雪の結晶はなぜあんなに美しいのか
それは無駄がないからである。私も雪の結晶のように無駄がなく、洗練された仕事がしたい。手数が増えれば増えるほど、フローが増えれば増えるほどミスは起きる。全ての手順はできる限りシンプルにする。それが望ましい。
1、それなのに今の現状は・・・
私は北海道のスーパーで採用の仕事をしている。今現在の当社の入社手続きについて図にまとめてみたのでご覧いただきたい。
何と美しくないのだろうか。ムリ・ムダ・ムラが多いことが一目でお分かりいただけるだろう。一体書類は店舗と本社と入社者の間を何往復すれば気が済むのか。この手順を踏むことで起きる問題は3点あると思っている。
①個人情報流出の危険性
私はアナログな人間だ。本は必ず現物で買う。ページをめくる一時が好きだからだ。紙質だけで買う本を選ぶことも少なくない。だがしかし、個人情報を取り扱う仕事において紙を使用するのは正直ナンセンスだ。どのタイミングで個人情報が流出するかわからない。鍵のかかるところにしまうか、もしくはシュレッダーにかけてしまうまで一時も心は休まらない。人事経験者であれば共感いただけるのではないだろうか。
②印刷する紙と時間の無駄
一体この書類たちは何回トラックに乗っているのか、その度に2~3日かかっているではないか。
③入社者の負担
入社に必要な書類は10枚を超える。その度に1枚ずつ名前を書かなくてはいけない。もはや、全ての書類に別の名前を書いてやりたい気持ちになる。
以上を踏まえてわたしがやりたいことを実装イメージとしてTo-Beに記載した。
応募者はアプリのフォーマットに必要事項を記入していくだけ。名前や住所を何度も書く必要はない。
本社のシステム担当者はスプレッドシートで情報を受け取り、すぐさまシステム入力に移ることができる。
システム入力後、返却が必要な書類やマニュアルはPower Automate Desktopを使用してまとめてメールで送付
2、今回のステークホルダーは誰だ?
大体の実装イメージがついたので私はステークホルダーの根回し作業に移ることにした。まずは登場人物について図で説明させていただく。
根回し作業をするにあたって絶対にやってはいけないのは、いきなりトップの人に話をぶつけることだ。まずは実際に作業する人、同僚、自分の上司を巻き込み、味方につけたうえで決裁権限者に提案する必要がある。
上記図で行くと一番鍵を握っている人物は「人事管理マネージャー」である。今回取り扱う入社手続きは「教育・採用グループ」から「人事管理グループ」への業務引継ぎともいえるものである。受け取り手側の「人事管理グループ」が納得してくれないと話はうまく進まない。
そして私は既にいくつかの課題を人事管理チームからいただいている。
電子化はできるのであれば概ね賛成。ただし、押印に変わる何かが必要。例えば、誓約書の場合は「利用規約を守ります」の☑ボックスをつける、署名ができるようにするなど。
簡単な入力方法であること。問い合わせが増えて逆に時間のロスになってしまっては意味がない。特にPDF化は忌避されている。
3、Glideって素晴らしい!
さて、今回実装するにあたって私が使用しようとしているのはGlideというノーコードツールである。スプレッドシートとの連携が非常に簡単だという大きなメリットがある。
私はただの採用の人なので、コードは全く書けない。そんな私でも簡単にアプリが作れる優れものなのだ。今回インタビューをするにあたり、ほんの少しでもいいからプロトタイプのようなものを提示できたらと思った。実物を見るのと見ないのとでは説得できる力が違うからだ。
そしたらまあ、びっくり…!!!人事管理チームのご要望にほとんどお応えできるではないか!私は喜びいさんでいざプレゼンの場へ向かうのであった。ちなみにサムネイルに書いてある「グライダーになりたい」は、立派にGlideを使える人(=Glider)になりたいという願いを込めている。
4、Let's プレゼン!
