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嫁が救急車で運ばれた話と救急DX

先に話しておくと嫁さんは元気(?)で生きてます。

つい先日あった出来事をちょっとここに書いておきます。


ことの発端は先日嫁さんが仕事帰りに「肩こりが激しいので整体に寄ってから帰る」ということから。

帰ってきたが、肩こりどころか背中上部に痛みがあるということでロイヒなどを貼っていたが、20時ごろになり

「胸のあたりも痛い」

と言い出して、 #7119の救急相談ダイヤルに電話したが 、「この番号は、あなたのお住いのA市では対応しておらず、A市は別の番号にかけてください(というわけで番号をメモ)」と言われ、そこに電話をかけなおして相談したところ、循環器の相談ができる病院を2つ紹介された(2つの病院番号をメモ)。それぞれに電話をしたが、1つはもう夜も遅く電話が通じない(仮にB病院とする)、もう一つ(C病院とする)はすでに専門の先生がいないのでわからないなどの対応があったので結果救急車を呼ぶこととなった。

ちなみに嫁さんは別のエリアにある病院の循環器の看護師であるので、背中からの痛みが胸のあたりまで来るとなると、心疾患などの疑いがあることを知っている。そのため、大事をとって救急車を呼んだ。この時は歩行は問題なかった。

救急車はすぐ来てくれて、簡単なやり取り+「これは救急車に乗る人に必ず聞いているのですが、この2週間で発熱などはありましたでしょうか?」「アレルギーはありますか?」「保険証みせてください(番号を控えていたようだ)」という確認などの後、先ほどの「電話が通じなかった」B病院へ運ばれた。

そこではエコーと血液検査などもしてくれて、そこからは大きな異常が見られない事で、痛み止めをもらって帰ることになった。ちなみに言い忘れていたが嫁さんは妊娠12週であるため、エックス線などの検査ができない。一抹の不安を抱えながら、22時ごろ帰宅した。


しかし、真夜中2時半、痛みが再発、非常に強い痛みのため、再び救急車を呼ぶことになった。

来てくれたのは先ほどと同じ救急車と隊員さんたち。

痛みがひどく歩くのもままならないため、救急車で横になり心電図と酸素量の機械に繋がれる(さっきも繋がれていたが)。

先ほどの病院でのやり取りや血液検査などの結果は苦しみながら自分で説明を救急隊員にしていた。アレルギーの有無などもまた聞かれる。保険証また渡す。

痛みの状況などさすがにこれはということで、救急隊は病院に電話をして搬送の手続きをしてくれようとしているのだが、、、

救急隊員「こちらA市救急隊のTと申します。3●歳女性、背部と胸部に痛みがあり。妊娠12週です。血圧は上が160脈拍下が110、呼吸数●●、・・・・(中略)・・・・・・なお、20時ごろの血液検査などでは・・・・当人は看護師で、、、あ、Hという場所(A市から車で40分以上)のK病院なので・・・・・」

病院Cで応対した人(多分看護師)「少々お待ちください」

沈黙数分 多分医者に代わった

救急隊員「こちらA市救急隊のTと申します。3●歳女性、背部と胸部に痛みが(繰り返す)・・・・」

病院Cの人(多分医者)「・・・・・・(救急隊員さんに説明)」

救急隊員「そうですか、分かりました」
とりあえず、いま搬送が受け付けられないということ。

続いて病院D

救急隊員「こちらA市救急隊のTと申します。3●歳女性、背部と胸部に痛みがあり。妊娠12週です。・・・・(繰り返す)・・・・・・・・・」

病院Dで応対した人(多分看護師)「少々お待ちください」

沈黙数分

救急隊員「こちらA市救急隊のTと申します。3●歳女性、背部と胸部に痛みが(繰り返す)・・・・」

病院Dの人(多分医者)「・・・・・・(救急隊員さんに説明)」

救急隊員「そうですか、分かりました」
とりあえず、たぶん形成外科の方がいいのではないかと思うが、うちにはいま形成外科の人がいない、ということを説明されたという。


続いて病院E

救急隊員「こちらA市救急隊のTと申します。3●歳女性、背部と胸部に痛みがあり。妊娠12週です。・・・・(繰り返す)・・・・・・・・・」

この時点でわたしの頭の中は「繰り返す、この(以下略)」


病院Eで応対した人(多分看護師)「少々お待ちください」

沈黙数分(たぶん、看護師から医者にも説明)

病院Eの人(多分医者)「・・・・・・(救急隊員さんに説明)」

救急隊員「そうですか、分かりました」

病院Eの人(多分医者)「ところで、妊娠していてK病院にかかっているなら、そこで見てもらった方が後も考えてもいいのじゃないか?聞いてみたら?」

救急隊員「そうですか、分かりました」


というわけで、病院K(つまり嫁さんの勤務先である)に電話

救急隊員「こちら「A市」救急隊のTと申します。3●歳女性、背部と胸部に痛みがあり。妊娠12週です。・・・・(繰り返す)・・・・・・・・・あ、患者さんはそちらの勤務の看護師の方で、、、」

病院Kで応対した人(多分看護師)「少々お待ちください」

沈黙数分(この間、K病院の診察券を救急隊員に渡すなど。先方は番号を控えていた。

病院Kの人(多分医者)「・・・・・・(救急隊員さんに説明)・・・・というか、どう考えてもA市からわざわざうちに来るって面倒くさくね?(意訳)。もちろん、来てくれるのなら受けますが、、、」

