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不正を働く会社から離れてフリーになって2年が経ちました

Facebookの、過去の投稿を挙げてくれる機能で、2年前の今日、とある会社を離れることになった事件を思い出させてくれた。

その時は、とある会社で2つの部門の事業部長の立場にあったが、片方は損益的には月間マイナス百数十万、片方はマイナス数百万。新規事業なのである程度の赤字は仕方がないというところであったが、それにしても、という状態が続いていた。その時、担当役員(3代目予定の、会長の息子)が、片方だけでもプラスにするために、自分の人件費と私の人件費といくつかの後方経費をすべて、マイナス数百万の方に付け替えようと言いだした。これにブチ切れた私は会社を離れることとなったが、今はそれでよかったと思っている。その時以上の年収にもなってきたし。ただ、その会社で得た人脈や一部の人とのアクセスもなくなってしまったのが少しだけ残念だが。

不正を働く会社にはいくつかのパターンがある。

私がかつて在籍した会社、関連の有った団体でも、従業員の不正、経営者の経費乱用、会社としての経理不正(在庫隠しなど。経営者の指示によるものや現場判断など様々)を見てきた。それぞれに業界も担当者の経験値(ここまでならばれない、というような悪い意味での経験値)、会社の規模も違うが、共通するところがいくつかあると思っている。


① オーナー企業は経理不正をしやすい。というか、不正をしていると思っていない。

もはやコンプライアンスなどどこ吹く風というところだが、「税金対策」「バランスシートの是正」「取引先の救済」など、いろいろな理由でいろいろなことをしている。例えば、自社の大量の不良在庫をいったん取引先(その経営者は同族)に格安で販売し、その後なぜか高い値段で一部のみ買い戻すなど。もっといろいろなこともあるが、それが「秘伝のタレ」として、それを引き継ぐことが事業継承だと考えている節がある。戸棚の中の死体は誰かが片付けなければいけないのに。

先ほど、私が会社を辞めるきっかけとなった経費の付け替えもその感覚であった。ボンボンからしてみたら、会長や一部の経営者が良くやっているのを自分がやって何が悪い、という開き直りをしていた。広島の方の国会議員も、「みんなやっていること」というような言い訳をしているらしいが、捕まらないから悪いことではない、というのは子供じみた言い訳でしかない。


② 給料を経費でカバーするという風土が不正を生む

数年の間小さなIT企業で取締役をしていたが、そこの経営者は「会社の金は使ってなんぼ」の人であった。別にその人が一人で創業したわけではないのだが。株も過半数でないし。
誰しも高い給料は欲しい。ただ、企業の収益が上がっていなければ当然報酬は上がらない。そこで、給料の代わりに会社の金で自分の欲望を満たすことを考える。不要不急でも視察や出張に行ったり、取引先誘って夜の街に繰り出したり、事業組合の会合(と称する飲み会)に顔を出したり。なんなら、自分の立場を利用して取引先に接待を迫ったり。これを繰り返しているうちに、感覚がマヒする。

基本的には接待活動や広報活動、出張経費にも「予算」というものがあり、その中で何とかするのが通常の企業である。しかし、前述のオーナー企業にのみならず、大手企業でもこの手の不正はちょくちょくある。ただその場合でも新しい仕事が獲得できたり他の予算が抑えられれば不問になるという「不文律」があったりする。仕事の獲得ならまだいいが、他の予算(残業代、マーケットリサーチ活動費、広報費その他)を流用するというのはおかしい。どのような活動をして売り上げを獲得するというロジックの下に予算は組み立てられるのに、接待ばかりで仕事が獲得できるなら広報費用はいらない。しかし、そういうものばかりではない。「売り上げを作る」までのロジック(マーケットリサーチ、広報活動、営業活動、交渉)が機能しているかどうかを見るには、予算と実績の検証が必要である。それが無く、ただ個人の接待だけで仕事が取れるようなら、それは企業として危険だ。なぜなら俗人的にしか営業活動が成立しないのであれば、その会社の製品に、他社との競合店において致命的な欠陥などがあるかもしれないことが会社として分からないからである。

③ 不正が生む企業の末路、、、からの、生き延びるには。

前述したように、企業のロジックも予算も検証できなくなることが「不正」による最も重要な問題である。その企業がどうなっていくかを考えるまでもない。社会からの信頼はもとより、取引先からの信用も失う。そして廃業となる。多くの場合は。

大きな企業は、そういう不正を犯した企業との付き合いは、たとえ長い付き合いがあったところでも切り離す傾向が強くなってきている。私が百貨店のころは、消費期限不正を働いた企業が即刻営業停止、後日退店ということになった。いま、その退店した企業は全国でも名が知られている飲食事業を展開している。百貨店事業から離れた後持ち直してはいるどころか大きくなっている。その理由は、良くも悪くも不正をしてしまったことを糧として良い商品づくりに邁進したことだ。二度と百貨店の敷居をまたぐことはないだろうが、その反省が今のその企業の会長の心には根深くある。

多くの不正を働いた人は反省をしない。給料が安かったから経費で遊んだだけ。先代がやっている経理作業をしているだけ。こんなの他の同程度の企業ならみんなやっている(経営者同士の飲み会でそう言っていた)、、、など。

本当に反省しているか、また反省しそうな会社かどうかは、判断は難しいかもしれない。少なくとも私は経営者にどういうビジョンがありどういう哲学の持ち主かということと、「どれだけ私生活を満足・充実させているか」を見る。仕事に熱心なのは当たり前である。夜の街で過度に遊んでいるかどうかとか、周りにどんな付き合いがあるか、どんな付き合い方をしているかなど。その交友関係の質が高いか安っぽいかを見極めるのは大切だと思う。悪事は自分から思いつくものは意外と少なく、教えてもらって実行するほうが多いのだ。

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