案件が来る事はありません。これは誰にも知られる事の無い前準備です。
仲介未経験かつ、不動産関係の仕事を離れて7年くらい経っていた私がどうやって仕事を取っていったのかはまた次回に。

あ、何よりも大事だと思う事。『とりあえずやってみる事』
うまくいかない事だらけでした。でも失敗ではないし、何とかなります。まずやってみる。とりあえずやってみる。

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