見出し画像

星野源 / Family Song ディスクレビュー

「やりたいこととやれることのチューニング中」

この作品は星野源10作目のシングル作品である
タイトル曲はドラマ「過保護のカホコ」の主題歌に使用された曲である

カップリング曲は3曲収録されている

まず1曲目「Family Song」空間の作り方が上手い曲だった
奥行きがあって高さを感じさせてくれて芸術的な音作りだった

言葉をあまり並べていないがグルーヴが繊細に作られているので
間延びせず心地よく聞くことができてストリングスの使い方も絶妙である

2番への入り方が切り替えがうまく展開力も感じさせてくれた
歌詞は彼が得意な分野の歌詞だと思う

人と人の繋がりや初めに人に触れる場所を丁寧に書いていて
決して他人事ではなく作品の中に彼が居るのも強みだと思う

最初から最後まで味がある曲である
こう言うタイプの曲は飽きてしまって中途半端になることが多いので
そう言った意味でもクオリティの高い作品である


次に2曲目は「肌」この曲はとにかくヴォーカルが良い
彼の曲の中で一番と言っていいほどヴォーカルがカッコいいのではないだろうか

身体と曲がくっついていて息を吐くように声が出て歌っていた
ファンキーでポップな音像でギターのワウが良い味付けになっていた

彼からすると得意なジャンルなのだろうが新しさもあって
聞き手にとってこの曲が初めて触れるJ-POPなら面白いと思う
媚びた感じが全くないのも良いところである

3曲目は「プリン」第一印象は惜しいなぁと思ってしまった
どこにも落ちてない感じがしてしまってこれじゃ頭を振れない
カッコイイにもダサいにもなってないので聞いていて迷ってしまった

もっと何をしてるかわからないぐらいめちゃくちゃにやって欲しい
曲の素材が足りていないのか味つけが薄いのかその両方なのか難しい
ベースを入れる流れも少し冷めてしまった


4曲目は「KIDS」この曲は力が抜けていて良い曲である
遊びの幅が丁度いい幅でこれこそ彼の居場所なのではないだろうか

歌詞は日々と人と向き合う彼らしい歌詞でぬくもりがあっていい
音数的にも楽器と声の使い方が的確で必要性とビジョンが分かりやすかった

チューニングの音を入れたりもしてやはり新しい事をやりたい人なのだろう

まだまだ彼自身自分のやりたいこととやれることのチューニング中なのだろう

すごく良いところとしらけてしまうところの落差が激しい
伝えたいことをもがきながらも絞り出すのが彼の凄さでもあるが

もっとシンプルに色濃く出してもいいんじゃないかと思う

やってない事を探してやるよりやりたいを事やれば
勝手に新しいものが生まれると彼には期待してしまう

このシングルにだって素敵なシーンがいくつもあったのが何よりの証明だ

まだまだ望んでしまうが
この作品も良い作品であるのは間違いないので
是非聞いてもらいたい


変幻自在のクリエーターユニット「KATANAGARI」です。基本ミュージシャンとライターです。Apple musicなどでカバー音楽、オリジナル音楽を配信しています。 https://itunes.apple.com/jp/artist/katanagari/1288449046