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自分の商品価値を意識して働く ー レジュメに何が書けるか?

これまで20年間アメリカで働いてきた。その間に不本意にレイオフに会ったり、クビ同然の宣告を受けて会社を去ったり、それに伴って失業も味わった。それら自体はとても不本意なことだ。だが、これらの不本意な経験のお陰でアメリカで生きていくためには、自分の商品価値を意識して働くことが大切だと身にしみた。不本意な状況になっても、転職できる態勢でいる。転職の際の自分のレジュメ(履歴書)にどんなことが書けるか?を意識する。とても打算的でギスギスした考え方に誤解されるかもしれない。でも、そうではない。ジョブ型雇用がどんどん進む世界でサバイブしていくには必要な考え方であり、それ以上に自己成長のためにとても重要な考え方だと思う。

自分の商品価値を意識して働く思考

自分のレジュメに何が書けるか? どんなことを書いて自分を売り込むことができるか?を考える時に役に立つ思考が3つある。

アチーブメント思考

レジュメには、これまで自分が経験してきた仕事での職務の明細(ジョブディスクリプション)を記述するのが基本だ。しかし、職務明細項目だけを書いていたら、自分と同じ職務を経験した人と内容が全く同じになってしまう。自分の商品価値が、同じ職務を経験した人と全く変わらないということだ。僕はジョブディスクリプションよりも、ジョブアチーブメントを意識するようにしている。自分が経験してきたそれぞれの職務で、どのような自分独自の成果を上げたのか? その職務で何を成し遂げ、どのように会社に、プロジェクトに、社会に貢献したのか? 職務の明細ではなく、自分がこなした職務の中でユニークに達成したことを書くようにしている。

スキルに関しても同様だ。自分の持っているスキルや資格を羅列しただけでは、同じものを持っている人と商品価値が同じにしかならない。そのスキルや資格で、どんなこと(アチーブメント)をやり遂げたのか?を書いて初めて、他の人達とは違う自分だけの商品価値が生まれる。

僕は転職活動を積極的にする・しないに関わらず、少なくとも年に1回、あるいはそれ以上の頻度で自分のレジュメを見直すようにしている。そうすることで、過去1年の間にどんなアチーブメントを成し遂げ、レジュメに追加できるか? 次の1年にどんなアチーブメントを達成したいか? 自分の成長を意識して働くことができる。

付加価値思考

自分が新たな人材を採用する立場だったとしたら、その職務に合った経験・能力だけを持った人材よりも、それ以外にもおまけの能力・経験を持つ人材の方が魅力的に感じるだろう。自分にとってプライマリの職務に関する能力・経験に磨きをかけるだけでなく、植物の根っこのように、自分が興味を持ったいくつかの新たな分野に触手を伸ばすと、自分の商品価値に新たな付加価値がつく。

もちろん選択と集中のバランスが必要だ。自分のプロフェッショナル専門分野が不完全極まりないなのに、さらに別の分野に広げようとし、挙げ句の果てに、すべてが不完全燃焼で中途半端に終わってしまっては、自分の商品価値どころの話にもならない。

僕が戦略的に行っていることは、
・自分の得意・興味と合致するものだけに絞ること、
・磨きのための個人の時間を確保すること、
・その絞った分野におせっかい介入し、才能のある同僚や若手を捕まえてきて、ランチやコーヒーブレイクや1:1ミーティングで贅沢なマンツーマン教育を受けることだ。

2年前、僕が今の会社に入る時、上司が僕を皆に紹介してくれた。「日本人のShohei Ohtaniが大リーグで大活躍している。彼は投打の二刀流だ。しかし、今日我々の会社に入ったKatsuは、トキシコジストであるだけでなく、パソロジストであり、レギュレトリスペシャリストでもある三刀流だ。」
上司は、もちろん誇張して言ってくれたのだが、僕の付加価値戦略が功を奏したと感じられて嬉しかった。

この付加価値を発展させて、自分のプライマリの職務以外でも、会社やプロジェクトに貢献するようになると、自分の商品価値にさらなる相乗効果を生む。会社にとっては、やめられたら取り替えが困難な人材となるのだ。

自責思考

自分を売り込むことばかりにフォーカスすると、レジュメの内容が事実より誇張されたものになりがちだ。レジュメに書いた内容に、100%全て自分で説明責任が取れるか?自問自答する。 上司、部下、チームの仲間、誰にでも、堂々とレジュメの内容を見せられるか? 会社の機密情報を自分を売り込むために漏洩してしまっていないか? チームで達成したことなのに、あるいは自分はほんの一部で関わったことなのに、さも自分だけで成し遂げた実績のように書いてしまっていることはないか? 自分の弱み・失敗も素直に開示できているか?
レジュメに書かれた内容は、自分の人間性も試されているのだと思う。

実際の転職をする際には、レジュメに書かれた内容やジョブインタヴューで話した内容が、本当かどうかを、元上司や同僚に新雇用主が電話で確認するリファレンスチェックが行われる。転職を成功させたいために、あるいは、自分をより高く売り込みたいために、不誠実なレジュメを書いた挙げ句、それがバレたり、実際のパフォーマンスがぜんぜんそれに及ばなかったら、全てが藻屑となる。いったん失った信頼を取り戻すのは大変なことだ。

レジュメを定期的にアップデートし、その内容に自分は100%説明責任が取れるか?を自問自答することは、本当の自分の成長を見極めるためにとても重要なことだと思う。

最後に

僕はこれからも年齢を気にせず、自分の商品価値を意識して働きたい。自分に商品価値があると思えるなら、往生際悪く、いつまでも働き続けたい。でも、自分の商品価値に自信がなくなったら、潔く引退したい。






#大切にしている教え

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