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「名医」と「迷医」

世の中のお医者さんには「名医」と「迷医」がいるようです。

今年は、私自身の病気、家族の病気や怪我で、病院にお世話になった一年でした。その中で、たくさんの医師、医療関係者の方々に助けていただきました。
特に、家族の命の危機を救っていただいた医師、医療関係者の方々、救急救命士の皆さんには、何度感謝してもしきれないほどです。本当に、ありがとうございます。

そんな中、医師との出会いが運命を左右するという得難い経験をしました。医療現場のさらなる改善を願い、患者家族の立場から、実際にあった話をご紹介したいと思います。

世の中には、「名医」や「スーパードクター」と呼ばれる医師がいます。一方で「ヤブ医者」という呼び方も存在します。

そもそも、患者が医師に求めるものはなんでしょうか。

適切な治療を施し、病気や怪我から回復させる。
患者が医師に期待するのは、この一点だと思います。

今年、私が出会った医師にも様々な方がいました。
上記の期待を遥かに上回り、「よくぞ、この先生に出会えたものだ」と出会った幸運に感激した先生もいれば、期待に到底及ばず、「二度とかかりたくない」と憤慨した先生もいました。

今回、期待を上回ったお医者さんを「名医」、大きく下回ったお医者さんを「迷医」と呼ぶことにし、僭越ながら、両者の違いについて考えてみたいと思います。

まず、迷医の例からご紹介します。
迷医からは、患者を「案心」させ、「暗心」にします。患者とその家族を案じさせ、暗い気持ちにさせる対応と説明がありました。
次の例は、大怪我をして救急搬送された病院での迷医と家族のやり取りの一部です。

迷医「応急処置したので帰ってください」
家族「(は?何言ってんの?という言葉を飲み込んで)
本人は痛い痛いと叫び続けてますが」
迷医「そうは言ってもウチには入院できません。自宅で様子見てください」
家族「素人では何もできません。痛みを訴えるなら、何度でも救急車で連れてくるしかないですけど(怒)」
迷医「仕方ないですね…相談します」

結局、粘り強い交渉のもと、入院することになりましたが、入院後と退院時の対応も信じられない内容で、まさに迷医でした。

もしかすると、私の要求する基準が高過ぎたのかもしれません。あるいは、救急病院では当たり前の対応なのかもしれません。しかし、どう考えても、苦しむ患者を目の前にして「連れて帰れ」は無いのではないかと。

案の定、翌々日に退院するときに、首の大怪我にも関わらず、本人が痛がるからと装具を外した状態で車椅子に載せられ、痛みを訴え続けていました。結果的に、その日の晩に別の病院に救急搬送され、次にご紹介する、名医の緊急手術で一命を取り止めました。

名医は患者を「安心」させて「安身」に導いてくれます。まずは安心がもたらされてから、安身があります。
まず、心が安まってから、身体が安めるという順に、治療をしてくださいます。

次の例は、迷医から退院した当日、再度救急搬送先で命を助けてくださった病院の、若き名医から私たち家族への説明の一部です。

名医「(素人にも分かりやすい丁寧な病状説明の後)温存するか、緊急手術をするかどちらかになります」
家族「痛みをとるには手術しかないですか」
名医「そうですね。痛みを取るには、やはり手術になります。ご本人は、かなり痛みが強いようですね。ご家族の皆さんも、つらいことと思います。できるだけ早く痛みを取るには、すぐに手術をすることになります。痛みは解消されると思います。そして、徐々に体力を回復してからリハビリが出来ます。動かせるようになれば、食事も自分で出来るようになります」
家族「ありがとうございます。先生にお任せします。どうか、1秒でも早く、痛みをとってください」
名医「分かりました。(同意書の説明の後)では、これから手術の準備をします。おそらく終わるのは深夜になりますが、手術が終わりましたら、ご家族に連絡します」

この説明を受けたのは19時過ぎ。
23時過ぎに「無事終わりました。ご本人が話せるようなので電話代わります」ということで、家族は涙を流し、名医にお礼を伝えたのでした。

いま思い返すと、迷医は一人では生み出されないものとも思います。
私の推測ですが、迷医にも迷医の事情があり、例えば迷医の先生個人は名医の考え方をもっていても、病院の方針に合わなければ、医師も組織に属する一人ですから、レベルを下げざるを得ません。理想と現実の狭間で苦しむ「迷医」もいるのではないかと思います。

この怪我の後、別の病気も見つかりました。
幸い、今は新たな名医にかかっています。
患者の立場で治療計画を立て、丁寧に説明をしてくださいます。ベテランの医師が、私たちの目を見て「経験上、良くなりますよ」とハッキリ言ってくださいました。

おそらく、世の中のほとんどのお医者さんは今回の定義では名医ではないかと思います。私が偶然、迷医に出会ってしまったと思いたいですし、そうあってほしいと願います。

安心して、安身したい。
本人も家族も、心から願っています。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

おかげさまで、週刊カツオが100回を迎えることができました。ご愛読いただき、心より感謝申し上げます。これからも精進します。

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