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#23 足止めと煙の行方 【チリの旅】

【前回までのあらすじ:2013年。35歳ヒモ男がバツ2となりホームレスに。行くあてもなく向かった先は成功している先輩経営者a.k.aアニキ。人生相談すると世界一周の旅に放り出されることに。ペルーで強烈な民間療法を終えた僕は次の国チリに移動することを決意。】 

 早朝に空港カンターに向かうも当日チケットは高くて翌日のフライトを予約した僕は、オメオメと空港から引き返し先ほどまでいた安宿へ戻った。

足止め決定!小さな港町アリカ2泊目!

 さっき勢い良く飛び出した宿へ戻り、オーナーに事情を説明すると、彼はホットドックを頬張りながら

「まぁ、落ち着きなよ。お前はセッカチすぎる」

日本でもセッカチと言われる僕。のんびりな南米の人には見えない早さで動いているらしい。

セッカチ。カッコよく言うと、時間貧乏性。(←かっこ良く無い)

少しでも早く、効率よく、生産的に動いて同じ時間を2倍にも3倍にも活用したい。ダブルブッキング、同時進行、ながら◯◯、大好物なジャパニーズおじさん。


とにかく、何かをする時間は常に短くしたい僕。ゆえに、めっちゃミスが出て、そのミスをカバーするので時間がかかり結果、余計時間がかかることもシバシバ。というか、毎度のことだ。

 もうどんなに慌ても明日の8時まで飛行機は飛ばない。セッカチな自分がこんなスモールなタウンで明日の飛行機を待つという貴重な旅の時間を無駄に使うのが死ぬほど辛かったが、今日という日は旅の一部から削除するつもりでホットドッグを食べに行った。ドリンク付きで120円。大きい。

ソーセージが見えなくらいマヨネーズを塗られる


 ホットドックの写真を一眼レフで撮っていると、「そのゴツいカメラで俺らも撮ってくれ!」と隣のカップルに言われる。

俺が撮った貴方達の写真はどうすればいいんだ?


むむむ。

アリカというこの街。そしてこのHoney B&Bという宿。

人も明るいし、居心地が良い。


南米のホットドッグが僕の血になり、心臓に送り込まれた後、セッカチだったはずの動脈がゆっくりと南米の血を僕の全身に注ぎ足す。

「のんびり行くかー。」この小さいながらも感情豊かな街にいると、そんな気に不思議となった。


ビールを買って飲みながら街をスケボーで滑る。

強い日差しが僕の肌をカリカリ焼く。

スケボーを思い切りプッシュするとそこは海だった。

旅に出てから初めて見る海。正直、すっげぇ落ち着く。アザラシ?みたいなのがたまにプカプカ浮いてる。(画像には写っていないが)



おっしゃーーーー!!!!



旅ぃぃぃぃ!!!!!!



 テンションが上った僕は、思い切り叫ぶ。周りの人がちょっとびっくりしていたが関係ない。

 宿に戻ると、やっぱり今日も日本人の宿泊客はいない。リマを出て日本人どころかアジア人を1人も見ていないが寂しい。それでも手前味噌だがこういう時、僕は拙いながらも英語を話せる勇気と知識がありコミュニケーションを取れて良かったと思う。
 英語が話せるチリ人がいると、それだけで楽しいのだ。南米のノリが英語に宿るので盛り上がる。

 言っていることがわっけわからない相手の言葉が急に理解できる嬉しさと言ったらならい。

ノリの良いチリ人にワインをせびっていると(こういう図々しさが僕にはあったのだ)、今晩はBBQパーティをするという。もう夕飯を食べていて満腹だったが参加することにした。


参加費1人400円!で肉食べまくれた。


しかもこの日は、チリVSペルーでサッカーワールドカップの予選試合があるというではないか!

隣国同士、顔も言語も同じというのに、とっても憎みあっている両国。

こういう分かりやすい国同士が試合すると面白い。盛上がり方も半端じゃない。相手の陣地に入っただけで興奮して立ち上がり叫ぶ宿泊者(笑)。まだ50mもあるよ!

僕も一緒になってチリを応援する。


ハーフタイム。

皆で外に出て肉を焼いたり、飲んだり。すると甘い香りが漂ってきたなとクンクンしていると「アミーゴ」と声を掛けられる。振り向くと


パイプを差し出された。マリファナだった。


出てきたか!そりゃそーだよね。

めっちゃサブいんだけど聞いてしまう。

「チリって、これ合法なの?」

「外で吸ってたらポリスに注意されるけど家の中だったら大丈夫だよ」

と、どっちやねん!という返事がくる。

差し出されたパイプはまだ僕の目前にある。

日本人も他にいないし、別に吸っても良いんだけど。。。

アヤワスカであんなの体験しちゃってるし、今、ワインやらビールで普通にいい具合だし、20代ならいいけど、こんな年して、しかも一度経営者もやってるし、今更、海外にいるんでマリファナ吸います!というのも、

ちょっと、、、ね。

ということで、まぁ吸わなくても良いと0.2秒で判断しようとしたけど、、、

このBBQやチリ人との一体感がたまらなく良かったので、断りたくないと0.5秒後には思っていた。


「グラシアス」


パイプを受け取り、先にライターで火を点け、

プカプカプカ〜。

口中に煙を入れると、甘くて青臭いを肺に届けたのを確認して、ふぅーーーと吹き出した。

「ムイ ビエン(いいねぇ)」なんて感想を言いながらもう一服いくか。


とはいえ、「何やってんだ?俺」という感覚も煙の行方が定まらぬうちに込み上げてきた。。

最初から、すぐ「I'm OK, Thank you」(僕は大丈夫だよ、ありがと)

と笑顔で言えば済むものの、何をしてんんだろ、俺?


人との一体感、楽しい時間はマリファナからは生まれない。

僕はこの旅でしっかり学んでいるはずだ。

人と人との繋がりは



経験の共有。感情の共有。特殊な時間の共有。



こんなつまらない気を使った所で一体感なんか生まれない。


僕がそんなことしなきゃ誰かがもうひと吸い出来ただろうし。


Fuck 俺。


後半が始まり、ぼくは試合に集中できなかった。

応援が足りなかったのか、いつもはペルーに勝つチリが負けた。


それすらも僕の責任な気がした。


足止めを食らったアリカという街。


旅の1ページから削除しようと思っていたけど、切り取った今日という日は、額に入れて飾っておきたいぐらい楽しく、そしてほんの少しだけ苦い味が僕の舌と心に残った。


明日はいよいよサンティアゴへ。

(妻のアサミと出会った街)

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note頑張って更新します!目標は週2,3回、、、、【旅の準備→世界一周→起業→会社売却】までを気長にまとめようと思います。面白いと思った方はnoteまたはTwitterをフォローいただければ幸いです。

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ホームレスになったヒモ男、世界一周したら小金持ちになった話。

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