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他人を通すことでしか、自分を知ることはできない

以前に職場の先輩から、「他人を通すことでしか、自分を知ることはできない」と、言われたことがある。
先輩が言うには、誰かと話していて興味があること、誰かの癖を見て不快に感じてしまうこと、そんなことをしっかり自分で感じ取り、積み重ねることで、自分を知ることが出来ると言うのだ。

じゃぁ、あまり人と話すのが得意じゃない場合、それだけ機会を失っているということなのか?
実はそうでもなくて、本や映画などの人が描いた世界の登場人物を通して自分を知ることも出来る。マンガやアニメ、ゲームの世界でも、構わない。著者の考え方や、ストーリーを通して、自分を知ることは出来るのだ。

そんな話を聞いたのはもう、1年以上前の話だったから、すっかり忘れていたのだけれど、久しぶりにその話を思い出す出来事に出逢った。

コンサルのお仕事をされている方のお家にお泊りさせてもらった。
昼過ぎに到着し、それから昼食を用意してもらい、食べ終わるとそのままずっと話し続けた。カフェへ移動した後も、夕食(外食した)の間も、ずっと話し続けていた。夜になるとその人のお子さんも交えてネットフリックスを見て、翌日も朝食をともにしていた。

以前から知っている人だったけれど、やっぱり気が合って良かったと、そんな風に思っていた。
その人の家に泊まったのは初めてだったけれど、そもそも足を踏み入れたことすらなかった。お子さんにも、飼っている猫にも、初めて会った。家の雰囲気も落ち着くし、お子さんも猫も全然人見知りをしなくていい子たちだと、そんな風に思っていた。


でも、話を聞いていると、実は全然そんな事がなかったのだそうだ。
確かにその家は落ち着く雰囲気があり、みんな長居して帰っていくのだそうだ。けれど、お子さんも猫も実は人見知りで、特に猫は超が付く程の人見知りらしく、誰か来てもスグに逃げてしまうのだそうだ。

いやいや、昨晩、私の足元で丸まって寝てましたけど……

その人は一度も一緒に寝たことが無い(お子さんと一緒に寝ている)らしく「嫉妬する!」と半ば本気で猫に怒りとも哀しみともつかない視線を投げかけていた。

でも、その後しばらく黙りこみ、「何でだろう……」と考え始めた。
この人とはただ知り合いを通して仲良くさせてもらっているだけで、実はコンサルを受けたわけではなかった。けれど、職業柄と言うこともあるのだろうか、以前私が「自分の強みが分からない」と漏らしたことがあったのを覚えていてくれたようだ。

ふと顔を上げ、
「あぁ、肩の力が抜けているからその場の雰囲気にスグに馴染むんだね」
と言われて、はっとした。それが私の強みだと言う。

実は、今の職場でも入って2ヶ月ほど経った頃、すでに「もう2年目ぐらいですよね?」と言われたり、「以前一緒に働いていた○○さん、知ってるよね?」と、以前その職場で働いていた私が知っているはずもない人を知っていると、つまり「過去のその場にいたよね?」と言われるのだ。

職場だけじゃなく、友人の家に初めて遊びに行った時もそうだ。
ただ晩ご飯をご馳走になっているだけのつもりが、「なんだか、いつもそこに座っているみたい」とご両親に言われたこともある。もちろん、そのご両親も初めて会う人だった。

本人(私)は全く意識をしていないし、そんなことが強みだとも思っていなかったけれど、肩の力が抜けて自然とその場の雰囲気に溶け込むことが出来る、それが私の強みなのだそうだ。
そういえば自分でも以前、周りに気付かれないと、そう書いたところだった。

↓その時の記事

その時は「特徴」としてとらえている程度だったのだけれど、確かに自分でも『曇り人』としてどう生きていくかを、ぼんやりと考えているところだった。

存在を消せる特技と言われたことはあるけれど、冗談だと思っていたから、強みとは思っていたなかった。確かに良く言えばその場に馴染んでいるのだろうけれど……。
肩の力が抜けていることを強みと言われても、それをどう今後の人生に活かせばいいのか分からないのだ。猫と仲良くなれることぐらいだろうか。笑

その場では確かな答えは得られなかったし、それを考えるのはきっと強みを認識した今から考えるべきことなのだろう。
コロナのこともあり、誰かと長時間話したことも久しぶりだった。けれどたくさん話して、少し前進することが出来た。
自分の目指すべき道を見つけるための大きな一歩だ。


「他人を通して」の方法は人それぞれだろう。
私も本を読んで自分を見つめていると感じる瞬間もある。けれど、私はあまり意識が出来ていなかった。その瞬間に何か思うところがあっても、自分の感情が芽生えた瞬間をしっかりととらえることなく、次に読み進めてしまっていることも、たくさんあっただろう。

他人を通して自分を知る。
あまりその考えに触れたことのない人は、一度意識をしてみて欲しい。
私は今回、ダイレクトに人と触れ合う機会で強みを認識することは出来たけれど、思うように人と会う機会を設けることは難しい時代になってしまった。私のように直接他人を通して自分を知る機会を得ることが難しい人もいるだろう。
けれど、私ももっと早くから意識をして自分を捉えようとしていれば、読書など、違うタイミングで自分の強みに気付いたかもしれないのだ。


読書などで他の人の考えに触れた時、もし自分と照らし合わせる瞬間が来たら、もし「自分だったらこうするのに」と感じた瞬間があったのなら、その瞬間を大切にして欲しい。
自分を知る機会になるはずだ。

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