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note小説 三十路のオレ、がん患者

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毎週月曜更新の小説。30代の会社解雇された「オレ」がガンになり、患者視点から描いていく
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2016年6月の記事一覧

note小説 三十路のオレ、がん患者   第22回 末梢神経障害

note小説 三十路のオレ、がん患者   第22回 末梢神経障害

引き続き、抗がん剤治療。

世間で抗がん剤と言えば、脱毛と吐き気だろう。
そして、死の間際。

残念ながら今やっている抗がん剤に関して言えば、これらは当てはまらない。

脱毛も吐き気もない。
当然ながら死の間際にいる実感もない。

テレビで見る抗がん剤で痩せ細って髪の毛のない状態の芸能人のイメージがあるかもしれないが、オレの場合はそんな事ない。

まるで快適に思われるかもしれないが、それも違う。

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note小説 三十路のオレ、がん患者   第21回 人は離れていく、最初だけ

note小説 三十路のオレ、がん患者   第21回 人は離れていく、最初だけ

転移したと言われたら周りの反応はどうなのだろう。

ガンという事も一部の人以外には伏せている。

一度拡散してしまうと取り返しがきかないからだ。

今回の手術にあたっては応援してくれる人がたくさんいた。

半ば喧嘩別れみたいになって連絡をしてなかった人まで連絡をくれた。

今回はどうか。

そう思っていたら昔の上司からメールが来た。

いつも年度初めの時期にメールが来る。

オレよりも早く辞めたが

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note小説 三十路のオレ、がん患者   第20回 抗がん剤スタート

note小説 三十路のオレ、がん患者   第20回 抗がん剤スタート

結局、始まったのは昼過ぎからだった。

何故、前日の昼に入院をしたのか不思議だ。

病院の都合でやるからだろう。

そんなもんだ。

何もしなくても入院生活というのは普段の生活に比べ制限がかかるから可能な限りはギリギリで入院をしたい。

今日は、母が付き添いだ。

手術とは違うので来ても来なくても構わない。

副作用が出たところで母にはどうにもできない。

何かあればナースコールをするまで。

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note小説 三十路のオレ、がん患者   第19回 また入院

note小説 三十路のオレ、がん患者   第19回 また入院

抗がん剤を始める時は副作用の経過を見る為に入院を1週間ほどする。

4月に手術して一安心だったが、また入院する事になり、うんざりした感じは否定できない。

いや、うんざりしてる。

3月の緊急入院、4月の手術の入院、そして今回の抗がん剤の為の入院。

イヤにならない方がおかしい。

また今回も歩きで病院へ行った。

一応、入院するのはこれきりで2回目以降の投与は通院となる。

オレの場合、Xelo

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