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中国人から見た謎の生き物「日本人」と異文化コミュニケーション


異文化コミュニケーションに苦労する「日本人」達

在中日系企業の方々と話をしていると色々なところで苦労話を聞かされる。「部下が言うとおりに動いてくれない」「中国人部下とのコミュニケーションが難しい」「社員がすぐに辞めてしまう」等。

正直私から言わせると彼らの殆どの愚痴は、「彼ら」に原因があると考える。

① 「部下が自発的に仕事をしない」「指示したことをちゃんと遂行しない」

自発的に仕事をするように教育してこなかった、育ててこなかった、もしくは日本人管理職がそもそも教える能力がない。戦略・ビジョンを共有していない。仕事は全部自分でやってしまい、部下はただの通訳としてか使ってこなかった。そんな部下に自発的に仕事をしろと言っても無理だろう。

また、日本人の指示は往々にして抽象的で具体性に欠けるものが多い。「あれやっておいて」。何を、どの程度までやればいいのか分からない。こうこうまでしてこうなったら成功、OKという明確な指示が必要である。また、何故この仕事をやってもらうのか、これをやってもらうことで自分が部下に何を期待しているのかをも説明することも時には必要であろう。

② 部下との「コミュニケーション」が難しい

大体話を聞いていると、部下と積極的に話をすることをしていない人が多い。自分は高いところに居て、部下に自分の所まで登ってこいという態度である。いや、お前が降りて同じ目線で話をしろよ。

③ 社員がすぐに辞めてしまう

そもそも会社であったり、採用者、配属先の部署に魅力がないから。もちろん、給料等経済的条件も大きいだろう。日系企業の場合、そもそも優秀な社員を採用しようと考えるだけで、実際は本気で取ろうと思っていない。仮に優秀な人が面接で来てくれたとしても、「自分を脅かす存在になり得る」人間は採用しない傾向が強いと思っている。もしくは、自分の手の届かないところで何か悪さされるかもしれないと慄いている。

また、受け入れ側としての制度であったり、給与体系がクソなので、入ってくる人はアニオタで、給料はしょぼいけど首になりにくくて長い間働けると考えている人が殆どだろう。


相互理解の無さ+コミュニケーション不足

正直、雇う側の日本人と雇われ側の中国人で、お互いの文化に対しての相互理解が低すぎると日頃から考えている。

特に、中国人から見た日本人という生き物はまるで捉えどころのない、存在自体がよく見えない不思議な人たちに違いない。同じ日本人ですら、やっぱりおかしいよなと思うことはしょっちゅうある。

そんな中で、「日本人の行動様式は何故こうも分かりにくいのか」について、非常に分かりやすいNOTEを書いてらっしゃる方がいたので、そちらを引用してみたいと思う。

筆者によると、現地の中国人からよく出てくる日本人に対しての疑問は次のようなものだとのこと。

・仕事をするわけでもないのに、なぜか遅くまで残っている
・飲み会は、2次会、3次会まである(宴会をやるなら1回で済ませばいいのに)
・「Yes」「No」をはっきり言わない(日本語の「いいよ」がYesにもNoにもなる)
・会社は大事にするのに、家族を大事にしない
・必要以上に社内調整を行う(いわゆる根回し)

これは日本人であれば非常に納得する内容ではないだろうか。正直日系企業に勤めながらも、全くこういう感覚がない私は、絶対出世しないタイプである。(まあ、そもそも出世のために今の会社にいて仕事しているわけではない)

ちなみに私の場合は下記の通り。

・仕事がなければさっさと家に帰る
・飲み会は1次会で終わり。仕事の上りが早い為、0次会で終わることも。
・「Yes」「No」をはっきり言う為、会社から忌み嫌われている。
・会社を大して大事に考えていない(帰属感無)、家族が一番
・根回しなんかしたことがない

私の話はどうでもいいとして、筆者は日本人の行動様式の根源を「世間様」「村八分」で説明されている。これは素晴らしい、恐れ入った。

要は、日本人という生き物は、常に周りの人や環境に気を遣いながら生きて行かないと、非常に生きていくのが大変な社会であるということだ。(そう思い込んでいるだけなのかもしれないが)

自分に自信がないから、毎日の飲み会の誘いを断ることが出来ない、土日のゴルフを断れない、断ることで「排斥」されることを恐れている、上司よりも早く帰ると何か言われるかもしれない、怒られるかもしれない。自分の意見や立場をはっきりしてしまうと社内で居場所がなくなる、家に帰ると自分の居場所がない、だったら会社に長くいた方がいい……こうして見てみると、本当にくだらないことばかりだ。

ここまでの話は日本人と中国人という文化の異なる人同士が「わかり合えない」を乗り越える事例の一つですが、自分たちの行動の根底にあるものを言葉にすることが相互に理解するためのカギであると思いました。

言語化する、確かにこれは非常に大事なことである。ただ、日本人でこれをしっかり頭で理解して言語化出来ている人は恐らく少数であろう。

「沈黙は金雄弁は銀」という言葉があるが、人同士のコミュニケーションにおいて、沈黙が金になるわけがない。喋らないで金を稼ぐことが出来るのであれば、誰だってそうする。

ちなみに、我が家では人の声掛けや質問に黙っているとすぐさま雷が落とされる。返事をしないも同様。

その行為自体が「コミュニケーション拒否」ととられ、烈火の如く怒る妻がいる。黙ってたら何考えているのか分からないと、間違った意見でもなんでも口に出せ、意見を言え、意思表示しろ、と。

巷で良く聞く、「中国人部下とのコミュニケーションは難しい」の殆どは、そもそもコミュニケーション自体を全く取れていないのではないだろうか。お互い考えていることを派手にぶつけ合って喧嘩してでも言いたいことを言うことも時には必要であろう。

勿論、異国で生活しているわけだから、その国の文化であったり習慣を勉強し知ることも大事だが、まずは自分の目の前にいる部下であったり同僚ともっと話をして、お互いを知ることから始めるべきだと思う。所謂「中国はこうだから」とか「中国人とは」とかいう主語のデカイ話は正直どうでもいい。日本人だって色々な人がいるわけで、多数の民族がいる中国をそんな簡単に語れるわけがないだろう。


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