序章 はじめに 004. 本稿のターゲット読者
本稿のターゲット読者:日本の製品をいまよりもさらに外国へと拡げていきたい、と考えている企業の方々。
本稿は実践で役立つマーケティングを重視。
マーケティングでは人はそれぞれ異なるので、ひとつのモノで、ひとつのコトですべての人が満足することなどない、という前提に立って考える。
こんにちは、マーケティングデザイナーの藤郷かつらです。
前回は、日本のモノづくり、というテーマについて述べた。
今回は、本稿のターゲット読者について述べたい。
本稿は日本の製造業の海外展開推進を主目的に制作している。したがって、本稿のターゲットとしている読者は、日本の製造業に従事している人である。
内閣府の国民経済計算(GDP統計)によれば、日本のGDPに占める製造業の割合は約20%(2019年)。また、総務省の労働力調査によれば、日本の製造業で働く人口は約1,063万人である。
日本の人口が約1億2600万人とすると、理論上は、おおむね日本人の12人にひとりが私のターゲットという計算になる。
もちろんこれは理論上の数字であって、さらに精査し、絞り込んでいく必要がある。
具体的には、本稿の読者ターゲットを下記の方々と考えている。
まず、日本の製品をいまよりもさらに外国へと拡げていきたい、と考えている企業の経営者や事業責任者はど真ん中の対象である。
駐在員を含めた海外ビジネスの担当者、製品群を担当しているマーケティングマネジャー、それに製品を担当している製品担当者(プロダクトマネジャー)なども本稿の読者として想定している。
また、いまは異なる職種を担当しているが、今後海外マーケティングをやってみたいと考えている方にもぜひ目を通していただきたい。
現在すでにマーケティングに従事している方もいるだろう。先輩や同僚に教わりながら試行錯誤しつつ、実際に仕事でマーケティングを使っているかもしれない。
マーケティングの仕事を任されたけど、「なにをすればよいのか不安だ」という人もいるだろう。
マーケティングとは言うけれど、責任範囲がいまいち不明瞭で、雑用とも言えるような仕事をやらされているという場合もあるのかもしれない。
なかにはビジネススクールが開講しているマーケティングコースを受講した経験がある人もいるだろう。
「若い人の口から最近マーケティングという言葉をよく聞くようになったけど、マーケティングとは結局のところいったい何なのだろう。」
「いままで曲がりなりにもマーケティングをやってきたけれども、そもそも自分がやっているマーケティングが正しいのかよくわからない。」
そんな感じの方々を読者として想定している。
一方で、マーケティングをまったくやったことがない、少しかじったことがあるけれどもどうもわかったようでわかっていないという方々もいるだろう。
学校でマーケティングを学んだけれどももう昔のことで忘れてしまった、お勉強で終わってしまい実践での使い方が皆目見当がつかない、一通り関連している本を読んでみたけれども全体像がぼんやりしている、などという人も多いだろう。
まだ企業で働いた経験はないけれども、マーケティングを自分の仕事にして海外へ飛び出していきたいと考えている将来の日本を支える学生のみなさんにも読んでもらえれば幸いである。
皆さんの現在の知識・経験のレベルは色々だろう。今日現在なにもわかっていなくてもまったく問題ないので安心してほしい。
マーケティングの考え方は人により千差万別で、考え方の種類、流派と呼べるものもマーケターの数だけ存在すると言っても過言ではない。
中途半端に聞きかじっているぐらいならむしろなにも知らないぐらいのほうがよいだろうと思っている。
私は実践で役立つマーケティングということを常に重視している。
理屈ばかりの机上の空論で終わらせてもなんの意味がない。血の通ったマーケティングプランをつくり、実行に移すにはそれ相応の知識と経験、マーケティングスキルが必要となる。
本稿では私がいままで培ってきた知識と経験、マーケティングスキルを使って、あなたに実践で活用してもらえるよう、様々な角度からマーケティングを読み解いていきたいと考えている。
もしもあなたが日本の製造業で勤めているわけではなく、他の業種でお仕事をされているのであればあまり本稿には期待いただかないほうがよいだろう。
製造業には製造業なりのマーケティングがあり、サービス業にはサービス業で必要となるマーケティングというものがある。
外資系の企業で働いているのであればその企業の母国の考え方が重視され、私の理論が役に立たない場面も多く出てくる。よって、私のターゲット読者ではない。
