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重松清作品との気まぐれ


中学生の頃、重松清さんの本をよく読んでいた。初めて読んだ、『きみの友だち』という本は、当時の自分が背負っていた生きづらさをそっと溶かしてくれて、朝読書の時間に何度もよみかえしていた。5回くらい読んだかなあ。

『ナイフ』という小説も、すごく好きだった。いじめられていることを隠そうとする気持ち、とてもわかる。

そこから、書店に行くなり、重松清作品に目を通すようになった。

違うテイストの作品も読んでみよう、と、『ビタミンF』を手に取った。父親視点の物語だ。

でも、私は途中で辛くなって読むのをやめてしまった。この作品だけは、本当に無理だった。

男性が抱える弱さ、みたいなものを表しているのだと思うが、

何せ全く共感できず、むしろ悲しくなってしまったのだ。

短編集なので、色々な父親が出てくるわけなのだが、

結婚して妻がいて子供もいるのに、過去に思いを寄せていた女性とどうにかなろうとする主人公のお話などがあり、

あくまでも人間的な面として描いているのかもしれないが、それを美しい言葉を使って書くことで、正当化しているように感じ、気持ち悪いな、と思ってしまった。

ふつうに責任感が無いだけじゃないか!と思ってしまった。


他にも、高校生になった娘とうまく関われなくなった父親が、

「娘を「女」として見ている自分に気づいた。」

と言っていて、この文章を見たときに

あ〜〜〜無理だ〜〜〜

、となってしまい、読むのを完全にやめてしまった。

これがリアルなんだろうか。自分の父親も…?と想像するだけで嫌になる。

ビタミンFを初めて読んだときは、「気持ち悪いけど、もうちょっと大人になったらわかることもあるのかな」とも思っていたが、

20になった今も、ずっと気持ち悪いままだった。
そして、これからもきっとそうだと思う。

仮に、他の女性との第二の人生を想像することや、娘を女として見ていることが「父親」の「リアル」なら、秘密にしておいて欲しかったな。
表さなくても良いことってあると思う。

と、いうより、それらを美化している小説全体の空気感が1番無理だったな。

それからは重松清さんの作品にも興味が薄れてしまった。今もずいぶん読んでいない。

私の孤独と付き合ってくれた小説家は、「男は弱い」と謳って自己に酔っているつまらないおじさんだったんだ、と身勝手な偏見を持ち、悲観した。

『ビタミンF』が好きって方は、どのようなところを素敵だと思ったのか聞いてみたいなあ 純粋に気になる


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