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夫婦は別姓でも愛はあるのだ

海外在住のライターのお友達と、再び各国事情の本を書きました。今度は、日本で長年議論が続いている「夫婦別姓」について。正確には「選択的夫婦別姓」ね。米国、英国、ドイツ、フランス、ベルギーに加え、韓国、中国と7カ国について、現地に長く暮らした経験と調査をもとに、結婚と姓と家族にかかわるあれやこれやの情報が盛りだくさんの本になりました。

しかも、「で、日本はどうする?」を考える上で、櫻井龍子・元最高裁判事、鈴木馨祐・衆議院議員(自民)、田代桂子・(株)大和証券グループ本社取締役兼執行役副社長と、司法、立法、企業の視点から、切れ味のいい本音の意見が次々飛び出す座談会も入っているというチョーお買い得品よ!

日本は、結婚したら夫婦が一つの姓を選ばなきゃいけないことが法律で決まっているという、先進国で唯一の国。「別姓のオプションも欲しい!」、「別姓にしたい人はそれでもいいんじゃん?」という声も多いのに、なぜかいつまでたっても変わらない。

この本に出てくる国々は、みな夫婦別姓OKか、夫婦別姓がデフォルト。並べてみると自由なイメージの米国が、一番保守的な雰囲気かも。米国もかつては慣習に従って、妻が夫の姓を名乗るのが当然で、1970年代前半までは女性が結婚前の姓を維持することに裁判所も否定的だったり、他の州が認めてないからうちの州もダメみたいな横並びの雰囲気が強かった。

でも1975年、テネシー州の最高裁首席判事が「慣習上のルールをすべて法律にしたら、人々の自由という領域での進歩を抑え込み、阻んでしまう。私たちは新たな時代を生きている」と言って、どのような姓を選ぶかは、女性が自分で決めることだって言ってくれたの。

もう50年ちかく前のことなんだけど、私が子供のころは米国でも夫婦別姓は認められてなかったってことね(ああ、年がバレる)。

名前だって自分の人生の大切な要素だもの。自分で納得して決めたいよね。米国でも大半の人は今も夫の姓を選んでいるけど、それは自分達カップルで納得して選んだ結果。別姓を選ぶ場合もあれば、まったく新しい姓をつくっちゃう人たちもいる。別姓だと社会秩序がうんぬんという声も日本ではあるようだけど、みんなが自由に自分の人生を選択し、それなりにハッピーに暮らせてこその社会だと私は思うのだけど。

ところで、私は中国や韓国の状況をほとんど知らなかったので、本書を読んで「えー、そうなんだ」の連続。例えば韓国の章を書いた伊藤順子さんの記事、読んでみて。もっと詳しく読みたくなるから。

韓国は今も変わり続けているそう。っていうか、保守的な雰囲気の米国でさえ、生活様式の変化にあわせてやや後れをとりつつも、法や制度は変わっていく。誰のためかよくわからない「こうあるべき」論よりも、自分たちがハッピーに生きられる環境に変えていくことこそが、社会を強くすることじゃないのかな。

あ、ちなみにうちも夫婦別姓で結婚してはや20年あまり。愛はあるよ。


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