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【詩】禊

塗りたくった偽り 拭いきれぬまま汚れていく
赦しを求める
眉尻を深く下げる 湿った四肢の願うように
祈りを綴った
溺れたように浴びる雨 穿たれて弾んだ音
この汚れやこの涙さえ 流れてしまえば

移り変わりくたびれて消えてしまう夜に
水鞠の浮かぶ深海に香る紫陽花が一つ
こびりついた心さえ 後腐れと共に
三度目を瞑った何もかも失ってしまえたなら

着膨れした濡れ衣 染み込んだまま羽織っていく
針がまた沈む
柔肌を滑り落ちる ぬるま湯の気怠さの中で
ふやけてしまった
溺れたように浴びる雨 項垂れて落ちてく音
この重さやこの記憶さえ 流れてしまえば

移り変わりくたびれて消えてしまう夜に
水鞠の浮かぶ深海に香る紫陽花が一つ
溶けきれずに彷徨った萎びた目を隠し
やっと日を望んだ闇の中 孤独に別れを吐く

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