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スタディツアーは本当に有効なのか

昨夜から福島県郡山市に入り、今日福島県主催の「令和4年度ふくしま6次化交流会」でメイン講師として講演し、帰りの新幹線の中です。
やまびこ号が結構混んでいて、後半ずっとデッキでWEB会議をする羽目になりました。。。Swork車大事。

さて、1泊しかしていないが、郡山駅西口のかなり古びたエリアを19時くらいに散策してみました。

なんもない。恐ろしいくらい駐車場があり、何のテナントも入っていないように見えるビルが数棟。古すぎて閉店してしまった居酒屋数件。やや北寄りには飲食店やスナックのビル群があるが、日曜日の夜とはいえかなりさみしい雰囲気であった。なぜか本場大阪串カツの田中が最近オープンしたばかりらしく、外にまで客が並んでいたが(大阪在住の人間としては、田中は邪道だと思っています。個人の感想ですが)

さて、世の中にはいろいろな「スタディツアー」というものがある。

例えばであるが、上記リンクのように
夕方にご当地に集まって地元の人と懇親を深め、翌日にはテレワークの拠点の運営やテレワークの推進などについて意見交換する、という内容だ。

他にもいろいろなスタディツアーがあるが、地方自治体が行うスタディツアーは

1:地方に直接行く
2:地元の事業者の話を聞く
3:地元の業者や自治体担当者から課題を聞く
4:課題解決に向けて、フィールドワークを含めて調査・検討する
5:ワークショップなど
6:発表

などの流れであることが多い。

しかし、果たして1泊2日(実際睡眠時間など削れば15時間から16時間程度)で、どれだけの「課題解決」ができるというのだろうか。


① なぜかこの時期に集中する自治体主催ツアー

Facebookでここ1か月、様々な自治体のツアーの広告が流れてきた。私自身が地方活性化などのサイトを色々見ているからそうなっているのだろう。近畿北部の自治体や東海地方、四国地方のツアーの広告がたくさんあったが、どれも9月の土日に集中している。

こういったツアーは、自治体が独自なり国の予算を使って、外部事業者に委託をして実施することが多い。

したがって、時季が被る。

新年度(4月)になる→プロポーザルが出る、もしくは仕様が固まり随意契約する→5月下旬に契約→6月に関係者含めたスケジュール調整など→7月中旬から募集開始→9月実施(繁忙期である8月は宿の手配が難しい 10月以降だと報告書などの作成に間に合わない)→11月ごろ実施結果報告

おおむねこんな感じであることが読み取れる。

行政の予算で動くから、みんな似たようなスケジュールで動く。かといって、『地域活性化に興味があり、地方に訪れてみて、課題を解決したい』と思うような人間が都合よく9月にスケジュールが空いているわけでもないだろうし、そういう人がいたとして、色々な自治体の実施時期が被れば、そういった奇特な人の奪い合いにもなりかねない。


② そもそも1泊2日で、、、

地方の課題は様々である。1泊2日でその地域の良さも分かることはできないだろうし(四季折々で魅力も違うだろう)、その日に天候が曇りなら、景色の魅力も半減する(せっかく訪れたのに、印象があまり良くないままになる)、また『行政や、限られた事業者からのメッセージだけで本当にその地域の課題が分かるのか』という根本的なことも考えなければならない。

スタディツアーの多くは、地方自治体が『地方創生に向けて頑張ってます、都会の人を集めて外部の新鮮な意見を取り入れてます!』というアリバイ作りの感が否めない。

③ たとえば、地域活性化のためのスタディツアーなら、、、

郡山で夜を過ごすのは実は昨年から3度目なのだが、平日、土曜日、日曜日とそれぞれで違った雰囲気であった。そして、平日は出張の客や観光客(コロナ下なので数は少ないが)でそこそこにぎわっているが、土曜日日曜日は家族連れや地元の大学生とか若い人が目立つ(出張者がそもそも少ない)。しかし、よくよく見ると、その土日に地元の若い人が行くような食事処が少ない(だから串カツ田中にも行列ができる)。いくつかあるちょっとおしゃれなお店は地元の食材とは無縁の居酒屋やカフェで、そこに大学生などが集中しているものだからうるさく、数は少ないとはいえ、駅前ホテルに泊まる出張単身者や観光客は入りづらい。観光客が行きたがるような地元の食材を多く使った居酒屋は、西口駅前エリア全域を歩いても3件しかなかったうえ、どこも地元民(そこそこ年齢高め。つまりどのお店が美味しいかわかっている人)で満杯だった。
しかし、意外なことにBARが結構日曜日でも営業していた。当然といえば当然だがクラブやスナックは全店閉店していたが、無料案内所が3つほど、アルバイトの学生らしき人間がぼんやりと立ち尽くしながら、むなしく明かりを放っていた。

例えば、駅前の活性化というテーマでスタディツアーをやるのなら、このように最低でも週末と平日の客層の違いや空いている店舗の内容などを自分の足で歩いて回ることが大切だろう。1泊2日ではとてもいい案が出せないだろう。様々な条件下でまちの事を理解してこそ、
・地元食材が食べられるお店のマップを平日用と土日用で作り分けて、ホテルなどに置く
・地元の人(たいがい車で来る)でも気軽に週末来てご飯食べるようなお店の誘致(たいがい国道沿いにあるので厳しいかもだが)
みたいなアイデアが出てくる。
西口に広大に生まれている未利用地の方向性についても意見が出てくるかもしれない。


地方創生にはいろいろな視点が必要なのだが、それを1泊2日で獲得できるというような企画ではだめだと思う。今巷で行われているツアーの多くも「まずはきっかけづくり」と思っているかもしれないが、それに参加したいという人は決して多くないし、9月にくればいいかというとそうではない。

例えばだが、徳島県奈良、阿波踊り期間中に招いて、運営の裏側などを見せて、改善の余地はないかを考えてもらうようなスタディーツアーの方が面白いだろう(参加者も多いだろう)。

しっかりとした効果を出せるような企画を考えていくべきである。


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