才能がない君へ 〜かたねむり成長譚〜

 学校は毎日楽しいです。家で1人でSNSをながめたり、ゲームをしたり(ときどき勉強も)していた数ヶ月前のわたしが知ったらびっくりするくらい、毎日たくさんの人と関わっていると思います。クラスの人はみんな優しくて親切で、最年少枠にいるわたしは可愛がってもらっているなといつも感じています。ありがたいです。


 それでも毎日楽しいばっかりじゃなくて、課題は大変だし、授業はついて行くので精一杯。周りのみんなはとっても上手で、自分の才能のなさを痛感して嫌になります。もっと自信を持って!と言われても、自信はなくなる一方です。どうしようカヲルくん……。

お家に帰ったら夕飯を作って、明日の準備をして。疲れて気付いたらメイクを落とすのも忘れて寝てしまっているような生活を送っています。おかげで最近肌荒れがひどいです。帰ったらすぐメイク落とさなきゃ。

 好きなことを仕事にしようとしているなんて素敵だね!好きなことを学べているなんて羨ましい!

 イラストの専門学校に通っていると言うと、そう言っていただくことが何度もありました。
 でももし、わたしに別のことでも活躍できるだけの実力や、今以上にやりたいことなどがあったら、きっと今すぐ学校を辞めると思います。そのくらい悲しい気持ちになることが多いです。
……残念ながら今のところどっちもないのだけれど。
だから、才能がなくても自信がなくても、きっと周りのみんなよりも描いている量が足りないからだ!!とか、毎日描いていればそのうち追いつけるはず!!なんて、自分を励ましながら続けています。


 絵を描くたびに好きの気持ちが薄れていっても、いやだなあ、描けないやどうしようと思っても、自分が選んでしまったことなので仕方ないって、もう戻れないところまで来てしまったんだって……。それに、ほかに進路を考えたところで、どうせ自分のやりたいことはデザイン系の仕事なんだと諦めて描き続けています。
それにきっと、どんな道を選んでも、わたしのことだから就活で苦労するんだろうなあ……。

 だから、きっと、楽しくて夢中で描いている人よりも、うんと上達するのは遅いだろうけれど、それでもゆっくり、かたつむりくらいの速度でも、成長していると信じてこれからも頑張ります。だって"かたねむり"なので!


 昨日、絵がとっても上手で、かわいくて優しいお姉さんに、あなたは色のセンスがとってもいいから、才能がないなんてことないと思う、と言っていただけました。嬉しかったです。
 色塗りの練習を始めた頃から、色のセンスを褒めていただけることは何度もありました。その頃は色の勉強は何もしていませんでしたが、褒められたのが嬉しくて、昨年、色彩検定の3級を取りました。
 色塗りは楽しいです。色塗りの工程を見るのが魔法みたいで大好きでした。でも色塗りにたどり着くまでが大変です。なんなら色塗りも大変です……。
だけど、綺麗にに塗れると嬉しいし、いろんな色を使っている時は楽しいので、もっと上手になるために色塗りの研究もしたいです。


 今は毎日のようにしている料理も、小学生の頃は包丁を持つだけで危なっかしくて怖いと言われるくらいひどかったです。わたしは一生料理上手になれる気がしないと思っていました。


 数年前なんて、父にお前の料理は美味しくないから食べたくないと言われたり、味や火加減についてのダメ出しをされてばかりでした。ひどい父親です。
半年前は、料理を毎日作るなんて大変なことわたしに続けられるはずがないと思っていました。シンジくんはすごいね。お弁当まで作ってて本当にえらい。
 だけど、わたしも碇シンジくんみたいに料理上手になりたい!と憧れる気持ちがあって、今は1日2食、2、3人分の料理を毎日続けています。最近は、食費の少ない予算内にもおさめています。今では、料理を食べてくれた人に美味しい!と言ってもらえるようになりました!


 なので、絵もこうして毎日続けていたら、いつかたくさんの人に上手になったねって言ってもらえるかもしれない。かたねむりみたいな実力のない子でもここまで上手くなったんだから、私にもできるかも!と思ってもらえるかもしれない。
だから、誰かの心に届く作品を作るために、そのためにももう少し続けてみようと思います。

 いつか、今のわたしが知ったらびっくりするような人になれるように、頑張ります。

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