生きているということ

あなたの手のぬくみ  いのちということ

谷川俊太郎 「生きる」

体調不良の中、診断がつかなかった10年のあいだ、生きているということについて考えずにはいられなかった。

とにかく言葉にするしかなかったので、ぶつかっても穿つように考える自力はこの時期に身についたんだと思う。


母、故郷で孫を抱く

順調にやっていく同世代を見て生まれたアイデアが

「生きてい『 く』ことと、生きてい『  る』ことの苦しみは根本から異なる」

という事だった。

貧しくてもいつも笑顔で生きていく人がいる。
その一方で何不自由ない生活を送っても自ら死を選ぶ人がいる。

生きている事の苦しみは誰にだってある。
大切な人との別れは必ず訪れる。
望んでもいない病気になる。
思い通りにならない事ばかりが人生を取り巻いている。

そう考えると、生きているということは一大事に思える。

そして一大事だからこそ大変なエネルギーを秘めているのだと感じる。


IVIg、3ヶ月に1度の入院。

自分が難病と分かってから、様々な同じ境遇の人と会う機会をいただいた。

その中の多くの人が、健康な人でも発揮できないようなエネルギーで動いている。
それはきっと一大事がより身近にあるからだろう。

全ての人にとって  生きていることは  一大事

一人一人に秘められたエネルギーはきっと測定不能な程に大きい。
あとは進むべき方角だけ。

そう信じることに、決めた。


5年前、イタリア
屋根を修理していた。

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