ジョニ・ミッチェル（Joni Mitchell） / Ladies of the Canyon ディスクレビュー
「美々しい人」
この作品はジョニ・ミッチェル3作目のオリジナルアルバムである
「Big Yellow Taxi」や「The Circle Game」などが収録されている
「Big Yellow Taxi」は面白い曲でグルーブの作り方が素晴らしい
無理なくこのノリが出せるのはこういう曲を彼女が得意としているからだろう
もともと持っているセンスにユーモアのバランスが絶妙な曲で
きっと誰もが楽しめる一曲に仕上がっていると思う
「The Circle Game」はこの作品の最後を締めくくる曲である
自然体で音楽を表現しているのがとても分かりやすい楽曲で
ただ聴くだけでなくこんな風に私も歌いたい思わせてくれる力がある
全てを綺麗にしないことの魅力に気づかせてくれて
世に出すからと言って力まず整えすぎないからこその雰囲気が出ている
後1番強く残ったのは「conversation」である
この曲のギターで始まるイントロが頭にこびりついて離れなかった
体が揺れている想像がつく音作りで良い感じで気張っているのもいい
聞いていて気持ちがいい曲である
そして「conversation」の次はタイトル曲の「Ladies of the Canyon」である
ここの流れは緩やかにでも確かに進むというイメージが浮かび素敵な曲順であった
ギターの音が基盤となって曲が流れて行きそこに声も重なり美しく構築されいて
音楽への愛情がよくわかる部分だと思う
やっぱり彼女は美々しい人だと感じられる一枚である
音の作り方出し方の品の良さというか美意識の高さが耳から伝わってきて
心が落ち着く時間を作ってくれてただ過ごさせてくれる
こういうタイプの作品を聞くのはある程度無心で集中して聞くことが必要なので
色々なことを楽しみたいという人は途中で飽きてしまう可能性があるだろう
派手さと言うより独特さが強い事もあって
彼女のファンには最高の一枚かもしれないが
はじめましてで聞くのにはあまりオススメ出来ないかもしれない
やりたい事や向かう方向がはっきりしている人の作品は
やはり聞くこちらとしても心が晴れやかになるものである
それは感動の曲がとか応援ソングがとかの次元ではなく晴れやかになるのだ
このアルバムは流れが本当に良く、何周も聞ける作品である
きっと曲の全てがわかっていたのだろうだからこそこの配置が出来たはずだ
曲は勿論彼女の凄みに改めて触れられるこの作品を是非聴いてもらいたい
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