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「つくらない体験」を考える、SDGs x Ethical UXワークショップ

2020年1月21日(火)に福岡で「SDGs x Ethical UX - 自分たちが描く世界の体験を考える in Fukuoka」を開催しました。
このワークショップでは、昨年から継続して考える機会を持っているEthical UXをテーマとしてデザインしました。
Ethical UXについては以前に以下のnoteを書いています。

なお、2019年後半にSDGsワークショップは以下の二回を開催しました。
SDGs x サービスデザイン - 自分たちが描く未来を対話する
SDGs x LEGO - 自分たちが描く未来の世界をつくる

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今回はLINE Fukuokaさんに会場提供いただきました

SDGsを体験することから始める必要性

このワークショップは以下のように、SDGsを識る、SDGsをカードゲームを通して体験し、Ethical UXについて考え、対話するという構成でした。

1. SDGsについての話題提供
2. 「2030SDGs」カードゲームを体験
3. ゲームプレイをふりかえる
4. Ethical UXについての話題提供
5. サービスがどんな体験をつくりだしているかを考える
6. 「つくらない体験」を考える

SDGsという言葉を見聞きする機会は増えていると思われるのですが、それが自分たちにどう関係するのか分からない、そもそも関係ないものと考えている人は多いのではないでしょうか。
「SDGs(エスディージーズ)」は「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と表現されます。(「持続可能な」とは「ずっと維持し続けることができる」ということです)
つまりSDGsとは「かけがえのない地球と世界中の人々の暮らしを、できるだけ理想的な状態のまま維持し続け、世代を越えて受け継いでいくために、国際社会が協力してめざしていくべき目標」です。

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SDGsの17の目標には、その内容を象徴するカラフルなメッセージアイコンがあり、国や言葉、世代にかかわらず、視覚的に理解しやすいようになっています。
これはSDGsが、特定の国や地域ではなく、「世界中すべての人々に関わりのある目標である」ということを意味しているのです。

今回のワークショップの中では「2030SDGs」というカードゲームを使って、「SDGsを体験する」ことから始めました。
その意図としては「世界と自分はつながっている」「すべてのサービスは世界に何かしらの影響を与えている」ことに気づいてもらうことでした。

世界と自分たちがつながっている

「2030SDGs」カードゲームでは、自分たちの行動(選択)が世界に影響を与える様子がリアルタイムに可視化される中で、2030年の世界を作り上げていきます。それによって、世界と自分たちがつながっていることを実感することができ、その後で実例として「地球温暖化」は自分たちの普段の生活における消費活動が引き起こしていることを伝えました。
このことについての詳細は以下を参照ください。


たんに情報として伝えるだけでは実感しづらいSDGですが、現実を模したカードゲームをプレイして「(自分が)体験する」ことによって自分に関連する事柄であることを認識できるようになります。
そして、そのプレイの中で何を思って行動していたかをあらためてふりかええってみると、そのプレイの中では「(自分が)世界の状況を考えるようになっていた」かもしれません。

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そのサービスはどんな体験につながるのか?

「自分が使っているサービスはどんな体験につながるのか?」
ワークショップの後半では、自分が普段使っているサービスがどのような体験につながるのかを問いとして、参加者にそれぞれ考えました。

自分が普段何気なく利用しているサービス(Webサービスやスマホアプリ)は、直接的な機能の体験(例:ポケモンGoで遊ぶ)だけではなく、間接的な影響による体験につながります。
例えば「ポケモンGo」の間接的な影響による体験として「ポケモンGoが平均寿命をアップさせる」が生まれると考えました。

「ポケモンGoが平均寿命をアップさせる」
1. 歩かないとポケモンがゲットできない

歩く → 日常的な運動となる
2. 伝説ポケモンの入手は特定の場所で他の人との協力が必要

同じ場所で協力する → コミュニケーションが生まれる
日常的な運動+コミュニケーション

健康で張り合いのある生活 → 平均寿命がアップ

大喜利、または連想ゲームのような感じではありますが、普段何気なく使っているサービスがどのような影響を与える可能性があるのか、その影響がどのような事象につながっていくのか、そういった側面を考えるために、この問いを投げかけました。

私たちが目指す世界で「つくらない体験」を考える

そして次の問いは「あなたが考える2030年の世界はどんな世界?」
2030年、いまから10年後の世界を思い浮かべてもらって、以下の項目について考えました。

・2030年に「よくなっていること」
・2030年に「悪くなっていること」
・2030年に「変わらないこと」
・自分がこれからの10年で取り組みたいこと

未来が必ずしもよくなることばかりではなく、悪くなることもあって、また変わらないこともある。それらがある中で自分が取り組みたいのはどういったことなのか。
そうして2030年の世界のイメージを持った上で、最後にグループごとに考えたのが以下の問いです。
「2030年の世界を考えた時に『つくらないサービス』は?」

これは2030年に「世に在って欲しくない、在るとよくない体験」を考え、そういった体験をつくる(そういった体験につながる)可能性があるサービスは何だろう?ということをグループで対話しました。
多くの場合、便利、楽しい、また新しい体験を期待してサービスを利用するわけですが、「つくらない体験」から考えることで、サービスの別の側面が見えたり、実はこのサービス体験は見直した方がいいのではないか、という対話につなげるためにこの問いとしました。

今回のワークショップにおける「つくらない体験」を考えるプロセスの中で参加者がそれぞれに思ったこと、感じたことが、これからつくるサービスをデザインする、また利用する時に思い起こされることで、よりより未来をつくることを考えることにつながれば、という想いを込めたワークショップでした。
「体験をつくる」ことを普段考えている方は多いと思うのですが、「つくらない体験」を考える機会を持ってみてはいかがでしょう?

以下に参加者の声を少し掲載させてもらえればと思います。

エンジニアなので、一つの物事が社会に与える影響などをまったく想像できませんでしたが、今回のワークショップを受けて視野が広がりました。
各目標は連関していて、一つの目標に視野が狭まると他の目標達成が難しくなる。エシカルもですが、環境やヒト、文化といった様々な要素を高い視点で捉えなければならないと感じました。
各目標は連関していて、一つの目標に視野が狭まると他の目標達成が難しくなる、という点をワークショップで体感できたことがたいへん学びになりました。


SDGs x Ethical UXワークショップにご興味ある方はTwitter DM、またはお問い合わせからご連絡いただければと思います。


コーヒーを飲みながら書いていることが多いので、サポートいただけたらコーヒー代として使わせていただきます!