見出し画像

「もしときサバイバル術Jr」SOS解説(指導用)

導入

サバイバルというと自分で何とかして生き残るというイメージを持つ人が多いです。

だけど、生き残るためには人を頼ってもいいし、仲間がいるなら協力する方がいいでしょう。

災害時に助けを呼ぶという場面のイメージが湧かない子に、いきなりSOS のプログラムを開始しても、何のためにこの学習をするのか、どんな場面で学習したことを活用する可能性があるのか、は理解できないでしょう。

11ページの下段に書いてあるような投げかけをして、今からやる学習活動が何につながっているのかを明確にしてこそ、学習意欲が湧いてくると思います。

全てのプログラムに共通しますが、始める前には導入が必要だと思います。

ステップ1 声を出して助けを呼ぶ

まずは、自分の声がどこまで届くか、他人の声がどのように聞こえるか、やみくもに声を出し続けることの大変さなどを、体験を通して実感してみることです。

建物越しならどうか、どこかの部屋に閉じこもって外に聞こえるのか、など学習環境に応じて、いろんなパターンを試してみましょう。

例えば、これだけの距離でも聞こえるかな、というふうに、指導者も子どもたちと一緒に問いを立てて考える姿勢が大事です。

風の強さや向き、周りの環境、各自の声の質や大きさによって、結果は変わってくると思います。

本にも書いてますが、「助けて~」と叫ぶと通報される可能性があるので、そうならないように考えて掛け声を決めましょう(笑)。

ステップ2 ものを使って助けを呼ぶ

声を出し続けるのは大変だと、少しは実感したところで、様々な道具を使って発見してもらう方法を試してみましょう。

14ページに書いてあることを一通り試してみるといいと思います。

スマホなどの電子音はどうか、防犯ブザーは、鍋とおたまは、鏡は、何色がみやすいか、など指導者があらかじめ音が鳴るものやいろんな色のものをたくさん用意しておき、2チーム以上に分かれて検証するのがいいでしょう。

各チームに1名以上指導者がついて、子どもたちの発言や反応をしっかり記録しておくことで、後で行う”ふりかえり”が充実するはずです。

天気や季節によっても違う結果が出ると思いますので、ふりかえりの中でそういう投げかけもすることは、一度やっただけで答えを知ったつもりになるということを防げると思います。

ステップ3 裏声を出して助けを呼ぶ

音を出す道具を常に持ち歩いているとは限りません。

15ページに書いてある場面ならどうしようということを、まずみんなで考えてみて、その後で裏声の紹介をしましょう。

この裏声は、実際に僕がラフティングガイドをしていて、レスキュー体制をしくときに、激流の音で他のガイドの声が聞こえない場面で笛を吹く代わりによく使っていました。

はじめはコツがいりますが、コツを掴めばたいてい誰でも出せますが、声変わり中の男の子はもしかしたら少し厳しいかもしれません。

コツを掴むために、様々な方法を試してみると、大抵どれかのパターンがはまるのですが、指導者がそのバリエーションを持っていないと、単一的な教え方をすることになり、最後まで出来ないまま終わる、いわゆる”落ちこぼれ”の子を排出してしまいます。

つまり、常に学び続けて、引き出しを増やしておくことは、子どもに関わる指導者の義務だと思います。

これはどんな資格にも言えると思うのですが、資格を取得した後も常に自己研鑽に努めることが大切です。

ちなみに、以前ドッグランが近くにある公園でたまたまこの裏声の練習をしていたら、ワンちゃんがみんな反応して吠えまくったという出来事がありましたので、気を付けましょう(笑)。

逆にこの事例から、災害救助犬もこの裏声を聞き取ってくれるのではないかと思っています。

ステップ4 非常用持出袋について考える

実はこの本を執筆した当時は、「非常用持出袋は各自が必ず用意をしておくべきだ」と考えていましたが、今はない「必ずしも必要があるわけではない」と考えています。

理由は、ハザードマップに一切色がついておらず、自宅が一番安全という人も存在するからです。

ただ、それでも普段の生活で使うものに加えて、無くなったら困るものは余分に備蓄しておく、ということはしておいた方がいいでしょう。

ここでは、持出袋を備蓄品と置き換えてもいいので、17ページに書いてある内容を子どもたちと話し合ってみましょう。

そうすれば、有事の際に生活必需品をスーパーでわれ先に奪い合うなどということに巻き込まれずにすむでしょう。

市販の持出袋や、行政から配布される家庭用マニュアルにも、不要なものがたくさん入っていることが多いです。

ひとつひとつの物が、どんな場面に役に立つのか、自分にとって本当に必要なのか、数は適正か、などをふりかえりの中で全員で検証していくことで、思考停止していた自分に気づくことが出来るかもしれません。

SOSマスター検定

18ページの2つの項目が講習中に出来れば、実技は合格です。

協会の講習の時には、理解度をチェックするための筆記試験も行います。

どちらも合格したらワッペンを進呈します。

合格発表の前に、SOSマスターになりたてのきみへ、のところを投げかけてみることで学習の継続意欲につなげて頂きたいです。

19ページの選択肢はどれが正解とかではないですが、自分がされたら嬉しいことは人にしても喜んでいただけることが多い、そしてそのようなことがまた自分に返ってくる、ということを少しでも知ってもらえるきっかけになったらいいなと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?