【維新はポンコツ政党?】兵庫県の行財政運営方針見直し案は正しいのか
さて、先日このような記事が回ってきた。
これに対して、多くの人が
「やっぱり維新」
「兵庫県の中より大阪の方を見て政治をしている」という批判が噴出し始めている。
私は維新の支持者ではない(ただ、尼崎市に住んでいると、衆議院選挙では公明党か令和か共産党の選択肢しかないという場所である)。そして、維新であろうとなかろうと、政策は一つ一つその結果を真摯に反省し、その反省点を改善する新しい政策を日々考えていくべきだという思いである。
今回の兵庫県の政策方針変更は、いくつかの点で妥当だと思っている。
地域再生大作戦などのいくつもの県が行う地域への政策があるが、その多くに対して基礎自治体のフォローアップや協働などの取り組みが不十分であることを感じているので見直しすべき、というのが私の主張である。
このタイミングに行うのは、、、という思いは十分に理解するが、どこかのタイミングで廃止含めた見直しはあってしかるべきだ。
趣旨としては、
① 県の施策に対して、市町村の一部しか応えていない
② 施策の効果が薄い 前提として解決するべき課題が大きい
③ アドバイザーの活動内容がこれからの要求とは乖離すると思う
ということである。
① 県の施策に対して、市町村の一部しか応えていない
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk08/ac23_000000005.html#syuurakusaiseisien
県のHPにある「「地域再生大作戦の取組成果の調査及び評価」研究報告書」の、59P以降の大作戦への「基礎自治体の関与」のところは私としては大いに問題だと思っている。(※ちなみにこの調査が行われたのは令和元年度なので、維新の知事になる前である)
例えば、基礎自治体関係者へのアンケートで「職員が地域に関わる機会になった」と答えた自治体は26自治体のうちたった2つ。
私が長らくアドバイザーを務めている兵庫県マーケティングアドバイザーでの派遣の場や会議でも、人間サイズのまちづくり賞審査員での該当審査団体視察の際も、その場に市の職員も入って、その団体や農業者のために真剣に検討することはほとんどない(本年、加西市の五百羅漢保存会視察の際は、加西市の職員さんが非常に協力している姿を見て感動を覚えたほど。しかし、その市の協力も、その地区の方々の思いがしっかりあるからこその寄り添い方をしていて、こういった活動であればということで、審査員として本年知事賞に推挙させていただいた。 先日無事知事賞を受賞された )。
県の事業なので基礎自治体は「どうでもいい」と思っているのかと思うほど、こういった県の事業に市町村がほとんど絡んでこない(先述の加西市や、洲本市などいくつかの自治体は非常にうまくこの制度を使っているかと思う。実際、上記県の調査結果が、そうでない地域の方が圧倒的に多いし、制度上ある程度仕方がないが私が都市計画審議員を務める尼崎市や西宮市、神戸市という大都市には特にその意識が低い(西宮市北部や神戸市北区など、集落地域を抱えている地域であっても、である)。
中山間地域などを抱える自治体は非常に困ることは理解するが、それであればなおさら、この報道にあるように「市町主体の事業活動」に移行する方がそういった自治体にとってもメリットがあるのではないだろうか。
とはいえ、福崎町西大貫自治会のように、移住促進も成功しているすばらしい成果もあげている。なので、県主体というより、市町村がしっかりとその地域内の活動団体や地域のやる気を引き出しつつ寄り添いつつ、県としての制度面資金面のサポートをどう行えるかという制度設計を考える方がいいのではなかろうか。
② 施策の効果が薄い 前提として解決するべき課題が大きい
例えば県内木材活用の補助であるが、木材活用を推奨しても、そもそも兵庫県産木材を円滑に調達できる手段が限られているなどの、住宅補助以前の問題が大きかったりする。まだ兵庫県はアクセスしやすい方だとは思うが、、、とはいえ県産木材をふんだんに使うとどうしても少しは建築費用は上昇する(建材費の15%程度の上昇になると聞いたことがある)
であれば、件数を絞って費用負担率を増額するか、県内林業事業者の支援や加工業者の集約と競争力向上施策の方が先ずは大切ではなかろうか(実際奈良県ではその動きがある)
③ アドバイザーの活動内容がこれからの要求とは乖離すると思う
この制度のアドバイザーに友人も多くいるのだが、この制度では『課題整理・コミュニティづくり・方向性指南』までは支援できるが、そのあと実際に経済活動を伴う実行支援までには至らない。そこまでするのには期間が短すぎるというのもあるが、そもそもそこまでの実行支援・伴走支援ができるアドバイザーは正直少なすぎるとみている。兵庫県の農林水産業を支援するマーケティングアドバイザー制度も似たような課題はあるが、ただ、アドバイザーの多くは食品流通業の実績があったり、現役で仕事をしている人も多く、支援期間終了後もその事業者に「仕事として」関わることで継続的に支援できる可能性はある(実際、5年前からアドバイザーとして3年間の期間でかかわった宍粟市のサーモンであるが、期間終了後のこの2年も、わたしの仕事として販路開拓に関わることで、西宮阪急への販路などを開いている)
これからの地域再生大作戦に関わって、伴走支援ができるアドバイザー像というものを一度見直してもいいと思う。
地域活性化はまずもってその地域住民主体であるべきで、それをしっかりと伴走支援するのが市町村で、県はそれに対して適切な支援を行うという姿が本筋ではないだろうか。兵庫県は、『県が何でも(支援を)やりすぎている』ことで、かえって市町村のモチベーションを下げているように感じているのが、ここ10年近く兵庫県内の様々な委員を務めてきて思うところである。
少なくとも、今回の記事をみて「維新がTOPになるとろくなことがない」というのは誤りだと思う。
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