マガジンのカバー画像

教師じゃない僕が教育現場で思うこと

25
運営しているクリエイター

#学校教育

中学生の職場体験をアップデートする

知らぬが仏中学校の総合学習の目玉コンテンツのひとつ、職場体験。地域の企業に2〜3日間入り込んで現場でお仕事を体験、はたらくとは?自分は将来何をしたい?と問うキャリア教育の最も代表的なプログラムです。 気仙沼では多くの中学校が2学年で職場体験を実施するのですが、僭越ながら私コロナ禍をきっかけに「職場体験に何とかメスを入れたい」と考えるようになりました。なんででしょう。 何年も中学校の総合学習を地域とつなぐ役割を担ってきましたが、職場体験はノータッチのカリキュラムでした。既存

探究学習をはじめた気仙沼の中学生が夏休みに自主的に地域に飛び出した話

中学生が動く動く8月19日、夏休みも残すところわずか。久々の晴れ。1学期の総合学習で計画した探究プロジェクトを実行に移す中学生たち。 午前。唐桑中学校の3年生。 遊歩道オルレコースの撮影と浜清掃がしたい!と女子生徒5人が集まりました。海を崖の下に見ながらリアス式海岸の森の中をきゃっきゃと言いながら歩いていきます。 (私は後ろからついていくだけ。) (人より遥かに大きい津波石。) 続いて浜に到着。 たった10分くらいで彼女たちが持参したスーパーの袋はすぐいっぱいに。流

学びを通してチャレンジが連鎖するまちになってきたかもと思った瞬間

気仙沼で一緒に活動するなるさんからお誘いを受けました。「今度、高校生と外国人実習生とバスケするけど、来る?」 その男子高校生は高校の「課題研究」という授業で、外国人実習生たちとのコミュニケーションを深めようと探究しています。そこでスポーツに目をつけ、自らスポーツ交流会を企画した、というのです。 当日、PIER7という内湾エリアにある施設。バスケコート半面分、ガラス張りの屋内運動場にベトナムからの実習生6名がやってきました。高校生は3名。お互いどこかぎこちない感じで自己紹介

子どもの消費大好きマインドを創造大好きマインドに切り替えるには

先日とある中学校の探究学習のお手伝いに行きました。総合的な学習の時間を使って、1,2,3学年全校生徒が一斉にこれから取り組むテーマ設定を行っています。基本一人一つのテーマで「未来の気仙沼を支える」探究だったら何でもOK。 その学校にとって、今年度からの新たなチャレンジです。とてもわくわくする学習です。昨年度から先生たちが時間のない中準備をしてきました。 一人一つとなると実に多彩なテーマが出てきます。防災、環境、人口減少。みんな机の上にそれぞれiPadを出し慣れた手つきであ

校長先生がコロナ禍でタブーをクリアするとき

気仙沼の唐桑半島のおんちゃんたちのあるある言いたい。「おれらのころはプールなんてねがったんだ!浜さ行って泳がされたんだぞ!」言いがち。 はい、コロナ禍でプールが中止になった昨年。この小学校の校長先生(当時)が「プールがダメなんだったら海だ」と粋なことをおっしゃいまして、浜の漁師会を口説き「海に親しむ会」という全校生徒で浜に行く企画を実現させました。 今日7月12日はその2年目でした。今年も大盛況。浜の漁師会や公民館だけじゃなく、唐桑の漁協、消防、なんと気仙沼海上保安署まで

学校現場に2週間通ったら見つかったこと

ヒントは必ず現場にある気仙沼のある中学校に2週間通いました。朝から夕方まで。職員室に置いてもらって職場見学です。 毎朝、開通したばかりの気仙沼湾横断橋を渡ります。橋も含めて「復興道路」と呼ばれる三陸道です。この2週間、ルーティンのBGMが誕生しまして。 浦島のトンネルを抜けて、橋に差し掛かる瞬間。大島の緑と海の青緑、空の水色、白い尾を引く漁船と雲、深緑の山を背に所狭しと並ぶ気仙沼の市街地が右から左から目に飛び込んできます。その瞬間がサビに入るタイミングと被ったらもう鳥肌が

【中学生が突撃】気仙沼のUIターン移住者に聞きます!あなたがはたらくのは何のため?

