地方創生のコンサルのお仕事とは何か
どうも、地方創生コンサルタントです(たぶん)
上記の記事は少々古いのですが、地方活性化に関わる人間として気になった点と自分の経験をいくつか書き記しておきます。
そもそも、地方創生のコンサルタントとは何をするのか?ということを後半に述べつつ、地方創生の本質について語れればと思います。
先ずは、上記文中にある「地域商品をブランド化する」というないようについて、現実的な話をすると、コンサルよりも悪いのは「行政の発注の仕方」だったりすることがあります(まあ、大した能力もないのにたまたま会社がでかかったり、地方自治体のTOPとつながっているからと偉そうな顔をしている○○総研のコンサルとかもいます)。
その理由として
①行政が地元特産品の「PR事業をすることが多い」のだが、そもそも「これをブランド化したいねん!」のもの自体のレベルが「?」というものがある。
たいして美味しくないものを「これを消費者に知れ渡って、すごい!と思わせてくれ!なお予算は○○円(はした金)」
②発注者が「PR手法はこういうことしてください」ということが多い
え、そのやり方古い(たとえば、東京の駅前でゆるキャラと地域の「ミス○○」つかって試食イベント)、、、むりむりー、うけないよー。効果もないよ。お金も足りないよー。⇒なんとかしろ(主に行政長)⇒。。。
③商品開発。
そしてその商品のブランド化を「高く売れる」こととばかり考えがちだが、「必要と思ってくれる」「ずっと使い続ける、買い続けてくれる」ということが必要なこともある。
その特産品に適切な販路はどういうものか?ということをしっかりと検証せず、「都会の高級店に」とかいうざっくり過ぎる目標のみが設定されている。高い商品を何とか売り込みたいというのであれば、後述するように詳細な戦略が必要です。
①について
・たとえばお米。「都会で1キロ1000円とかで買ってくれる勝算がある」というモノは極めて稀。全国に素晴らしいお米が数ある中で、勝てるくらいのものは少ない。知名度も含めて、魚沼産コシヒカリなどに比肩するくらいのものとするなら、予算も時間もめっちゃかかる。けれどたいがい単年度予算。そのお金で、もっと美味しいお米作ることができる取り組み、あるいは有機栽培化など困難だけどニーズのある栽培に取り組む農家への支援に、あるいはこのコロナで苦しんでいる農家の支援に回したほうがいいと思いますが。
※余談になりますが、なんで米やイチゴ、県単位で品種開発しているのか。もちろん情報共有しているとは思うが、都道府県単位でやるべき品種とそうでないものはたくさんあると思うのですが。
あと、ひろいエリア(関東圏、とか。予算ないくせに『○○店舗以上で実施』とか。そ)もそもの店舗数で取り上げられるくらいの商品数を一定期間地域の事業者で用意できるかどうかも微妙なのに。PR事業を受託した事業者が商品集めに奔走することもしばしばです。
しかしここで問題が。○○産のイチゴ、でブランディングしようにも、他と戦えるくらいの素晴らしいレベルのものを「○○の産地皆が作れるのか」
じゃあ品質が高いものが作れない農家は?業者は?淘汰されるの?というものまで切り込むかどうか。これはコンサルタントはかかわれる領域じゃなく、地元自身が決める問題。(僕は、切り捨ててください、と言うている。某県の柑橘類も、ブランディングするなら最終的にはエリアでなくて個人や斜面単位だと主張しています。フランスのワイン畑のように。究極のブランディングはみやじ豚や犬鳴豚などのように、個人にかかってくると思うんです。短期間でエリアブランディングして高く売るなら、○○という産地では広すぎる。後述にも関係しますが無名の○○という産地が、例えばイチゴで言えば栃木県や福岡県に短期間のブランディング活動で勝てるのかというと、まず無理です)
②について
たとえば○○県内▲市と□市でよく生産されている商品。でもこれを▲市だけでやったら、当然予算規模は減る。農産品なんて、市域、場合によっては県域すらまたがることがある。もし本当に地域ブランディングするなら県と二つの市で協議して予算出し合ってより効果が高いものを、、、と思うのだが、残念ながらこれは極めて稀な事例(鳥取と島根とか合体して頑張ってますね)。
ちなみに▲市だけでやるPR事業を受託すると、その仕事で訪問した農家さんなどからよく聞くのが「昨年も○○県で同じようなパンフレット作ってたぞ。。。(またかよ)」という声です。奈良県と奈良市はもう少しこういうところで政策すり合わせてください。事業やる方も事業者もが迷惑です。奈良市長はなぜ昔協力的だった事業者が今は離れてしまっているかをちゃんと考えましょう。
あ、あと6月からPR事業公募始まって3月末までの予算消化だからもしその商品PRするのは6月が一番いいのに!ということができなかったりします。