私「皆様本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。先日よりお話ししております「最小手数で入社手続きを終えたい!」の件についてですが、本日プロトタイプをお持ちいたしましたのでご覧いただけますでしょうか。」
私「このように名前、住所などの必要項目は手軽にスマホにて入力することが可能です。管理マネージャーがご心配されていた「この書類を読みました」のチェック印も実装することが可能です。また、署名機能についてもすでに実装済みでございます!」
みなさん「おお・・・!」
私の心の声(まあ、まだ肝心の誓約書の文書をどのように実装するかまでは思いついてないんだけどね、てへぺろ)
私「続きまして皆様がご懸念されていた書類のPDF取り込みの件です。このように右下のカメラボタンを押して、写真を撮るを選択してカメラを起動し、撮影するだけです。これで免許証も雇用保険被保険者証も取り込み放題です。(実演)」
みなさん「おおーーーー!」
私「入力された情報はスプレッドシートに取り込まれるので、今までは紙に記載されていた情報をパソコンで再度入力しなくてはならず、転記ミスをする可能性もありました。でもこれからはコピペするだけで大丈夫ですよ。」
パートさん「すごい。時代はかわったのですね…。(しみじみ)」
管理マネージャー「でもこれ、お金がかかるんでしょ?」
おお!管理マネージャーが食いついてきてくれました。
私「いえ、ここまではすべて無料です。もちろん実際に導入するにあたってはもう少しセキュリティの強いものを導入する必要はあると思います。でも今現在やっていることは全てタダでやらせていただいております!」
管理マネージャー「タダ!無料でここまでできるんだなぁ。フリーDXだね。まずは中途入社から試してみたらいいんじゃないかな。うまくいったら新卒まで広げよう。」
なんと管理マネージャーご自身から「やってみたら?」の一言をいただくことができた。勝利!
5、フィードバックまとめ
大筋はうまくいったが、色々とご要望・修正もいただいたので、ここにまとめて記しておきたい。
★給与・福利厚生担当より
誓約書はただ☑ボックスにチェックを入れるだけではなく、きちんと読まないとチェックできない仕組みにしたほうが良い。よく最後までスクロールしないと進まない仕組みがあると思うがそれは実装できないのか。☞検討させていただきたい。
このアプリの「主」は誰になるのか。☞アプリの管理者が「主」となる。今のところ中途採用担当者を想定。グレードアップすればその他の担当者を呼び、複数名で仕事をすることが可能。
スマホを持っていない人、例えば水産一筋の人は入力できなくて困るのでは?☞「そんな人は採用してはだめ!水産でもDX必要」と管理マネージャーに代わりに返答いただく。
入力が終わったらアラートが飛んでくるようにしてほしい。☞鋭意制作させていただく。
★教育・採用マネージャーより
スプレッドシートからアラートが飛んでくる仕組みの実装は具体的にどのツールで検討しているのか。☞私:今のところPower Automate。☞教育・採用マネージャー:スプレッドシート連携ならmakeのほうがいいかも。具体的には○×○×○×○×←教育・採用マネージャーがデジタル強すぎて半分くらい理解できず。すみません。
★人事管理マネージャーより
実際に入力するパートさんが困らないようにしてほしい。スプレッドシートの項目はEBS(当社システム)と同じ配列にするとよい。非常に効率化につながる。
★人事管理チームパートさんより
書類が全部そろっていないのに提出してくる人がいるので困っている。☞これから電子化に当たり、どのデータが出ていないのか一覧できる仕組みになる。アラートが飛ぶ仕組みを検討しているので、採用担当が本人に催促させていただく。
住所のフリガナ入力をするときに全角・半角ではじかれてしまうので、それが実はてこずっている。☞なるほど。それはスプレッドシート上の関数で解決できるかも。一旦持ち帰る。
6、制作スケジュール
最後に簡単に今後の制作スケジュールに関してまとめておく。
最後に人事管理マネージャーから余談があった。人事管理システムのオンライン化は大手の会社が既にシステムを提供しており、多くの会社が利用している。実は当グループも1年半前に導入を検討していたらしいが、いつの間にか立ち消えたらしい。理由はよくわからないが、やはり大きなグループだからこそまとめるのが難しいのだろう。これこそ最もプロトタイプにふさわしい挑戦ではないか。「どこまでできるかわからないがとりあえず突っ込んでみよう」と改めて思うのであった。
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