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未来の空想話と日本刀(後編)

前編はこちら↓

これからAI(人工知能)が仲介業務などの中間作業をこなしていく事で人間が行う作業が減っていく事が予想されるが、経済を回す一つの策として、AI自身が自分の意志で使用できる財布を持ち色々な買い物をAIの意志で行う事で必要な所に必要なお金が的確に投入される時代が来るかもしれない。

その時にAIが日本刀を買う事はあるのか。
買うとしたらどのような時か。
そしてどういった刀を買うのか。
空想話ですが個人的に考えている事を前回の続きで書こうと思います。

・AIが財布を持った時日本刀を買うか

人間は感覚や感情で物を買うがAIは合理的判断のもと物を買う気がする。
例えば「日本を豊かで経済格差の無い国にしたい」とAIに指示しそれを基に物の購入を指示した場合、AIはどのような行動を取るだろうか。

美術品は必需品ではなくいわば教養を高める物であり、もしくは資産保全の為の物でもあるので、最貧困層を無くした後でより豊かになる為の物として買われる可能性はあるとは思う。絵画やその他の骨董品も同様。
が、一つ大きなハードルとして、刀は人を傷つける事が出来る武器としての側面も持ち合わせている。
人を傷つける事の出来る物をAIが買うのか、またAIがそういった物を買う事を許すのか、という問題が出てくる可能性は高い。
犯罪を減らす事は豊かな国を作る上で大事であるので、そこをAIがどう捉えるか次第な所がある。

更に言えば、言い方は悪くなるが中古品(新しい雇用なりを生み出さない物)を買う事は果たして経済を回す事に繋がるかと言えば、もっと他の事業なり雇用を生み出すような物にお金を回した方が経済が回りそうな気もする。
ではどういうケースでAIが日本刀を買うかと言えば、「日本の歴史や文化を後世に残すべき」と判断した時であると予想する。
買った日本刀は適切に管理できる博物館などに送られるかもしれない。
一方で新しく生み出される現代刀等であれば、刀を作る文化を後世に残す、と判断された場合は作家の活動支援として購入対象になると考える。

・AIはどのような刀を買うのか

そのような状況になった時AIはどのような刀を買うのだろうか。
価値の高い刀をAIは買うのだろうか。
そもそも価値が高いとはどのような刀を指すだろうか。
今現在日本刀の価値は、昔から位列が高く健全性が高くて出来の良い物が値段が高いという言わば昔から変わらない価値観がある。
しかしAIが同じ価値観を持つとは限らない。
言い換えれば十分なお金が手元にある場合においても「高い刀→貴重→買うべき」のような判断をAIがするのだろうか。
これは可能性が低いと個人的には考える。
こうした高い刀も買われるだろうが、個人的には今は見向きもされていないような位列の低い郷土刀なども買われる可能性が高いと考える。
特に初期の初期であればもしかすると名前も聞いた事のない郷土刀を1000万円で売り出してAIが買う事もあり得るのではないかと思っている。

・AIは鑑定サポートもする可能性がある

今まで通り値段の高い(資産性の高い)刀というのは、どちらかと言えば人間が買う可能性がむしろ高いかもしれない。
その場合はAIが鑑定をサポートする可能性はあるだろう。
つまり現在は日刀保が鑑定をして保証しているが、これをAIがこなす可能性がある。
本当は刀身の成分分析などしてデータを大量に収集して、それらを基に時代や作者を特定する事が出来ればかなり精度の高い鑑定が出来そうであるが、そこまでの成分分析を現在鑑定書の付いている保存刀剣以上にするかと言えば相当な費用と時間がかかる事から現実的ではないだろう。
また今まで鎌倉時代の物と思われていた物が実は新刀以降の物だったという物も中には見つかるだろう。
それは果たして多くの所有者にとって幸せな事なのだろうか、という問題もある。多くは金銭が絡んでいるので様々な場所でトラブルが発生するとも思われる。
他には例えば各時代の鉄表面の画像などを沢山読ませて画像判断させる鑑定の方が実現は早いかもしれない。ただ精度はあまり期待できなさそう。
いずれもなかなか一朝一夕には出来ないと思われるがいずれはAIによる鑑定が現実に出てくる可能性は充分にあると思う。


・終わりに

とはいえ刀の購入層のメインは10年後も人であるだろうし、今の流れが大きく変わるとは思えない。骨董業界などは古い慣習が続く業態でイノベーションが最後の方に来るとも聞く。
ただいずれはそこに想像もしていなかった新しい購入者層(AI)が参入してくる可能性はあり得ない話ではないと思う。
未来の世界は誰にも分からないものの、時に想像したりすると面白く、稀に当たったりすると更に面白い。

他にも資産性の概念がデータ上で完結するとしたら(既にあるが)、今物理的にある資産性の高い物は今後どのような価値を持つのだろうか。
分かり易く言えば、実物の虎徹が3000万円で取引されているとして、ゲームデータの虎徹(例えばVRのような物で手で持っているのと変わらない程に鑑賞も出来るとする)も3000万円で取引されているとしたら、本物の虎徹の価値に変化が生じるのか。
データ上の資産は分散化されて保管されていれば火災で無くなる事も無いだろうし錆びる事もない。技術が進めば盗難される事も無くなるだろう。

今後人々の生活は間違いなく徐々に変わっていく。
今は多くの人が時間が無い中で生活しているが、これからの時代は多くの人が余暇をどう楽しむかが大事になってくる。これは色々な人が言っている事である。
ゲームや仮想空間で生計を立てる人が増える。
100年前は生まれた地である程度人生が決まっていた。
今の時代はスマホ1台あれば同じ趣味を持つ人達と繋がれるし、世界中の人とコンタクトが取れる。既存コミュニティから飛び出して新しいコミュニティに入る事が非常に楽になった。
その次の世界はどうなるだろうか。
きっと言語の壁が無くなり、コミュニケーションはより自由にとる事が出来る。そして現実世界と仮想世界を行ったり来たりする生活が主流になる。
そして更に更に進むと「この現実世界が実は仮想世界だった」というオチに繋がる(イーロンマスクが言っていたように)のかもしれない。

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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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