救急隊員「そうですよね、分かりました」


再び病院Eに電話

救急隊員「先ほど電話したA市の救急隊員のTですが、やはり距離もあるのでと、、、、」

沈黙

病院Eの人(多分医者)「妊娠していることもあるし、たぶんうちでできることはB病院さんと同じ処置しかできないよ。K病院に運んでくれた方がいいと思うよ」

救急隊員「はあ、、、、」


というわけで再びK病院

救急隊員「先ほど電話したA市の救急隊員のTですが、E病院さんでなかなか引き取れないということで、、、、」


救急車が来てから約1時間、夜中の3時半ごろ、運転手はK病院をカーナビ(一般販売のものに見えた)で検索して調べ、A市の救急車は真夜中の名神自動車道を通り、H市までの旅に出た。

ちなみに俺は嫁さんを救急隊員へ頼み、身支度して自家用車で後を追う。救急車が出発して1時間後、H市K病院へ到着した。

嫁さんは痛み止めを処方され様子が落ちついていたのでこちらも安心し、痛み止めとその他注意すべきことを当直の女性医者から言われた。

女性医者は、たぶん俺の被害妄想であろうと思うが、けっこう鋭い目をしていた。『てか、なんで近所の病院でなくわざわざここ来たん?』と言っているような気がした。視線はまるで

こころにシュワリと突き刺さる目線であった。


朝5時前にH市を出発し、自宅へ戻った。この時点で朝5時半を回ったところだ。嫁さんは熱いお風呂に浸かって痛みが和らぎ、ようやく休めた。

しかし朝7時、K病院から電話。出勤した産婦人科の先生が「すぐに来てもらってこちらで検査した方がいい」ということで、再びK病院へ、、、

まあ、そこでちゃんと検査してもらい、母体とおなかの中も無事であったことでひと安心できたことはこの上ない。いろいろ処置に動いていただいた医療関係者の方、特にA市救急隊員Tさんはじめチームの方にはもう感謝してもしきれない。

中の人も無事でよかった。なお次のリンクは関係ありません。



しかし、ここからやっと今日の本題である、「救急DX」について始まるのである。

私は仕事柄業務改善とか中小企業のIT化支援などの取り組みも行っている。DXについての簡単な相談などもあるっちゃーあるのだが、私が思うDXとは、「ヒューマンエラーが起こりうる過程はなるべく排除し、その分の人的リソース(時間など)を有効的に創造性などの分野に振り分けたり、エンドユーザーのその先にある顧客への満足度を最大化させる」ことが重要だと考えている。IT化などに取り組んできた仕事をしている人ならだれもが抱く感情だ。

今回の件、少なくとも私がこの文中で強調(太字)を記したところは、そこまで難しくないIT化(DXと呼ぶほどでもないのではないかと個人的には思う)で多くの業務が削減できる。

例えば、救急車上の心電図モニターが病院の応対者も手元のタブレットで確認できる仕組みなどは既存のデバイスなどでほぼカバーできるはずだ(心電図測定機械のインターフェースがどんなもんかは知らないが)。これで、「伝言ゲーム」や「繰り返すこのポリリズム」が大きく減る。

※ちなみに調べてみたらこのような取り組みはようやく始まっているようだ。遅くね?仕組み的には10年ほど前にできててもおかしくないような気がするけど?

あとは、電子カルテと保険証番号を結び付け、保険証にICタグを埋め込み、読み取るだけで既往症や直近のカルテがどこでも共有される仕組みとか。これで、「何度もアレルギーについて聞かれることはない」し、救急車の社内で隊員が手書きの何か書類を作成することもなくなる。上記のシステムができれば、救急車のカーナビに連携して、決定した病院までのルートがすぐに表示されるようにできるかもしれない。データが様々共有されていれば、その場で何かしらのアラートを発することができ、その場の判断では自宅に返されても不測の事態が起きる可能性も少なくなるかもしれない。

何より今回私が憤ったのは、病院はそれぞれ事情があるにせよ、A市からわざわざ片道40分以上のK病院まで、A市の救急リソースを無駄に使わせてしまったことだ。もしE病院が受け入れてくれたら、その間A市で何か起きたとしても対応が1分でも早くなっていた可能性がある。E病院を責めているわけではないし事情はあろうが、搬送受け入れで個別事情を判断していたら(しかも、これはその担当者医師で判断基準はばらばらだと思われる)、A市全体としては大きなマイナスの事が起きうるということだ。その病院の空き病床や当直医師の体制、専門性などの状況など違いは限られた変数のはずである。

さらに、最初の#7119も全国的な対応にしつつ、この時間どの病院がどのように対応できるか把握し、対応できる医療機関を検索しやすくし、発信者のスマホに該当病院の連絡先をショートメッセージを送ることもできるだろう。メモのミス、かけ間違いなどが大きく減るはずだ。

いろいろ長く書いてしまったが、世の中は本当にもっともっと多くの事がIT化によって暮らしやすくなるのだ。医療がひっ迫しているこのご時世において、なぜこの分野のIT化が進んでいないのか(少なくとも私から見て)理解に苦しむ。確実に、医療現場も利用者も助かるはずだと思うのだが。

それにしても、本当にperfume、とくにのっちは可愛い。

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