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「三国志」はマネジメントを学ぶ素材の宝庫

異文化研修で参加者に聞くことの一つに、「三国志」を読んだことがあるかどうかがあります。

吉川英治氏の小説でも、羅漢中の三国演義でも、それを漫画にした横山光輝の三国志でもいいのですが、これを聞くと手を挙げる人が非常に少ないんですね。

代わりにキングダム読んだことある人は?と聞くと結構上がるのですが、非常にもったいないなと思います。(別にキングダム読む価値ないということではありません。ちなみに私は読んだことありませんので評価できません。)

というのも、小説であろうと正史の三国志であろうと、ケーススタディの宝庫だからです。なぜ、人は同じような過ちを犯すのか、どのように上司や部下をマネジメントするべきかなどの教材がたくさんあるわけです。

で、マネジメントの観点から見てみると、三国志の登場人物である関羽(山西省運城出身)と張飛(劉備と同じ涿州出身)を比較してみると面白いことに気づきます。

関羽は、上司(や能力の低いもの)に不遜だが、部下を非常に可愛がり信頼が厚いタイプ、
張飛は、上司に謙虚(従順)だが、部下に冷たく信頼がないタイプ

劉備に付き従った二人ですが、まるで正反対のタイプですよね?

関羽はそれが元で孤立し、味方の援軍が来ないまま呉に囚われ斬首されました。張飛の場合、彼の横暴に耐えかねた部下に寝首を掻かれ殺されてしまいました。

まあ、どちらも両極端な例なのですが、現代社会でも似たようなことが起こっているわけです。こういう過去の歴史から教訓を得て、同じ轍を踏まないようにすることも歴史書を読む価値のあることだと思っています。

JTCの会社の組織で考えた場合、上司に好かれ出世していくのは張飛タイプかもしれませんが、このような人ばかりだと会社はダメになってしまいますよね。

逆に、関羽のような人間ばかりだと会社としても困ります。会社が関羽のような人間を冷遇すると、絆が強い部下達をそのまま引き連れて他社に転職したり、独立したりする可能性もあります。

彼らの失敗から学ことはたくさんあると思います。私はどちらかというと関羽タイプでしたので、会社員にはほんと向いていませんでした。上司はリスペクトしますが、自分の意見をはっきり言いますし、曲がったことが嫌いです。なので、よく上司と衝突しましたね(笑)

私が前職で尊敬していた先輩も同じタイプで、会社にすごい貢献していて、部下からの信頼も非常に厚かったのですが、例に漏れず上の方からは干されていました。こういう人間を面白いと思って上に引き上げるのか、組織の不良分子として弾き出すのかで会社が大きく変わってくると思うんですよね。

少し話が逸れますが、諸葛亮孔明は超一流の軍事・政治家であり、人格者でもありましたが、人を評価する時の基準がやや甘かったのではないかと思います。(もちろん、大国魏や呉と比べると万年人材不足だったという面もありますが…)

有名な「泣いて馬謖を斬る」の話を見てもわかる通り、あの重要な拠点争奪戦に机上の空論を述べてばかりで実践経験の乏しい馬謖を送り込んだことからもわかります。才能は確かにあったかと思いますが、実践向きではない彼を送り込んだことで作戦は頓挫し、蜀の兵力の大半を失う羽目になり、以後の魏の討伐が実質難しくなりました。

劉備は生前諸葛亮に馬謖についてこのように言っていたと言われています。
「あいつは口先ばかりの人間なので、重用しないように」と。

そういう意味では、劉備の方が人を見る目はあったと思いますが、リーダーとして見た場合の劉備は正直不合格だったと思います。諸葛亮や趙雲の反対を押し切って夷陵の戦いを始め、大敗して蜀の国力を弱めてしまいましたからね。

三国志演義では関羽が呉の手によって殺され、復讐戦と名をうって70万の大軍(実際は4万)で呉を攻めたことになっていますが、関羽が殺されたのは219年で夷陵の戦いが始まったのは221年です。故に、夷陵の戦いは復讐戦というよりは、荊州奪回戦というのが正しく、小説はかなり美化して書いてます。また、そもそも、三国演義で有名な桃園の誓い(桃園三結義)は正史にはない話でフィクションですし、劉備自体馬商人から大金を借りて関羽や張飛を部下にして挙兵しているので、関羽の為の復讐戦ではなかったと思います。もちろん、彼らを部下にした後三人が意気投合して仲良くなったのは想像に難くないので、三人の間に「情」がなかったとは思いません。

とまあこのように数人の人物から見てましたが、実際はこれだけではなく多くの学びのある話が三国志にはあるわけです。キングダムもいいですが、三国志も是非読んでみて、ご自身のマネジメントに活かしてもらえればと思います。


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