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【子育て難しいんじゃ】雪から教わる子供の残酷さと賢さと

雪が降っておる。積もっておる。

雪、私たちのような所に住む人間からすればめったに見ることが無い存在。遠い国にあるような自然現象のようなものだ。私も小さいときにスキー場でぐらいしか、見た記憶はない。雪が積もるような現象もよくよく振り返ってみれば片手で収まるぐらいしかなかったんじゃないだろうか。

それが、数年に一回。がっつり降る。積もる。凍る。


ほんとまぁー!!!!ね。


大人になると分かるんだけど、雪って本当に大変。雪国の人は雪に対する免疫あるのかもしれないけど、こちとらチャキチャキの江戸っ子だから。あんな冷たいモン冷凍室でしか見たことないってんだよ。全く。

道が凍る。大変。子供転びそう。大変。
車運転するの怖い。そもそも雪かきするような道具が無い。道具を置く場所が無い。もうなんていうか、大変なの。出社するのも大変だし、退社するのも大変。電車のダイヤは推しが結婚した時の感情ぐらい乱れるし、ホームで待ってると手がかじかんでアプリ削除しちゃったりするし。


ただ、それは。大人の都合ってもんな訳で。


朝、上の娘が通学で危ないことがあるといかんというので小学校まで送り届けることになる。


いつも近所に住む子供たちと一緒に通学してるから家の前で待つんだけど、もう遠くに見えてる時点でキャッキャワーワーやってるわけさ。

子供にとって「積雪=アトラクション」位の図式になってるわけだからどこをどう歩いても楽しいのね。通学がずっとエンタメ。私もそんな風に通勤してみたいわ。


うちの子も「肩・・・あったまってまっせ!!!」という顔でその軍団がこちらに向かってくるのを今か今かと待ち構えている。うずうずという文字が彼女の周りから発されているようだ。

そんなブルペンで200球ぐらい朝から投げ込んでたようなうちの娘も合流したらやれ雪をべしべし踏んだり、触ったりしてキャッキャウフフしている訳。


これがちゃんとした大人だったら「危ないでしょ」とか「寒いからやめなさい」って注意するんですよ。


でも、ほら。私って狸なんすよ。ワイルド系なんす。

だから私も雪で遊びたくてしょうがない。雪かきとか、車の掃除とか諸々考えると頭痛が痛くなってきてしまうんだけど、やっぱり遊びたいんです。動物的本能が雪を見ると「持って・・・投げるんだポン・・・」っていうんですよ。私の内狸が。内に潜むもう一人の狸が・・・


子供と一緒に遊ぶのはいかんいかん。そう思って子供たちを眺めると、雪って結局「ぶん投げる」がもっともエキサイティングな遊びなのであって。

相手を傷つけることなく、ぶつけた爽快感と雪玉がクラッシュした感覚、そして相手の冷たいという反応の相乗効果でドーパのミンがブッシャ―!!!!って出るんですよ。多分。

なんで例に漏れず、子供たちは雪をぶつけ合おうとするんだけど。



あれね。子供って雪合戦下手くそね。


ヘタって言っちゃダメなんだけど、やっぱり顔面にぶつけちゃったり、肌が露出してるとこにぶつけちゃったり、マジで嫌がらせみたいな行動しかできないんですよ。そうやって相手を泣かしてしまったことに傷つき、「ごめんね」ってちゃんと言えるような人間関係を学ばせることも大切だとは思うんだけど。そうやって調子こいて遊んでずっこけて服に穴開けられちゃってもかわいそうだからねぇ(親が)


「おいちゃんに、ぶつけていいよ」


そういった時の子供たちの顔ったら。「マジかよ!おっさん!Yeah!!!」な訳ですよ。雪のYEAH!!!な訳ですよ。こいつら全員バイオレンス。

そこからはノンストップ。代わる代わる子供たちが私のアウターにベンベコベンベコ雪をぶつけ続ける。時間にすると10分ぐらいかしら。なんかそういう中世の拷問みたいなのありそうだな・・・なんて思っているけど、ぶつけられたらぶつけられたでリアクションしないと子供かわいそうだな・・・って思って「アッ・・・」とか「イッ・・・」とか「ウッ・・・」か、50音を100周くらい巡っていたんです。


しかし、おいちゃん。ベンベコぶつけられてるだけの狸じゃないんだよ。人間のルールをちゃんと教えないといけない。そうやって人の中に化けて生きてきたんだから。腹を撫でながら狸は子供たちに優しく教える。


「いいかい、首より上はダメだよ」

「あと、おいちゃんの前に車とか自転車が来てるときに投げてもダメ。そっちにあたっちゃうかもしれないからね」

「やられたら、やり返す・・・倍返しだ!!!とか言っちゃダメだよ」

「でも自分が石を投げたら、自分も石を投げられる「覚悟」が必要なんだよ」



途中から雪合戦にしては重いような内容を伝えていたような気がする。子供たちも何のこっちゃでずーっと私に雪をぶつけている。楽しそうだから、まぁいいかしら。伝って落ちた雪が靴の中に入ってちょっと不快感マックスだけど。まぁ子供が元気なのはいい事だよな。


そんなこと考えてると、一人のこの雪玉がアタシの後頭部にヒット。人間面白いもので、突然後頭部にものが当たるとちょっとイラっとする。多分ガッキーとか、バッサーとか、ヨッシーに当てられても許さずイラっとしてしまう。ちなみに、新垣さんと、本田さんと、スーパーマリオに出てくる恐竜の事ね。


「これこれ、頭は良くないよ頭は」

振り返り、子供たちに教える。「頭はなんでダメか分かるかい?」



一同:「人が嫌がる事はやっちゃダメなんだよ!」




・・・



私の言いたい事を一言でまとめてくれた・・・なんだお前らそんないい言葉知ってんのかい。そこまでわかってるんだったら何で頭に当てとんのじゃ。頭に当てるって偶然に発生する事少ないんやで!!!腰らへんにしてくれ!あと息継ぎ無しにずーっと雪投げて辛くないのアンタら!!!手!冷たくない???


子供たちはいつまでもパワフル。そして人の心を持たないような残虐な遊び方をすることもあるが、「人が嫌がるような事はしてはいけない」そんないい言葉を知っているようだ。

そう、自分がいくら楽しかろうと、それと切り離して相手の立場で考える事。
「嫌がる」を判断しているのはこちらではなく、そちらであるという事。
どれだけ楽しかろうと、盛り上がろうと、相手の顔を見て相手の心を見るようにして、行動に移すんだぞ。がんばれ未来を創る者たちよ。少年少女よ、狙って靴の隙間に雪入れようとするのやめて。もっと大志を抱いて、大志を。



家に帰ってきて雪合戦やりたい気持ちもあったけど、妻は出かけてるし私しかいないから、一人で雪だるまを作っていた。振り返ると真昼間からおっさん狸が雪だるマシーンになってたからよく通報されなかったと思う。

以後気を付けようと思った。

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