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地方に若くて賢い人材がいるとできること

一昨日、東海地方のとある都市を訪れ、そこの市長さんと1時間半くらいとあるシステムの導入についてお話をした。
そこの市長は非常に優秀な方で、今の市に何が足りていないか、何をしていくべきかをちゃんと理解している。時には業者をうまく寝技的に抱き込むが、深い付き合いはしない。賄賂のようなものは一切取らない。市民の声を直接聞く。そして、解決の方法を「本質的に問題なところを潰す」手法をとる。枝葉にとらわれず、根っこからたたくタイプだ。

その市長は以前からとある仕組みに興味を持っていて、そのシステムをいかにこの市に導入するかを検討していただいているが、ネックがある。それは、「その仕組みを理解し、業者とともに構築し、運営していける若い人がいない」というネックである。地方活性化において、どこでもあることだが、致命的なところではある。

では、そのシステムは難しいものか。決してそうではない。ただ、どのシステムもそうだが、システムを入れればいいというものではなく、そのシステムを活かして、市民の活動に繋げたり、困りごとの解決に繋げたり、市民同士の交流を発展させたりすることができるようになるかは別の話であり、そのために動ける人は、地域に精通することも大切だが、システムから生み出せる様々なアイデアを具現化できる人である。またその具現化にあたっては、地域からの情報が常にいろいろその人のところに集まって来なくてはならない。その体制があって、そのシステムと人が生きる。そこまで市長は見抜いた上で、悩みを打ち明けた。

わたしはかつてとあるまちづくり会社にいて、常日頃いろいろな人が訪ねてきた。その人のビジネスに寄与することで町が面白くなると感じて活動もした。情報が集まってくる人がいて、それが若い人たちの活動を生み、その活動を行政や様々な団体が支援できる体制・雰囲気があるまちは強い。しかしそれには相当の人材が必用だ。かつて私がいた会社は全国公募でそのタウンマネージャーを募集した(ただし、給料は国の補助金から出る)が、2年後、私が離れるとともに「常駐」のマネージャーではなく、コンサルタントが「定期的に」支援する体制に変更した。補助金で外部委託のコンサルタントに、まちづくりを頼るというところに問題があったと考えている。他の人材も地域の銀行や商工会議所から出向させるという形であったし。その市が予算建てをしてでも、「自分の金で」やりきるという形か、民間からの資金でやるべきだったと思っている。2019年結局その会社は解散した。解散の理由はいろいろあるが、結局「町に必要な新しいシステム」を創り上げることを徹底できなかったこと、その中核となる人を保てるような組織出なかったことだと思う。私の能力が足らなかった部分ももちろんあるが、決定的に「若い人的資本」を集め、その活動を広げるのに、組織としての方針もやり方も間違っていたのだ。(主体であるその近畿圏の行政と行政長の方針も中途半端で、関わった商店街や商工会議所や地銀の覚悟も足りなかった)
表向きは創業支援を掲げておきながら、箱ものビジネスの色彩が強くなり、強いビジネスを育てる仕組みにまで育てることができなかった。

全国公募で集めるのもいいが、結局は地元に若い人材が根付いて、その人が仕事をし続ける体制・組織を作らなければならない。「若い人がいない」と嘆くのではなく、「若い人をなんとしてでも確保し、頑張ってもらう」ための仕組みづくりに対する真剣度合いが欠けている。若い人がいても、その声が全く生かされないのなら意味はない。かつてのまちづくり会社はそうであった。若い人をしっかりと行政が雇用し、その声と活動をカタチにしなければならない。そのために、私は自分の経験をばねに、いろいろな自治体を説得していく仕事をしていく。

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