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【2019シーズンJ1第7節】セレッソ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 マッチレポート〜武蔵を解き放て〜

 リーグ戦3連敗。必勝を期したルヴァンカップでの大勝。
 決して流れは万全でなく、それでも勝利への拠り所は失っていない。チームとしての連敗は脱したけれど、”本当に戦えるのか”。そんな自信を取り戻すための一戦となりました。
 もしこの日の試合でも……そんな不安を抱えながら、しかし、ある意味でサポーターがそんな不安から目を逸らすことを助けたのがかつてのチームメイトとの因縁だったとも言えます。
 「都倉にだけは点を取られたくない」「(温泉)ソムリエには負けられない」「ブーイング?無視?」等々、本来はソウザやヨニッチどうするの?ということや、自身の不調や悪い流れの心配をするところだが、上手いことピンクの9番に話題が分散した形となりました。

何はともあれまずは楽しいAWAY旅in大阪

 天気は晴れ。風強く、しかし非常に過ごしやすい。主要駅からのアクセスも良く、申し分なし。AWAYスタジアムに来て毎回思うのは、スタジアム外の広大なスペースを活用して展開されるスタグル屋台の充実度。本当なら北海道は札幌ドームでこそ、この辺の満足度高いグルメを出せるのに……毎度悔しいような虚しいような、そんな気持ちになります。大学の学食の方がよっぽど他サポに喜ばれる構成してました。久々に牛とろ丼食べたいです。ピリカラーメンも美味しかった。そんな思い出補正。

 翼をさずけられた都倉選手。このあとミンテに翼は折られることになりますが、相変わらず知的な雰囲気を携えたイケメンです。

 試合前。横山選手へのメッセージありがたいことです。セレッソの恋人については、何となくサポーターの総意ではない感じがします。

 アンロペゾーンは安全設計。陸上トラック挟みますが、AWAY湘南戦に比べるとゴール裏からもピッチ奥まで見やすい。

スタメン変更は最低限で

 前節からのスタメン変更は、怪我の荒野(社長談)に代わってCBの宮澤をボランチに、CBにキム・ミンテを配置。右ウィングにはルヴァンカップで好調を示したルーカスが中野に代わり入りました。水曜日のルヴァンカップに長時間出場し、どうなるかわからなかった福森や菅も代わらず起用。
 リーグ戦においては連敗中で、メンバーを代えることを打ち手とするチームもありますが、メンバーほとんど変えずに臨みました。実際のところ、ジェイや駒井がこのタイミングで復帰となっていたならば、ゲームプランをどのように変化させたのか、そこは少し気になります。
 対してセレッソは4-2-3-1。守備時は4-4-2の配置で柿谷・松田がサイドに落ち、守備ブロックを形成します。攻撃においては、ボール保持を優先しながら、サイド攻撃をベースに、5バックになったコンサドーレの横ギャップに偏りを作り崩していきます。

戦い方の変化と思い出す2017シーズン

 試合は野々村社長も振り返った通り、2017シーズンのような手堅さと、この試合を”大切にする”という慎重さを感じる展開でした。
 セレッソはここまでのリーグ6試合のうち、前半をスコアレスで終えた試合が3試合。概ね後半に試合が動く傾向にあります。そして、これは偶然の産物ですが、セレッソは1失点以上した試合でここまで勝てていません。勝利はすべて完封です。
 逆にコンサドーレは先制された試合はここまで全敗。守りを固めた相手を崩せない問題への回答を未だ出せておらず、前半に失点してしまうとかなり苦しい。ネガティブな状況の中で打つべき手を絞り込んで試合に臨みました。
 コンサドーレは守備においてプレスの初期位置を落とし、ボランチはハイプレスに参加するよりも、中央で蓋をしながら後方でカバーリングや数的優位を取るための役割を担っていたように思います。ネガトラにおける展開スピードを遅らせ、前節にうまく活用されたスペースについて丁寧に左右CBとWBがケアできるよう最終ラインを若干低く設定しました。
 攻撃においては、前節までに比べビルドアップにおけるリスク計算が堅めになされていたように思えます。例えば、サイドチェンジの減少、ニアサイドへのクロス数減少が挙げられます。これは両方とも、途中で相手にカットされた際のカウンターリスクが高い選択となるため、おそらくは約束事として極力選択しないことを設定したのだと思います。

