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まちづくりとコンサルタント

まちづくり界隈で名高い木下氏の記事がある。書かれてから5年もたつが、今でも多くの方がこれを読んだり、話題にしている。なぜまちづくりはコンサルの食い物にされるのか、コンサルがまちづくりに関わるとうまくいかないのか、ということ内容だ。

そして私はそんなコンサルタントです(たぶん)。
しかし、なぜコンサルタントは悪者にされるのか。私なりの見解(言い訳)をここに記しておきたい。

①「まちづくりは最終的にまちの人がやる」はずなのにやっていない問題

なので、コンサルタントをどの場所でどういうふうに使うかが重要。現時点では仕組み上、コンサル(会社)が、計画づくりに参画もしくは事務局として支援、という名の丸投げするくらいしかない。商店街がやる、商工会がやる?そんなノウハウはありません。あと、彼らも行政も、多くの人が責任を取りたくない、だからコンサル任せにしておく方がいい。
そりゃ地元の行政スタッフさんがやるのが本当はいいのだろうが、基本的に「国からの補助金」を念頭に置いて作る(例:中心市街地活性化基本計画)。しかも計画づくりに関しては既存の業務の他にやらなければならず、時間の面においても「書き慣れている」コンサルタントさんに依頼する方が無難(補助金を確保する、という意味において)


②地域の人からのアイデアがない、新しいことを受け入れない問題

いくら独創性のあるプランや地域ニーズと現実(ここ重要)に即したプランを書いても、地域の人がそれを選択しないこともある⇒結果的にありきたりな計画書いたほうが何故か地域の人自身も受け入れる(商工会や商店街青年会があり、先進的と呼ばれるエリアの視察を頻繁に行っている地域ほどこの罠にはまりやすい気がする)。
ニーズや現状に即して、ということが何も反映されていない計画になることが「コンサルタントのせい」というわけではないです。そもそもすべてのまちの「活性化」なんて無理。どう頑張っても人口増加や経済数値(例:商店街売上)などを『今までの減少ペースをゆるやかにする』程度が精一杯の地域もある。良心的なコンサル(私のように)であれば、無理な計画を作らない。現実に即して、まずは小さなことから始めよう、やる気の人で新しいことをしよう、と提案する。でもなぜか採用されない
「人口増加」「購入金額向上」「観光客倍増」なんて無謀な「数値計画」を作って、それを達成していくような計画、いわば絵にかいた牡丹餅が棚から落ちてくるかのような計画を作ることにしなければならない時点でおかしくなる。そんな計画作れない。行政の多くの方もわかってらっしゃる。でもつくらないと無理。だってそんな計画で国もお金くれないし何よりトップが納得しない、そして地域も納得しない。「頑張ってもこの地域はこの程度くらいにしかなれません」「この数字を達成するには、地元の人が今までの5倍頑張る&奇跡が必用です」なんて正直に言っても振り向いてくれない。
KPIの無理な設定が計画の実施によってさらに悪化することもあるが、これは別の機会に書く。


③行政の首長思い付き問題

いくら独創性のあるプランや地域ニーズと現実(ここ重要)に即したプランを書こうとしても、「行政のトップが思い描くモノに即した計画(またはその裏付けとなるデータ取得)」を作ること自体が依頼されている。行政の担当者が、「市長がこれをやりたいと非常に強く申されてまして、、、」なんてことがまちづくりに反映されることは日常茶飯事である。裏があるかどうかは置いておいて。
某市の意思決定プロセスとかひどいもんだったし、某市の事業計画作りのデータ作成なんて、トップが思いつきで言ったアイデアの裏付けデータを1週間で集めろとかむちゃくちゃだったしー。そいう仕事を受けるコンサルの身にもなって頂きたい。


④コンサルタントの使い方問題

木下氏の言うとおり、「事業プロセス」に対してコンサルタントに依頼することならという話がありますが、単年度予算の枠組の中で、かつ行政トップやもろもろ(国会議員の意思とか、地元の下請け業者とのアレとかコレとか)の意志が渦巻く中で、そんなコンサルの使い方できるのだろうか。。。?
地域が欲しいものは「補助金」です(もちろんそれを切り口に頑張ろうとしている人もいっぱいいますが、これを使わないと何もできないと思っている人が多い、またはこれがないと何もやらない人が少なからずいるのも事実)。それをもらうことが自分の手柄だと思っている人(行政、議員、地域の人々)が多いので、補助金とりやすいような計画(≒ありきたりなもの。パクリ?)作成や仕事をコンサルタントに依頼するのは当然の流れ。だって地方自治体が(コンサルに頼むと結果的に)一円も出さずに計画が作られたり、事務局やってくれるのだから。
※外部委託の分はほとんどが国からの助成金で賄える、という意味で。


⑤ 本当のコンサルの使い方とは

木下氏の主張は、「コンサルタントに騙されるな」と煽っているだけではなく、地方創世をするのなら、そもそもの国と地方の行政機構の関係あり方を変えなければならないということを言わんとしていると解釈しています。
なんにしろ国からの補助金をあてにして「通りやすい」計画つくろうとした時点ですべてがおかしくなるのです。いっその事地方交付金なくしたらいいのでしょうけど。
あと、ひとつだけ。
コンサルタントに計画依頼する金額、高いとは思いません。成功報酬でも構いませんが、今の仕組みでは無理でしょう(多分成功報酬になったとしたら逆に入札応札ゼロになりますなあ)。だから手を抜く、パクるとは言いませんが、徹底した行動計画まで書いてほしいと思ったら、もしくは徹底して事業に参画して欲しいと思ったらそれなりにお金を払うべきです(間抜いている人がいるということもありますが)。そのへんの価格感がどうもこの国は低いと思うのです。
アイデア・計画を公募したりするのはいいですが、それだってもうほとんど決まりきっている入札案件があったり、タダ働きの面もあったりしますし。と、とある行政から「ある意味詐欺」にあった私としては思うのです。
コンサルタントは悪くない、というわけではありません(木下氏が指摘するような人も実在するので)。計画づくりを本当の意味で支援する(丸投げでない)ために、コンサルタント(社)を本当の意味で知恵袋として使うということになって欲しい、というのが私の思いです
そして、自らリスクを背負って頑張るまちづくりの組織「のみ」が補助金ではなく別の手段でお金集めができる補助システムがもっとあって欲しいと思います。またまちづくりに対する様々なアイデアが柔軟に実行される体質であればと思います。

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