ショートストーリー『何と親父は戦っていたのか』
親父が何の仕事をしているのか僕はまるで知らなかった。親父はいつも酒臭くて、たまに正気に戻ると僕に延々と小言を言う。そんな印象しか僕にはなかった。
お母さんがいればなと僕はいつも思っていた。親父は世間一般で言うと駄目親父だろう。親父は自分では面倒を見切れないと思ったのか、僕が四歳の頃から、親父の弟夫婦が僕の家に住んで僕の面倒を見ていた。母は僕が三歳のときに亡くなっているので、僕と父の二人暮らしは一年間だけだった。
親父は仕事をしていなかったのかもしれない。僕が学校から帰ると