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【寄席エッセイ】チェルシーはママの味

職場の後輩がチェルシー食いたいとか言い出すもんだからなんでかと思ったらチェルシーが生産終了らしい。


チェルシーと言えば、ヨーグルト味だけ瞬殺されるでお馴染みの飴ちゃん。そしてばあちゃんの家に必ずあるでお馴染みの飴ちゃん。この二本柱で構成されたキャンディの事だ。私はそれ以上の情報を持ち合わせていない。


ずいぶんと懐かしい名前が出ていると思ったら。どこもかしこも売り切れているとのこと。生産終了だからってそんな風になっちゃうのね。そしてそれがメルカリで並んでいるらしい。え。そんな風になるの?あのチェルシーが?



オイオイオイオイ。そうなってくると話が変わってくる。


今注目を浴びるべきは、ビットコインでなく。金でもなく。チェルシーである。チェルシーの袋が転売で千円。元々の金額で考えれば結構な値上がり幅である。そうなってくると、このままチェルシーの数の減少、そして希少性、お洒落なパッケージ、なんてトータルで考えると、来年の頭ぐらいにはチェルシー1粒1万円なんてことになっているだろう。


2年後には…




えーと…5億…



なんてこった。あぁ、チェルシー。もひとつチェルシー。ついに資産としてチェルシーの価値が認められる時が来たのか。


ばあちゃんちにあった、なんか木製のツルツルした入れ物。そこにあったヨーグルト味のチェルシー。孫たちが帰ってくるとすぐ無くなってしまう。包み紙が妙に綺麗で鶴とか折り始めちゃう。飴がツルツルしてるもんだから、つい喉の奥にヒュルッ!と入り込んで死にかけるチェルシー。あぁチェルシー、も少しだけ。チェルシーィィィイイ。


そういうことを見越してみんな確保したり、転売したりしてるのか。今東証がすごいことになっているのも、このチェルシーの行き来を予想して生まれているのかもしれない。チェルシーの味に相当する・・・ヴェルタースオリジナルあたりだったらバタースカッチは何とかなるのだろうか。そうなってくるとやはりヨーグルト味はどうしたもんか。代替が利かないような気がしてこないか。ヨーグルト味の青天井。市場破壊。昔、チェルシーのオレンジと紫色のパッケージでフルーツヨーグルト味、みたいなやつ無かったっけ?これハイチュウとごっちゃになってるか?よくわからなくなってきた。



そんな風に市場が動いたら今度予想されるのは、そう。「闇チェルシー」だ。非合法的に作られたチェルシー。食べたらハッピー。あのヨーグルト味が口に広がって、人をダメにする。我を失ってでも食べたいチェルシー。そんな闇取引。ポッケに一つ。そんな時代になったら空港での検問に引っかかる。



「今日未明。国外からの闇チェルシー持ち込みと思われる容疑で30代の男が逮捕されました。男は「もひとつ、チェルシー」などと供述しており。警察は入手経路について詳しく調査する必要がある。と発表しています」


すごい世界線だ。チェルシーのない世界線。


しかし、投資家たちの注目は「チェルシーが再販されるのでは?」という点に尽きるだろう。生産停止による現状を受けた会社が「やっぱ、皆チェルシーめっちゃっ好きやねんな!再販したるでホンマ!」なんて言った日にはチェルシーの価格が暴落。チェルシー投資家は次々に破産。チェルシー億り人を目指したチェルチューバ―(チェルシーを題材としたユーチューバー)達もチャンネルを次々と閉鎖。チェルシーを投資利用していた人たちは街角インタビューでこう答える。



「大好きでしたよチェルシー・・・歌・・・知ってます・・・チェルシーはママの味・・・ってね・・・へへっ・・・」 



その放送を境にSNSは「それはちがうやんけ!!!」VS「いいや逆にチェルシーはママだ!」と賛否両論の言い争いが・・・







懐かしいなぁ。チェルシー。

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