③たとえばポン酢
高いものなんて贈答品くらいにしか使えない。
ならば『一般品とか大手スーパーのPBよりは3割~5割高いけど』これを使い続けたいと思ってくれるレベルを目指せないかな、と思う。もちろん時間がかかる。馬路村のゆずのブランディングは25年以上かかって全国展開しているし。日常品に近い品目であれば、ここを目指さないといけないと思う気がする。
高いポン酢を売り込みたい、というのであれば、その味や使い道に対して特殊性がどれだけあるかということを見極めなければならない。果汁の濃さとか香りの良さくらいではその差はもはや作れない。『その商品でどういう差別化が作れるか』を、商品設計の段階で作りこまないと無理。
片桐流のブランディング(あるある7つに合わせて)
(1)○○専用の商品、という形をとれないか模索する。プロダクトアウトでなくて、あくまでマーケットイン発想。
(2)手法としてはその地域にあるものと掛け算して付加価値高める方法がある。(淡路島では、古代米×酒蔵×伊弉諾神宮、ということを見つけ出すことができた。たまご×ごはんに、さらに大阪湾のノリ、大阪産醤油を加えることでイベントの特殊性を出せた)
(3)地域のイメージをさらに面白くさせる言葉をさしはさめば面白くなる。
尼崎市がつくったトートバッグとかいいですね。「うちの地域は自然が豊かで、、、」「だれもが好きになる○○」なんて、一般的なキャッチコピーは意味がないです。覚えてくれません。『島根だか鳥取だか分からないけどその辺に行きました』ってコピー見たことありましたが、そういうくらいの「捨て身」も必要です。
(4)デザインされたロゴだけではない
ロゴだけでなくてコンセプトデザインとトータルコーディネートが
大切ですよ。
(5)綺麗な写真を使った大型ポスターにこだわらない
⇒行政側の要求に入っておりますので。(行政側が、「○○で、こんなこといいな、できたらいいな、ただしポスターとチラシとWEBとイベントで!を歌いだすので、僕ら受ける側は「ハイ!竹子豚!チラシイベント付!」みたいに道具ならぬPR企画書をだすのです)
片桐がやるなら、動画ですね。最近大きな都会の駅ではオーロラビジョンや動画のPR流せるところいっぱいありますしね。そもそもポスターなんて誰も見てませんし、せっかく作った「外向けのポスター」を、地元の農協の壁に貼りまくっても意味が無いのです。せめてターゲットのいる丸の内とか港区の飲食店に貼られてこそなのです。
適切な広報戦略を策定します
(6)継続したPR活動をやる
パンフレットブックとかもね。作ったらもう更新されないのです。結局、中長期的戦略が大事なのです。販売は地元の企業としっかり連携して、そのWEB更新や継続的なSNS更新・フォロワー拡大戦略を頑張ってもらうほうがよっぽどお金は地方に回るのですが。
(本来はその商品が一番売れるような場所で行うべき。東京の一等地でゆるキャラ連れて行って1日だけ販売するくらいなら、マルシェ紹介しましょうか?毎週出店してればお客様つくかもよ?
(7)そもそも営業が大切
ブランディングだなんだといいつつ『誰が売るか』を想定していない地域の案件が多すぎます。コンサルタントにそれをお願いしても無駄です(ちなみに私は農林水産すべてに販路がそれなりにあります。この時代販路付きのコンサルタントを選ばない時点で、発注者がアホです)。販路を持つ会社とともに考えることが大切です。真庭市のような話を参考にしましょう。
あと、東京の人に知ってもらおうという戦略ばっかり要求しますが、商品によっては、そもそも地元の人もそれを知ってもらう必要があるのでは?ということがあります(地元の人がお土産に必ず都会や他の地域にもっていく、ということはどれほど大切なことか。まあまさか大阪の伝統野菜田辺大根のロールケーキがそうなるとは思いもよりませんでしたが)
その品はそもそも誰にどのように食べてほしいのか、というところがしっかりできていないのにむやみやたらにPRしたがるとあかんのです(地元のPR事業ちゃんとやってるよ!という自治体のアリバイ作り程度の力の入れ具合だから、ということも理由です。やるなら10年くらいの予算を確保してください。そして、見栄えがするだけのコンサル会社に事業を頼まないでください)。
私は作る人、食べる人(使う人)とを、どういう関係を作ることができるか。食べる人のどのような気持ちにこたえられるか。そんなことをいつも念頭に置いて仕事してます。5年先10年先のその事業者や、東京など都会の消費者の動向、他の産地の状況や戦略を分析しつつ、今獲るべき戦略、これからの戦略、今一番効果が高い戦術の選択を提示できるのが地方創生のコンサルタントです。
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