自分たちで企画してみよう!〜中学生の職場体験〜気仙沼の中学生4名が2日間まるオフィスに職場体験にやってきました。まるオフィスには教育と移住支援の事業がありますが、どれもルーティンの業務があるワケでもなく、なんなら事務所もデスクもありません。いずれにせよ、ただ受動的にインプットするだけじゃつまらない。何かミッション(任務)があるといいな。 彼ら自身に何か「企画」してもらうことで「はたらくって楽しい!」ということを実感してもらおう。これがまず私の目的で、それを4人に共有します。

メディアにそそのかされてゆたぼんに低評価つける人とぜひ考えたい、本題とは?

このYouTube投稿から始まり こういう記事になり、それに対してひろゆき氏がTwitterで書いたことが こういう記事になる。 ここで残念なことに「中学校に行く気はありませーん!」なことは是か非かだけで見てる人が多い。メディアの思うツボ。ゆたぼん氏の動画を全部見た人は少ないかもしれない。気になるなら見てない人は見てほしい。たった7分。倍速でもいい。 冒頭を見れば分かるとおり、この両手を広げた子どもっぽい演出の写真は動画中の一場面でサムネではない。 じゃあ、これがニュ

タブレット片手にさっさと学校を飛び出せばいい

タブレット授業開始  気仙沼市内小中学校 2021年1月22日の地元紙「三陸新報」です。「その時歴史が動いた」ですよね、これはもう。10年後子どもたちにこの記事を見せたら「じゃあこれ以前はどうやって勉強してたの?」と聞かれるでしょう。私が「ケータイがなかったころ、どうやって仕事をしていたのか」想像できないのと一緒でしょう。 それ以前はね、黒板を見ながらノートに鉛筆で手書きで書いてたんだよ。教科書とは別にプリントもその都度配布してね。先生はプリント配るのが上手だったんだよ。

「探究学習って何なの?」と中学生に聞かれたら

私は気仙沼の公立の中学校で「探究学習」のサポートをする仕事をしています。探究学習って何でしょう? 10 × 10 = □ これが従来の学びだとしたら、 □ × □ = □ これが探究学習の形になるでしょう。従来の学びだと「問い」を出されて「唯一解」を教えてもらいます。10が10個あるから正解は100です、と。一方、探究は「問い」から自分たちでセットします。するとだいたい絶対解がないものになります。ですので、仲間たちと協力しながら「納得解」を出すという作業が待ってます。

学校のチャイムは工場を模したもの?労働者を量産するために始まった公教育

「この歳になって学校の教室に入ってびっくりしましたね。黒板があって教卓があって、一律に前を向いた机と椅子が並んでて、後ろには棚があって、その隅には掃除道具入れ。タイムスリップしたのかと思いましたよ。何十年もこの景色が変わってないことに違和感しかありませんでした」 あるパネラー(登壇者)が言いました。2017年渋谷で行われたフォーラムを聴講するために気仙沼から上京したときのことです。そのときの私はまだ学校に関わり始めた頃でした。「こんなに社会は急激に変わるのに、それでいいんで

キーワードは「失敗」。先の見通せない社会をたくましく生きる力って?

「失敗にどう対処するかという能力である」 なるほど!と思いました。 こちらの本を読んでいて発見。「グリット(grit)」という言葉があるそうです。 ペンシルバニア大学のアンジェラ・ダックワース教授の研究では、「グリット(grit)」という粘り強くやり抜く力が人生のあらゆる成功を決めると提唱している。 (同書 23p) すでに米国の先端企業では、従来型の学力評価だけではトップ人材を雇うことができないという認識の下、採用プロセスの改革に取り組んでいる。(中略)イーロン・