ただし、外資系の製造業で働いている方で、日本国内のマーケティングを担当されているのであれば、少しだけ目を通してもらえるとよいだろう。
そうすると、いままであなたがやってきたマーケティングとはかなり違いがあることにきっと気づくはずである。
本国の本社でやっているマーケティングと、販売拠点、この場合でいえば日本でやっているマーケティングはその種類がまったく異なる。
詳しくは後述するが、企業の本社のマーケティングはアップストリームマーケティング(Upstream marketing、USM)と呼ばれる。
一方で、販売拠点のマーケティングはダウンストリームマーケティング(Downstream marketing、DSM)と呼ばれる。
USMのほうがDSMよりも圧倒的に責任範囲が広く、簡単にいえば面白い。もしもマーケティングの本質を知りたい、とあなたが考えるのであれば、ぜひ一度本稿を眺めてほしい。
ウェブマーケティングという言葉がよく聞かれるようになってきた。ウェブを使ってお手軽に個人でビジネスをやりましょうといった感じだろうか。
このウェブマーケティングを学ぶのを目的として本稿を読んでいただいたとしても、本稿はあまり役に立たないだろうと思う。
私は私のターゲットとしている読者のことだけを考えて本稿を制作しているわけであって、それ以外の人は読者として想定していない。ここは十分理解していただきたいし、悪く思わないでいただきたい。
ターゲットとしている会社についても、少し詳しく述べておこう。繰り返しになるが、日本のすべての企業を対象として考えているわけではない。あくまで日本の製造業だけをターゲットとしている。
そのなかでもいまから海外への進出を考えている、すでに海外に展開しているけれどもどうもうまくいっていない、という日本の製造業の皆さまにはぜひ目を通してもらいたい。
売上が伸び悩んでいたり利益が思ったように上がらなかったり、一度海外へ進出してみたが失敗した、という日本の製造業ももちろん対象として考えている。
本稿を読んで海外展開を少しでも模索したいというのであればもちろん大変光栄なことである。
しかし、日本国内でしか事業を行っていないし、今後も海外展開の予定がない日本の製造業は対象としていない。
サービス業など製造業ではない業種の日本企業の皆さまには本稿ではなく、ぜひ他の方からマーケティングを学んでいただければと思う。巷にはサービス業で日本を元気にしたいという人がきっといることだろう。
日本の製造業の海外展開を推進するのが本稿の主目的で、製造業以外の業種や海外展開を予定していない人や企業はぜひ他のところに行ってくださいと述べた。
このように聞くと、なんだか冷たいなあと思う人もいるかもしれない。
私がなにをしているのかというと、実はまさにこれがマーケティングなわけだ。できるだけ多くの人に読んでもらったほうが、できるだけ多くの企業を対象にしたほうがよいじゃないかと思う人もいるかもしれない。
マーケティングにおいては、人類に共通のものは存在するものの、基本的に人間はそれぞれ異なるものという前提にたって考えなければならない。
マーケティングでは、人はそれぞれ異なるので、ひとつのモノで、ひとつのコトですべての人が満足することなどない、という前提で考えることになる。
特にモノが巷に溢れ生産競争から価値競争になるとこれが顕著になる。この前提を無視すると、全員に満足してもらおうとして結局誰も満足させられないということが起こる。
上記のように、どのような人をターゲットに戦略や戦術を練っていくかというのはマーケティングで非常に大切なプロセスのひとつである。
これはターゲティング(Targeting)と呼ばれる。
ターゲットを具体的に思い描くことができれば、どのような戦略を策定し、どのようにアクションを起こしていけばよいかが明らかになる。
製造業であればどのような顧客に対して価値を提供することが相応しいか、ターゲットとする顧客に対して価値を提供するためにどのような製品が必要になるかが明確になる。
ターゲティングはSTPという項目で今後詳説していくことになる。
今回は、本稿のターゲットについて述べた。
次回は、日本の製造業の現状、というテーマについて述べたい。
本稿のターゲット読者:日本の製品をいまよりもさらに外国へと拡げていきたい、と考えている企業の方々。
本稿は実践で役立つマーケティングを重視。
マーケティングでは人はそれぞれ異なるので、ひとつのモノで、ひとつのコトですべての人が満足することなどない、という前提に立って考える。
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