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4年ぶりの対面開催!カタリバ全社会議2023レポート

こんにちは。カタリバnote編集担当のほんだです。カタリバで、年に1度実施している全社会議。新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年以降はオンラインで開催していましたが、今年は4年ぶりに首都圏近郊に集まり対面での開催となりました。この記事では、127人のスタッフが参加した全社会議の様子をレポートします!

カタリバの全社会議とは?

現在カタリバには17の事業があります。いずれの事業も、いま目の前の子どもたちに必要なこととは何か?を考えながら日々活動していますが、年に1度の全社会議では普段と少し視点を変え、組織の未来や目指していきたい社会について議論します。

今回の全社会議では、「社会の変化がカタリバやその事業にどのような影響を与えるのか」「カタリバに求められる価値・私たちが発揮している価値・発揮できていない価値とは何か?」ということをテーマに考える2日間となりました。

議論の入り口として提示された、4つの社会変化

スタッフは、事前に上図の4つのトピックから1つを選び、関連する文献に目を通し事前課題に取り組んだうえで全社会議に参加。ワークの冒頭では、まず各自が取り組んだ課題内容を共有することからスタートしました。

今後予想される社会変化、自組織への影響、現場で向き合う子どもたちや保護者、学校、行政にどのような影響を及ぼしうるかについて議論していきました。

各自が持ち寄った事前課題をもとに議論は盛り上がりつつも、「4つの社会変化同士のつながりって何なんだろう?」「色々な社会課題があることはわかったけれど、課題に優先順位をつけることに難しさを感じる」といった声も。スタッフ内での議論が少し混沌としてきたところで、次のコンテンツに進みます。

“客観から主観へ” “物語の共有”
ゲストを招いたインスパイアセッション

スタッフ同士の議論の次は、ゲストを招いたインスパイアセッションへ。カタリバの全社会議では例年、社外の視点を取り入れるべく議論テーマに詳しい社外の専門家・実践家をお呼びしています。

今年はAI関連スタートアップのフロントランナーである上野山勝也さん(株式会社PKSHA Technology 代表取締役)、関係人口をキーワードにビジネスを展開される高橋博之さん(株式会社雨風太陽 代表取締役)をゲストにお迎えし、株式会社Deportare Partners 代表取締役の為末大さんに、このセッションの進行役を担っていただきました。

左上から時計回りに、為末さん、上野山さん、高橋さん

様々な議論が飛び交ったセッションのなかで、地方と都市それぞれの抱える課題に向き合ってきた高橋さんの、カタリバスタッフからの問いに対する回答が印象的だったので、まずはご紹介します。

スタッフ:社会課題がどんどん増えているいま、一つ一つに向き合い、日本全体に広げていくことが非常に難しいと感じている。社会課題にどう向き合っていくとよいのか、ゲストのみなさんの考えを聞いてみたいです。

高橋さん:誰の目にも明らかな課題が昔よりも減り、自分達が課題だと思っていても、「それは社会課題じゃないだろ」って他から言われてしまうこともある。生存・生活のための条件が整ってきている時代において、多くの人が共有できる物語は少なくなってきていて。「自分達がここをレバレッジにして変えていくんだ」という“主観”に集まってくる人たちと一緒にやっていくことが必要なんだと思います。

「主観でいい」というメッセージに、私自身「はっ」とさせられました。人々を巻き込むムーブメントにするためには“客観性こそが最重要”という考え方が、どこかで染み付いていたいたのかもしれないと感じました。

また、「個人の自由の追求と、社会全体で課題を解決していこうとすることは、どうすれば両立しうるのだろうか」という問いに対する、モデレーターの為末さんの発言も印象的でした。

為末さん:私たちは“物語”を共有できている時に、一体になれるのではないでしょうか。国家や会社も、始まりの物語を書こうとしますよね。始まりがあって、その物語のなかを生きているんだということで「私たち感」を醸成しようとする。日本が持ち続けてきた物語は不具合を起こしているんじゃないかと思っていて、次なる物語ををどう紡ぎ直していくのかが大切だと思うんです。

“ソフトウェアは人間の能力をエンパワーする”

また今回のセッションで話題の中心になったトピックの一つが、「テクノロジーの進化は社会にどのような変化をもたらすのか?そのことが、カタリバが向き合う子どもたちや学校にどのような影響を与えるのか?」ということ。事前課題の1トピックであったことからも、スタッフの関心度が高い問いでもありました。

この問いに対しては、AIを活用した業務支援ソフトウェアを開発・提供する上野山さんからこのような観点が。

上野山さん:教育に限らず色んな社会課題があって人々が問題を解こうとしてるが、解けていない問題が残っている。その中には、人間が人間であるがゆえに解けていない問題もあると思うんです。

AIをはじめとしたソフトウェアは、人と人との間に介在して人が認知できる領域を広げたり、人と人の間に生まれる不具合を解消したりする、いままでにない手段になる可能性があると考えています。

参加したスタッフからは、「テクノロジーの進化にどちらかというとネガティブな印象を抱いていたが、ソフトウェアが人間の認知や能力をさらに広げるという視点が真新しかった」といった声が上がっていました。

さらに、「既存組織の変化が難しいのは、人が人であるからという点もあるのかもしれない」「テクノロジーの進化についていける人/いけない人の差が生まれている。テクノロジーの活用を個人に委ねるのではなく、社会システムとして実装できるかも大切になりそう」など、現場で向き合っていることと結びつけた気づきも聞かれました。

白熱したインスパイアセッション。この記事に書いたのはごくごく一部で、たくさんの観点をシャワーのように浴びた2時間でした。

つくりたい未来に視界を広げ
再びそれぞれの持ち場へ

グループワークの最後には、「〇〇な社会だからこそ、カタリバは〇〇を目指していきます」という、「社会の変化を踏まえたうえでカタリバの目指すべき未来」をグループごとに提案する時間も設けられました。

一方で、「社会の課題に視点を広げたけれども、2日間の全社会議だけでは消化しきれなかった」という声も聞かれました。

「今見えている多種多様な社会課題の、何にカタリバは向き合うべきなのか?」
「私たちが掲げている目標は、“NPOだからこそ”と言えるものになっているのか?」
「“意欲と創造性をすべての10代へ”を団体のミッションとして掲げているが、”すべて”に届けるにはどうすればよいのか?」

……消化しきれなかったさまざまな問いを持ちながら、スタッフたちは再び全国各地の現場に戻っています。

2日間の締めに設定した個人目標。私は広報担当として、共感の輪を広げていくために既存の方法にとらわれず新たな伝え方を探究していくことを目標におきました。

それぞれの持ち場でどんなことに挑戦した1年だったのか、どんな新たな問いや壁に向き合っているのか。1年後にまた、集まる日が楽しみです。


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