悩める背番号9たち

 相手の背番号9は何せ5シーズンも在籍していたので、何となくでもピンクのユニフォームを着てどんなことしてくるのか、イメージは難くなかった。都倉が点を取るのは、ほとんどがペナルティエリア内でシュートを撃てるボールを供給されたとき。ワンタッチゴーラーとしての技量は高いが、チャンスビルディングにおける気の利き方なんかは杉本健勇の方が2,3枚上です。
 ロティーナ監督の指揮下ではシンプルに高さで勝負させるようなロングフィードはそこまで多用されない。ロングフィードに対する初期位置の確保、腕の使い方、それ故の空中戦勝率の高さは抜群なだけに、試合を見ていく中で少々窮屈さというか、規律の中でスペシャルなものとして認められていないようなもどかしさ、そしてその中で変異しよう苦心しているような、そんな様子が見て取れました。これはチームが悪いわけではなく、彼もまたこのチームの中で与えられた役割をまず全う出来るように変わっていくべきタイミングなのだと思います。
 そしてそれは赤黒の9番も同じ。
 先日のルヴァンカップHOME湘南ベルマーレ戦。相手DFラインの裏に広大なスペースを得たことで解き放たれた武蔵はハットトリックという結果を残しました。
 しかし、セレッソは高い守備意識の中で、ネガトラの帰陣が早く、リトリートされれば4枚+2枚で守備ブロックを形成。少ないスペースをシンプルに崩すことは容易ではありませんでした。チームとして勝利を得たものの、DFがセットプレーからもぎ取った1点のみ。フォアザチームの意識が非常に強くプレーに顕れている武蔵ですが、自身のシュート0本という結果に何を思うのでしょう。
 現在、ミシャからポジショニングや相手との駆け引きを学んでいるということをトークショーで話していましたので、敵陣に押し込んだ際にできるプレーバリエーションが今後どのように広がっていくのか、とても楽しみです。

ポジトラにおけるタイムロス

 後半は特に守備時は5-3-2気味で、柿谷の裏にアンロペが残り、奪取後の起点として生きることに。今までの試合でもこの形は見ることが出来たが、アンロペが単騎突破する以外になかなかこのロングカウンターが相手の帰陣を待つことなくフィニッシュまで到達する場面は作れていない。この試合では、セレッソの帰陣が速かったこともあり、ロングカウンターはほぼ不発に終わります。特に、アンロペからチャナティップへのピッチを横断するようなロングパスが外側に流れがちでタイムロスに。カウンターにおける攻撃側の理想としては、ペナルティエリア幅の内側で攻撃を完結させることで相手の帰陣を許さずフィニッシュまで進めたいところです。

4バック相手に有効なアンロペの仕掛け

 複数回あったアンロペのドリブルでの仕掛け。その中でおそらくは意識的に、CB-SBの両方を動かすコース取りをしていました。CBにまっすぐ仕掛けるのではなく、SBの絞りを強要することで、右WBのルーカスのスペースを確保。そして、武蔵のダイアゴナルランに対してスルーパスを出せる持ち方をしています。パス自体はCB木本に引っ掛かってしまいましたが、カットイン以外のバリエーションを持つことで効果的な崩しの予感がします。

最後に

 守備戦術に幅を持っているロティーナ監督を相手に、どうしても勝ちたい一戦、リスク管理を厚く設計したゲームプランは結果として+に働きました。しかし、このメンバーで戦う上で最適解なのかというと、少しばかり疑問の残るところです。とはいえ、まずは勝利を欲していたところ。これで社長もぐっすり眠れます。
 次戦は横浜Fマリノス戦。小松菜奈から生田絵梨花に好みが変わったと話題の三好をHOMEに迎えます。マリノスに対してどのような試合運びをしていくのか、両者攻撃的なスタッツを叩き出しており、これまた社長も楽しみにしているようだったので、興味深いところです。
 (チャンス構築率(シュート数÷攻撃回数)が1位・2位同士の対決)

 連敗中はチャントについての問題提起や各々の価値観についての発信などで若干ぎくしゃくした空気もありましたが、大阪の地で以下のような感想を得られたので、自信を持ってゴール裏は楽しいよということを最後にお伝えしておきたいと思います。以上、長文読んでいただきありがとうございました。

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